top of page

すれ違った大家さん

Image by Olia Gozha

長くなってしまいましたが、引っ越しの話です。
かれこれ数年前、元カノと同棲を解消した僕は、
改めて三軒茶屋にて 一人暮らしをする事になりました。
久しぶりの一人暮らし、 一人でやっていけるかという不安もありつつ
越してきた僕を温かく迎えてくれたのは、 隣に住む大家さんでした。
はじめてご挨拶させていただいた時、 顔を合わせるなり
「まあ、隣にきてくれた子が 野月さんで本当に良かったわ、 何かあったら、私に何でも言ってね」と、
前の住人が心無い若者で苦労したとの事、他にどんな住人が居るのかという事、
近所はどういう店があるかなど 詳しく教えてくれたその女性は、
丁度、親と同じくらいの年齢で、 他界した旦那さんの形見だという入り口にある 柿の木と愛犬と暮らす、
どこか素敵で可愛らしい雰囲気を持った方でした。
その後も道ですれ違う度、 「あら野月さん、もうここでの生活にもなれましたか?お元気ですか?」 などの暖かい言葉をかけて下さいました。
約半年が過ぎ、彼女が出来、 良く家に遊びに来るようになりました。
そして月日が過ぎ、その家で初めて迎えた正月、 お土産をもって大家さんの住む隣の家へ 新年のご挨拶に行きました。
 『そうだ!バルコニーでバジルや香草を育てて、 出来たら料理を作って大家さんに差し入れしよう!
 先ずは栽培してもいいか相談しよう!(うちのバルコニーと大家の玄関がそのままつながっている為)
 大家さん普段はあまり料理しないって言ってたから喜んでくれるかなぁ!
 水やりするたびにワンちゃんとも仲良くなれたらうれしいな♪』
そんなワクワクする思いを胸に、、
 インターフォンをならし、 扉を少しだけ開けた大家さん
 「何ですか!?」の一言からは、 つめたい表情が伝わってきました。
あれ、、どうしたんだろう!!  いつもの大家さんならいつもの明るく温かい表情で
「あら、野月さんこんにちは、今日はどうなさったの?」と優しく話を聞いてくれる筈、、
戸惑いと驚きを隠せない僕は、 そのまま震える声で言いました。
僕「あの、、新年のご挨拶にと思ってつまらないものですがお土産を持ってきたのですが、、」
大家さん「あぁ、、はい! わかりました、、」
僕「お、、元気ですか、、?」
大家さん「はい、まぁ、、最近彼女さんがよくいらっしゃってますか?」
僕「そうなんですよ、よく遊び来てくれて!なにかご迷惑をお掛けしてますでしょうか?」
大家さん「そうですね、 よく遅くまで女性の話声がきこえてきますので、 女性の声は響きやすいので深夜はもう少し話し声を配慮していだけると」
僕「す、、すみません、ご迷惑をお掛けして、 気を付けますので宜しくお願いします、、」
そのまま逃げる様に帰りました。
正直ショックな思いがいっぱいでした、 勿論迷惑をおかけしてるのはこちらですが、
まるで別人の様に冷めきった感じで言わなくても、、そういう仲ではないと一方的に思い込んで居ただけだったのか!
怒りながらも「もう野月さんたら、 近所迷惑も考えながらきちんと生活して下さいね!」なんて心ある言葉で言ってくれても良かったんでは?と、、
何ともやりきれない気持ちだけが先行し、 その後大家さんとすれ違っても お互い軽く会釈する程度で、 けして前の様に立ち止まり、
笑いながら話す事はもうなくなりました。
元々外に洗濯物を干すことが無いので、 それ以来、大家さんの玄関に繋がっているベランダへの窓をあける事もなくなりました。
そして更に月日がたった1か月前の事、
それは、突然に訪れました。
ピーンポーン、仕事終わり、仮眠をとっていた中、 突然鳴り響くインターフォン
「〇〇不動産のものですが、ちょっとお話し宜しいでしゃろぉか?」
モニターを覗くと、関西弁全開のチンピラ風の男
「この度、この土地は、 私共〇〇不動産の所有物になりましたので、 立ち退きの御相談を!!」
僕「はい!!?何も聞いて無いですが? 立ち退かなければならなんですか?」
「はい、残念ですが、隣の土地も含めて所有権を得ましたので、全て取り壊して新たな施設をつくることになりましてん!!」
眠気眼のボーっとした状態の中、 ズカヅカ入ってくるのその不動産屋に 「退去するなら早くした方がお得ですよ」など
上手く言いくるめられ、 その場で交わした立ち退き承諾のサイン!!
こうして、やむなく決まった引っ越し、 不動産屋さんを回る毎日!!
家の物件は、大家さんの行為により、 相場より安いため、同じ条件で探すとどうしても家賃が高くなるか、狭くなるか、、 部屋が上手く見つからない苛立ち、、
八百屋に、創業100年の蕎麦屋、銭湯、ビームスの人がやっているというおしゃれ居酒屋にイタリアン、バー、パクチー料理、ライブハウスと
昔ながらの風景と現代の洒落たお店が混合している家の近くの大好きだった商店街ももう毎日通る事も無くなる!
大好きな場所を突然奪われたかなしみ!!
正直苛立ちの残る中、なんとか引っ越した今、、。
鳴り出した携帯電話 知らない番号からの着信
宅配か引っ越し屋さんだろうなぁ!と思って出た電話
僕「はい、もしもし!!」
「あのぉ、、野月さんの携帯で間違いないでしょうか、、?」
どこか聞き覚えのある懐かしい声
「あのぉ、〇〇の大家の●●ですが。。」
それは、最近まで住んでいた取り壊しが決まった先のあの大家さんでした! 正直連絡などくると思っていませんでした!
引っ越しでたまったストレスと、どこか裏切られた気持ち、優しそうな人だったのに所詮お金で言いくるめられて売ってしまったに違いない!
そもそもあの正月の一件依頼、険悪な仲なのだからなにか手続きの業務的な話だろう!
そう思った僕は、冷たい口調で言いました。
僕「何の用でしょうか?」
大家さん「もしかして野月さんもう引っ越されてしまったのですか!?」
僕「はい、そういうお話でしたので」
大家さん「わぁ、、どうしよう、、 野月さんが隣にいてくれたから、安心して今迄暮らしてこれたのに、寂しい、、ほんとうにどうしよう、、」
思いがけない言葉になにも返せない自分がいました。
大家さん「本当にごめんなさい、、 私の意向では全くなくて、 地主の人が大阪の不動産業者のひとと連携していきなり土地を売ったと言いだして、、 本当になんてあやまればいいか、、野月さんちの明かりが消えてて、、もしかしてと思いまして、、、」
     「本当に寂しい、、どうしよう、、」
今迄の自分の感情が本当に情けなく、どんなに傲慢なものだったかぁ、、、もっとちゃんと大家さんと向き合えば良かった!
料理作って遊びにいけばよかった、ワンちゃんと遊べばよかった、、
あの日以来ずっと険悪だとしかおもってなかった、 隣にいてくれて嬉しいと思っていてくれてたなんて、、!!
  今回の引っ越しで、ひととひとは、些細なことですれ違ってしまい、憎しみを生んでしまう、 如何にきちんと面と面を向けて話し、
気持ちを伝える事がどんなに大切なことなのかを 痛感しました。
   それぞれの道が真っ直ぐで順調に進むように。
                                      
