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カタリエ

Image by Olia Gozha

私は白い服でお祝いされご祝儀を頂く前に、黒い服を着て涙し、お香典を頂くことが続いた。結婚式の二次会の幹事を任される前に、法事の手配にすっかり慣れてしまった。

新居を建てる前にお墓を買ったし、実家を売った。

どれもおよその人が経験することだが、私は経験する順番がまるで違った。

たった23歳でお墓を買った時は、誰にも相談できなかったし、未だにそのノウハウをアドバイスして欲しいと頼む友人はいない。

苦しい下り坂な境遇と楽しい上り調子の時期は誰しも同じだけ訪れるなんて聞いたことがあるが、確かに下りに下ったどん底の時期から今に至っては、お祝い事ばかり続き、様々な幸せに恵まれている。

仮に人並みの順番で経験するパターンの人生だったとしたら、どんな風になったかなと想像することもあるが、病気の家族のために安い月給を捧げて働き、性格も歪んで結婚から遠のき、幸せになる周りの人を妬んで孤立する自分しか想像つかない。つまり順番はいつまでたっても進まない。私も結婚したかったな、素敵な家に住みたかったな、子どもを産みたかったな、家族を増やしたかったなと、願望が膨らむ一方で、一つも叶えられなかった絶望感の中で歳を重ねていっただろう。

丸顔で能天気な言動から、私は割とお気楽な人生しか送ってこなかっただろうと勝手に推測されて、何にも知らないお馬鹿の娘みたいな扱いを受けることもある。ガツンと言ってやりたくて実は違うことを説明したくなるけど、話すと大分長くなるし、陰鬱な気持ちにさせてしまうから黙ってやり過ごしている。そしてそんなに幸せそうに見えるなら良いかと思うことにしている。人は見かけによらないのだ。


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