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私が自由を求めるワケ⑤

Image by Olia Gozha

吐く事を覚えた私は、

食べてもあまり太らなくなりました。


でも吐いた後は、自己嫌悪に陥りました。


私はなんて最低な人間なんだ!


世の中には、

食べ物が無くて餓死する子供もいるというのに!


このままではいけない!!!



周りの若い女の子達は、みんなキレイでおしゃれでした。


私もキレイになりたい!

どうすれば、キレイになれるのだろう?


そこで私は、

若い女性向けのファッション雑誌を読み始め、

ある時、大人っぽくてとてもキレイな

外人のモデルさんが目に止まりました。

こんな風になりたい!と思い、

その雰囲気に近づける様に、

髪型や化粧・服装を変えました。


そしてある時「いい女になるには内面を磨け!」

という様な文章が目に飛び込んできました。


そうか、いい女になるには、外見だけでなく、

内面を磨かなくてはならないのか・・・。


どうすれば内面を磨けるのか・・・。


そこで私が思いついたのは、

今までして来なかった色々な経験をして、

自分の経験値を上げる事でした。


今まで読まなかったジャンルの本を読んだり、

色んな映画を観たり、

美術館に通ったり、

いろんな場所に積極的に出かけました。


スイミングスクールにも

週2回通い始めました。



いくつかの映画を観ている内に、

その2〜3時間の間は全てを忘れて

映画に没頭できている自分に気が付きました。


それからは、

家でのイヤな事を全て忘れて没頭できる映画が、

私の最高のリフレッシュになりました。


色んな主人公に感情移入して疑似体験する事で、

自分の経験値が上がる様な気がしました。


仕事が暇な日は、会社を半休して、

映画を観に行くのが楽しみになりました。


時には、丸1日映画三昧の日にしたりもしました。


会社には前日のうちに有給申請をしておき、

朝、いつもの出勤時間に会社に行くフリをして家を出ます。


朝8時の渋谷。

開いているお店は少なく、

当時から朝早くに開店していたマクドナルドで

コーヒー片手に「ぴあ」を見ながら

一日のスケジューリングです。


現在の様なシネコンは30年前はなかったので、

色々と観たければ、

映画館をハシゴしなければなりません。


当時は千葉の西船橋〜品川までの

通勤定期がありましたので、

私の映画を観る場所は、

渋谷か銀座か錦糸町でした。


大体1日に3本観るのが常でしたので、

ロスタイムをなるべく少なくして観ないと、

いつもの時間に帰宅出来ません。


映画館の移動をするだけで食事はとらず、

コーヒーを何杯か飲むだけでした。


平日の映画館はとても空いていて、

高い天井の広い空間で観る映画は

とても開放感に溢れていて、

皆が忙しく仕事をしているであろう時間に

一人のんびり映画を観ている自分が、

とても贅沢な事をしている様で心が満たされました。

そして、ズル休みをしている様なちょっとした背徳感にも

すっかりヤミつきになってしまいました。



そんな生活を何年か続けているうちに、

色々な経験を積む事で自分に自信が出て来て、

運動をする事や暴食が減った事で少しずつ痩せ、

渋谷や銀座に通ううちに、

センスも少しずつ磨かれていきました。


そしていつの間にか、

会社で陰口を言われる程の典型的なブスで

コンプレックスの塊だった私は、

渋谷でモデルのスカウトをされる程になれたのでした。



自信がついた私は、

息がつまる家から逃げ出したい一心で、

そうだ!一人暮らしをしよう!

と思い立ち、物件探しを始めました。


しかし、

部屋を漁った父に物件のチラシが見つかり、

「お前は親を捨てるのか!

今まで育ててやった恩は無いのか!

恩を仇で返すつもりか!

結婚するまでは、

この家から出すつもりはないからな!」

と怒鳴られ、

そんな親でも捨てる勇気の無かった私は、

結婚するしか逃げ道は無いのだと悟りました。



今回はこの辺で。






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