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13/5/30

もう40年も前の、学生運動の話 第六回

Image by Olia Gozha

学生の意見は、ゴミ箱に捨てられる?

さて、「念書も知らないって・・・お前ら、勉強せえよ!」と言われても、知らないものは知らないと言えるのが1回生の強いとこ。

一応説明もしてもらい、これから起こることも理解した僕たちは、ことのなりゆきを見守っていた。

が・・・、しかし・・・。さすがは「代理」と付くだけの、ただの操られ先生では話にならないということが、だんだんはっきりしてくるのだった。

うむむ。何の権限もない人間を送りこんでくる。で、「集会に代表を送って、学生の話はしっかり聞きました」で終わらせようという魂胆。

「聞いた学生の意見には、何も答えないし、何もしない」

って・・・。意見を紙に書かかせて、いただきましたと言いながらゴミ箱に捨ててるのと同じじゃん!

それに対して4回生は、何らかの行動を約束させる「念書」というものをつきつけたのだ。

当然、代理にサインなんてできない。サインしたら、それこそ大学教授という職がなくなる。

じゃ。誰なら念書にサインできるのか? 大学の責任者は、誰なのか?

学部長代理は、「大学の責任者が誰かという問いであれば、それは学長か理事長だ」と、ここだけははっきり明言した。

押しつけられた「ゴミ箱」の役割に、うんざりしていたんだと思う。


よっしゃ~! 理事長、探すぜぃ!!

念書は知らなくても、次に何をしたらいいのかは、すぐ分かる。

当然学内にいない学長か理事長を、草の根わけても探し出す!

ねぇねぇ。学長っても、やっぱり先生やろ? さっきの代理と一緒ちゃう?

よし! じゃ、理事長! てことで、ターゲット決定。

まず、いつも便利に使われてやってる学部事務室のスタッフを捕まえる。

ねぇねぇ。こないだ、仏文のちょっとかわいい女の子、紹介したげたよねぇ。あと、答案用紙の仕分けとか無料で手伝ってあげたけど、あれバイト代出てるんだってねぇ。

てな弱みをくすぐりつつ。あくまで自発的に、理事長の自宅とか定宿にしてる大阪のホテルとかを、独り言としてつぶやいていただく。

それは、たまたまそこにいた僕たちの耳に聞こえる。

データが揃ったら、次は軍資金。

2回生で、医者のボンクラ息子の家庭教師をして荒稼ぎしているやつがいる。

先輩~! ちょっとお金貸して~!

と、声をかけにいくのは、卒業後ローカルながらテレビにも出るようになった女の子の役目である。

当時女の子であれば足の太さに関係なく全員ミニスカート、という時代だったが、この子ののミニスカート姿はさすがのものだったなぁ。

速攻で5万円ほど調達してきた。

次は、行動隊の選出。

なぜかジャンケンが弱いやつってのはいるもんで、ここもジャンケンで予想どおりの結果に落ち着く。

4回生がその行動隊を呼びとめて、何か書類にサインをさせていた。

これが、いわゆる「救援対策カード」。略称キュータイカード。

主に警察に捕まった時の連絡先なんかを書かせるという大義名分のもと、何があっても自己責任! ということにサインさせる書類である。

細かなとこまで、4回生は抜かりが無い。勉強になる!

と。ちょっと青い顔になりながら出て行く行動隊が、翌日理事長を連れてきちゃうんだから面白いよね。


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