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11月の1話 帰還 ボスからの最後の言葉

Image by Olia Gozha

11月下旬、私は日本に帰国した。この研究所は、世界中から研究者や学生を受けて入れている。それだけに、メンバーの移ろいは早い。そして、お別れの時が来ると、本人がケーキなどを買ってきて、オフィスの人たちに振舞うのだ。私もチョコレートトリュフを買ってきて、皆に配った。配るとき、皆に「Thank you for your help」と一人一人に言って回った。私は、口数は少なく、自分の気持ちを語り合うところまであまりいかなかったが、それでも不思議といい関係を築いてきたような気がする。お礼をしたい人が沢山いた。今同じオフィスで仕事をしている人たち、部のIT関連のエンジニア、表計算ソフトのエキスパート、最初にフランスに来るきっかけを作ってくれた部の責任者の方々……。皆にお礼を言って回った。そして、できるだけの人と写真を撮った。  最後、ボスとミーティングをしていたときのこと、「本当に有難う。私はいい生徒じゃなかったけど」というような事を言った私に、ボスがこう言った。 「そんなのは問題じゃない。1人で外国に来て、全てのことが新しいし、いろんな難しさがあっただろ。よく頑張ったよ。君はいい生徒だ。」   聞きながら、目が潤んでしまった。このボスは、ロマンチストなのだ。そういうことをちゃんと真顔で言ってくれるし、ウィンクもする。どうしてそいうことが、この人は分かるんだろう。確かに、沢山の難しさがあった。研究のみならず、言葉が不自由な生活、公的な文書のやり取り、寮の問題など、いろいろなことがあった……。  だけど、全てを終えて、今、1年間の研究成果を論文として投稿できる運びにまでなっている。なんとか、自分の留学した目的、公的な役割も果たせそうなことが、嬉しかった。

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