top of page

偏差値30だった僕が海外のトップスクールで学んだ、学力を飛躍させるための鍵

Image by Olia Gozha


  僕は高校3年生の頃、非常に頭が悪かった。   県模試は毎回最下位。 もちろんクラスでも、最下位。   周りの友人からは、"偏差値30製造機"と呼ばれていた。   いくら勉強しても 僕の学力が伸びていくことはなく、大学受験では全落ち。   翌年、満を持して再度挑戦するも “学習”を理解していなかった僕は、またもや見事に全落ちした。   誰がどう見ても勉強の才能なんて微塵も持ち合わせていなかった僕だったが イタリア人を彷彿とさせるような彫りの深い恩師と出会い、僕の人生は一変した。   僕の学力はみるみる飛躍し最終的にはオーストラリアの東京大学と呼ばれるメルボルン大学へと歩みを進めることができた。  

世界ランキングでは東京大学よりも遥かに上の大学だ。   偏差値30製造機、オーストラリアの東京大学へ。   あまりに急激な成長だったため 正直自分でも何が起きたのかわからなかった。   今の自分と昔の自分を比較しても 何が異なるのか全く思いつかなかった。   自分のことは、自分は一番わからないものだ。   どのようにして僕の学力が一気に飛躍したのかというのは とても気になるところかもしれないが 学習法に関してはまた別に機会に書くとして今回焦点を当てたいのは、海外大の学生だ。
やはりトップスクールとなると、学生のレベルが極めて高い。   マジか、そんなことまで知ってんのかよ・・・ ってくらい深いところまで勉強している学生が多い。   そんな人たちと議論を交わさなければならないので 待ち受けていた大学生活は悪戦苦闘の毎日だった。   正直言って、毎日が地獄だった。   講義前に大量の課題が出されるのだが それを自分のものとして消化してから講義に臨まなければ まず間違いなく、議論でコロサレル。   お話にならないのだ。   だから毎日必死だった。
課題が大量すぎて夜通し頑張っても消化しきれないこともあった。   それでも周りは待ってはくれない。 ドンドン先へ先へ進んでしまう。   このままではマズイ、マジで俺、Fail(授業を落とす)する・・・   本気で恐怖が湧いた。   毎日大量に出される課題。 それを平然とこなす、友人たち。   (こいつらマジでバケモンだろ・・・) そう思わざるを得なかった。
(何がちゃうねん・・・)  でも冷静に考えて、何かキーになるものがあるはずだ。   1日は24時間と決まっている。 ドラゴンボールに出てくる「精神と時の部屋」があれば別だが これだけはみんな平等で、変わらない。   使っている教材や文献もみんな同じだから、ここも基本的に変わらない。   だとしたら考えられるのは、本人の何かしらに問題がある。 僕と彼らとの間に、何かしら異なる点がある。   そういう仮説にたどり着いた。   そして、彼らを観察した。   僕は結構、人間観察が得意な方だと思う。   いつもはないはずの寝癖が妙に気になったり この女の子、今日は若干化粧が薄いから、寝坊したのかな?とか 靴が革靴からスニーカーに変わっていたので、この後運動する予定があるのかな?等々 その人を見て、その人の行動が何となくわかったりする。   学習の要素を捻り出す時も この変態チックな人間観察を使った。   (てめーらの学習の鍵を盗んでやるぜッ!!)   そう意気込んでこっそり観察を始めるも、目立ったことは特にない。   毎朝8時に大学に来て、同じ講義を受けて、一緒にランチを食べまた同じ講義を受けて、一緒に夜ご飯を食べながら勉強して、夜の10時に帰宅する。   1日のスケジュールは、僕とほとんど変わらない。   (おいおいウソだろ・・・)   僕の変態チックな人間観察は、あっけなく敗北した。   このままでは、僕はFailまっしぐらだ。   せっかくメルボルン大学まで来ておいて 「授業についていけずに中退しました」 なんてオチはさすがにダサすぎる。  何としてで学習の鍵を見つけなければならない。
そこで僕は1番仲の良いいつも右の襟足が寝癖でうねっているオーストラリア人の友人にランチを食べながら恐る恐る聞いてみた。   僕「ねねね、いつもどうやって課題消化してんの?」 (Hey mate, how do you usually deal with the fricking tasks everyday?)   友人「うーん、ふつうに?」 (Hmm, as usual?)   (いや、ふつうにって何やねんwww) (やっぱ天才なのか?この野郎www)   おそらくふつうのテンションで聞いても この癖の強いオージーには軽く流されて終わるだけだと思った。   ちょっと悔しい気持ちも混じりながらも 正直に聞いて、深く追求してみようと思った。   僕「そっか。いやさ、正直なところ毎日の課題ほんと苦しんだよね。でも君は平然とやってのけちゃうじゃん?同じ時間、同じ文献使ってるのに、何が違うの?」 (Alright, I actually always struggle with the readings but you don’t, we are almost on the same schedule and using same resources though. What’s the difference between us?)   友人「うーん、チハヤさ、勉強するのにどれくらいの時間が必要だと思う?」 (Well, How much time do you need for study, Chihaya?)   僕「え、30分くらい?」 (Ahhh, about 30 min?)   友人「そりゃ捗らないだろうね!笑」 「That’s impossible, mate, hahahaha」   何が"Impossible"なのかサッパリだった。   というか、Impossibleてwww 腹立たしい以外の何ものでもない。笑   そもそも同じスケジュールこなしてるんだから そこは変わらないはずだろ!と思った。  ちょっと怒りながら問い詰める。
