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13/6/7

学年ビリから2番目だった中学生を、クラス3位まで上げた時の話①

Image by Olia Gozha

勉強なんて何のためにするんですかね?


彼がはじめの頃、良く言っていた言葉だ。

その話の前に、いろいろ前置きをしよう。


ボクが、まだ北海道にいた大学時代、家庭教師をしていた時の話だ。

彼は、いわゆる"不良"と呼ばれる部類にいただろう。

趣味はギターやボクシング、好きなものはロックバンドの中学2年生。

そんな子だった。


その頃ボクはバンドマンで、茶髪に赤と金と白のポイントカラーを入れるという

見た目はひどい感じだったが、結果的には彼にはすごく気に入ってもらえた。

彼は、X JAPANが大好きで、そーいうビジュアル系?な感じが良かったのか。


彼が家庭教師を始めた理由も

両親が、塾に行かせたが何も変わらない

やんちゃだから直接見てくれる人が欲しい

というのが、主な理由だった。


大手の家庭教師派遣会社の紹介だ。

紹介用の紙が送られてきた。

そこには、こう書いてあった。


どんな先生が良いか?:いいひとがいいです

最初に見たとき、驚いたのは漢字がほとんどなかったことだ。

彼は自分の名前すらひらがなで書いていた。

また、7割ほどが空欄だったと思う。


好きな科目:なし

嫌いな科目:ぜんぶ!

どんな先生が良いですか:いいひとがいいです

好きなもの:ギター!


どうやら"!"が好きだということがわかった。


親御さんの欄には

とりあえず全科目3割を目標にしたいです。


『・・・』


それまで、塾講師を1年ちょっと、家庭教師も5人目くらいだったが

いろいろ衝撃的だったのは覚えてる。

でも、ボクはわくわくしていた。

どんな子かすご~く見てみたかったからだ。


九九わかる? え~と多分わかります

初めて、彼の家にお邪魔した時、彼以外誰もいなかった。

ボクも多少なりとも緊張していたが、彼もさすがに緊張していたようだった。

その時は、親御さんには申し訳ないが勉強をする気はなく

『今日は、キミのこと知りたいから勉強は無し!で、何が好きなの?』

それが、彼に問いかけた初めての質問だった。


彼の部屋には机やテーブルなんてものはなく

ボクが来たら、居間からちゃぶ台を持ってくるというスタイルだった。

(それは最後まで変わらなかった)


しかし、ギターはいつも置いてあり

ボクはそれを手に取った。

『ギター弾くんだ!何弾くの?』

と言いながら、軽くカチャカチャ弾いてると


『え!それカッティングですか?どうやってるんですか?』

緊張していた彼が、一瞬にして好奇心旺盛の少年の目になっていた。


そのあと、彼にカッティングのやり方を教えると

ものすごい真剣に何度も何度も試行錯誤していた。


その瞬間にボクはある程度確信していたのかもしれない。

『この子は伸びるかも・・・』


そう思ったのもつかの間、試しに前の期末テスト見せてよ!

と何気なく言ったら

『お、いいっすよ!』

もうこのときから、ですます調ではなく、ッス調になっていた。


彼はぐちゃぐちゃにつまれている紙の山を漁りだした。

ボクも家ではそんな感じだったので偉そうなことは言えないが

でてきた解答用紙は、クシャクシャで破れているものもあった。

ましてや1、2科目なくなっているものもあった。


特に数学は散々な感じで、試しに

九九くらいはできるよね?と聞いたら

『え~と、多分わかりますw』

という返答だった。


合計点数 45 / 500

学年では、ビリから2番目だった。

これを見たときに、さすがにやばいな、と思ったと同時に

この成績をあげたら面白そうだなとも思っていた。


それを見て、何が苦手なの?何がわからない?

と聞いてみた。

半分予想はしていたが、

『全部です!何がわからないかもわからないっすww』


と無邪気な笑顔で言っていた。




しかし、そんな彼が親までをびっくりさせたのは

その初めての家庭教師からたった1ヶ月後のことだった・・・


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