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13/5/30

一年間の浅いい話第二回

Image by Olia Gozha

 続きましてはおばさまBの話ですが、大阪のおばさまはメチャメチャやさしいというはなしに変わりはございません。

 今となってはもう昔の話ですが、前述のおばさまAが深夜のフロントならおばさまBは昼のフロントです。ですからおばさまBもやさしいおばさまに違いありません。それはいいとして、そのおばさまBはとてもまじめで仕事熱心な方でありました。ホテルの仕事と言えども、多大な事務仕事、その大部分が無駄で必要のない事務仕事の塊でありまして、接客業とはいえ大方の仕事は事務雑用でありまして。それはともかくもそうした不必要な事務仕事をひとりでこなすくらい真面目で仕事熱心な方でした。加えてもうすでに中年の域に達しているというのに、頻繁に三つ編みのおさげをふたつこしらえて出勤してくるくらいの生真面目なお方でした。そのおばさまBは会社のために日々尽力しており、あらゆる無駄遣いを許しませんでした。ある日、私が従業員用のトイレに駆け込むとすかさず後からついてきて、頃合いを見計らって、電気を消してくれました。さすがの私もいい年をこいていますし、真っ暗闇のトイレの中でとはいっても、便器をそらして用を足すわけにもいかず、「やめてくださいよ」と苦情を申し上げたところ、「節電やろ」と一括されました。たしかにそれは蒸し暑い真夏の日の出来事でした・・・

 やさしいと甘やかすは違います。おばさまBは本当にやさしい人でした。私がそのホテルで働きだして間もない頃のことです。客室を清掃していたところ、フロントからインターフォンがなって「その部屋売ってくれへん」とのことでした。おばさまBからの電話です(一般的にホテルにおいて『売る』とは清掃を終了することを意味します)。私は意味がわからず「売るってなんですか」などと質問してしまいました。それでもおばさまBは怒鳴ることもなく「もうええわ」と電話をきってしましました・・・




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