僕「だから何が違うん?笑」 (So what?)   友人「勉強は3分でするものさ」 (3min is well enough for study)   僕は唖然とした。   (3分て、俺の十分の1やんけ・・・)   (やっぱこいつ天才か・・・)   僕の悔しさは最高潮に達していた。   コーヒーを一口含んで、彼は続けた。   友人「そもそも、どれくらい思考してる?」 (By the way, how often do you “consider” one topic?)   僕「3回くらいかな?・・・」 (Well, 3 times?…)   友人「そんだけ?」 (That’s it?)   僕「え、あ、うん・・・」 (Umm, ahh, yeah…)   友人「そりゃ毎日しんどいだろうねwww」 (Your uni life must be the hell, hahaha)   僕は訳が分からず、もう一度、彼に問い詰めた。 でもその答えは、僕の常識を覆すものだった。   友人「僕らに差なんてないよ、ただどれだけ思考してるかだよ。思考するのに3分もあれば十分。今日の晩御飯何にしよう?って考えるのに、30分も必要?笑」 (There is no difference between us, just the frequency of thinking for one topic, which takes about 3 min. You don’t need 30 min to think what to eat for dinner, don’t you?)   僕「仰る通りです・・・」 (No objections・・・)     脳科学的な話をすると 何かを考えたり、思い出したりする行為というのは 脳にとっては物凄く負担のかかるものだ。   負担がかかるからこそ、脳は成長していく。   筋肉量を増やすためには筋トレして負荷をかけなければいけないのと同じように脳にも負荷をかけることで、脳は急激に活性化していく。   具体的に説明すると、考えている物事に関しての脳神経が太くなっていく。   脳神経が太くなれば、その情報を自由に使えるようになる。   ざっくりした話、僕らが日本語をうまく使えるのは日本語における脳神経が太くなっているからだ。   そして脳神経を太くできるかどうかというのは、思考する回数で決まる。   思考したり、考えたり、思い出したりする行為は、3分もあればできてしまう。
慣れている人であれば、1分で行うことができる。   歩いている時、ご飯を食べている時、運動している時、そして、トイレしている時。   頭の良いとされる人たちは、ほんの少しの時間を使い何度も何度も思考しているから、頭が良い。理解力も高いし、思考スピードも極めて早い。
まるで50メートル走をインターバルで何度も走っているような感じだ。   思考する回数が多ければ物事をどのように思考したら良いかというテンプレートが出来上がりその分時間も短縮できてしまう。   パターンが決まっているので それに当てはめるだけで良いからだ。
数学を勉強する時に、わざわざ問題を一から解いたりしないはずだ。まずは公式を頭に入れてから、問題を解き始める。公式は問題をパターン化し、本質を抽象化しているのでパターンとして当てはめていけば、解ける問題数が増えるからだ。  こうして時短を極めていく者とそうでない人の間で 学力の差は広がっていく。   この強烈な話を聞いた後、僕は思考する回数を意図的に増やした。
できるだけシンプルに、そして短時間で行った。   僕に変化が起きるのに、そんなに時間はかからなかった。   日に日に課題の処理スピードは早くなり 「あー、またこのパターンね」 というものが増えていった。   最終的には時間に余裕が生まれ 余った時間でさらに勉強を進めることができるようになり  議論でも対等に戦えるようになった。
あまり得意ではない分野の文献であっても 課題が追いつかなくて議論でイチコロなんて状況にはならなくなった。     偏差値30だった昔と、今の僕を比較した時 何が違うのだろう?と考えても これまでは一切これといったものは思い浮かばなかったが 癖の強い友人によって答えは見つかった。   頭の良い人と、そうでない人の間に 人としての差はほとんどない。   あるのは何が学力を飛躍させるのかという情報格差。   そして学習における鍵となる情報とは 時間の細分化と、思考回数。     現状、どんなに頭が悪いとしても、関係ない。   知っているか、知っていないか   ただ、それだけの違いだけだ。


←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

高校進学を言葉がさっぱりわからない国でしてみたら思ってたよりも遥かに波乱万丈な3年間になった話【その0:プロローグ】

2009年末、当時中学3年生。受験シーズンも真っ只中に差し掛かったというとき、私は父の母国であるスペインに旅立つことを決意しました。理由は語...

paperboy&co.創業記 VOL.1: ペパボ創業からバイアウトまで

12年前、22歳の時に福岡の片田舎で、ペパボことpaperboy&co.を立ち上げた。その時は別に会社を大きくしたいとか全く考えてな...

社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(1)

※諸説、色々あると思いますが、1平社員の目から見たお話として御覧ください。(2014/8/20 宝島社より書籍化されました!ありがとうござい...

【バカヤン】もし元とび職の不良が世界の名門大学に入学したら・・・こうなった。カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーでの「ぼくのやったこと」

初めて警察に捕まったのは13歳の時だった。神奈川県川崎市の宮前警察署に連行され、やたら長い調書をとった。「朝起きたところから捕まるまでの過程...

ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

旅、前日なんでもない日常のなんでもないある日。寝る前、明日の朝に旅立つことを決めた。高校2年生の梅雨の季節。明日、突然いなくなる。親も先生も...

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

bottom of page