笑w きどった長ったらしい物語り調のくだらない文章を読んでいただきた誠にありがとございました。

←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」

情報革命の「仕事の収奪」という側面が、ここ最近、大きく取り上げられています。実際、テクノロジーによる「仕事」の自動化は、工場だけでなく、一般...

大嫌いで顔も見たくなかった父にどうしても今伝えたいこと。

今日は父の日です。この、STORYS.JPさんの場をお借りして、私から父にプレゼントをしたいと思います。その前に、少し私たち家族をご紹介させ...

受験に失敗した引きこもりが、ケンブリッジ大学合格に至った話 パート1

僕は、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ、政治社会科学部(Social and Political Sciences) 出身です。18歳で...

あいりん地区で元ヤクザ幹部に教わった、「○○がない仕事だけはしたらあかん」という話。

「どんな仕事を選んでもええ。ただ、○○がない仕事だけはしたらあかんで!」こんにちは!個人でWEBサイトをつくりながら世界を旅している、阪口と...

あのとき、伝えられなかったけど。

受託Web制作会社でWebディレクターとして毎日働いている僕ですが、ほんの一瞬、数年前に1~2年ほど、学校の先生をやっていたことがある。自分...

ピクシブでの開発 - 金髪の神エンジニア、kamipoさんに開発の全てを教わった話

爆速で成長していた、ベンチャー企業ピクシブ面接の時の話はこちら=>ピクシブに入るときの話そんな訳で、ピクシブでアルバイトとして働くこと...

bottom of page