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13/5/29

600㎞を越えろ~終わりは始まり~

Image by Olia Gozha

平成25年2月22日…ある決意を秘め、私は姫路に向かいました。彼が何を考えているのか…未来を見てくれているのか…見極めたかったからです。もし、二人の未来のことを何も考えていないならば、お別れしようと決めていました。それを確認する為にも時間が欲しかったので…いつもは9時~10時位に待ち合わせしていたものの、今回は夜から会おうと約束しました。

不運にも、彼はこの日腹痛にずっと苦しめられており、更に凄く嫌な会議が夜遅くまで続くこととなります。結局、仕事が終わったのは22時過ぎでしたが…連絡無精の彼にしては珍しく、お腹が痛いとメールで連呼していたので相当辛かったのでしょう。流石に体調が心配だったので、「少し休んでから迎えに来てね」と伝えました。私は21時くらいには姫路に到着しており、既に長いこと待っておりましたが…仕事で心身疲弊している彼に比べれば楽なものです。だから、特に待っていることに対して不満はなかったのですが…。

23時

0時

1時

姫路駅高架下にあるマクドナルドの店内にいるとは言え、冬の深夜です。寒くて寒くて…身体が震えました。お腹が痛いから、もしかすると休み休み向かっているのかもしれない…そう思って耐えて来ましたが、彼の実家から姫路駅までは車で40分程度…流石にかかりすぎです。

2時

3時

もう座っていることすら体力的に困難でした。フラフラになりながらも漫画喫茶に移動し…しかし、そこで眠る訳でもなく…声を押し殺してひたすら泣いていました。もう帰りたい…もう別れる…人がどんな思いで待っているのか、きっと彼にはわからないのでしょう。

どんな思い…?

…どうか…どうか寝落ちであって欲しい。腹は立つけれど、でも…交通事故なんかより全然良い…。

泣き続けたことと、友達にメールをしたことで…少し冷静になった私は、恐る恐る彼にメールを出しました。今思えば、ずっと彼を待っているだけで…朝7時になるまでメールも電話もしていなかったのです。

凄いスピードで返信が来ました。

メールの文面からも、彼が相当焦っている様子が伺えました。いつも、何があっても動じない彼だからこそ、多少の文面のズレが生じたことで平静ではないことが明らかでした。どうやら、私の言葉の通りにしようと少し横になった所で…目が覚めたら朝になっていて、更にそれを見計らったかのようなタイミングで私からメールが来たみたいです。

「すぐに向かいます」

普通だったら、怒られるのわかっているから…何だかんだ理由をつけて逃げたい筈なのに、こういう所は凄く真っ直ぐな彼。捻くれているように見せるけれど、嘘なんてつけない、裏表のない性格で…だから…

だから、好きになった

返信が来た瞬間、交通事故じゃなくて良かったって…そればかりだった。待たされたことに対して、不思議と怒りなんて消えてしまっていました。そんな自分に気が付いた時…ああ、敵わないな…と苦笑が浮かびました。

大事件となってしまった寝落ち問題…しかし、これって実はよくあること「凡ミス」なんですよね。私もかつてやりました…連日の激務が祟って、すっかり出かける準備まで終えて目を閉じ…そのまま眠りに落ちてしまい、家族に非常に迷惑をかけました。しかし、「珍しいね、凄く疲れていたんだね。」と笑って許してくれました。

そう、笑って終わる程度の問題なんです。こんなので、別れる・別れないの問題に発展する方が不思議な位なんです。そもそも、相手が辛い状況にあることを理解しているのですから。では、どうしてそれが問題になったのか…理由は単純明快、遠距離恋愛で普段会うことすら出来ないからです。だから、こんな小さな事が波紋を広げてしまう…冷静な気持ちで向き合うことが出来ない。何でもかんでも、一喜一憂して自分の首を絞めてしまう。

じゃあ…どうすれば良いのか…もう、私の中に答えはありました。不安がない訳ではないし、そもそもこれを伝えて相手がどんな反応をするのか…考えただけで心の臓が破裂しそうでした。お腹が痛いのを堪えながら、必死に迎えに来てくれた彼は、ひたすら謝り続けていて…プライドだってあるだろうに、それをかなぐり捨ててまで。ならば、私だって恥も外聞も捨てて…自分の気持ちを伝えよう。

まーたん「これって、本当に凡ミスだと思うの。私だってやる失敗だし…こんなことでイライラしたりして関係を壊したくない、ずっと一緒にいたいから。」

K坂「うん」

まーたん「だから、私こっちに住む!!もう決めた!!」

K坂「えっ、いや…それは嬉しいけれど…」

驚いた表情を見せる彼でしたが、決して嫌がってはいない様子で…それだけで、凄く幸せを感じました。普段は素っ気ない彼だけれど、私が会いに来ることを何だかんだ嬉しく思っていてくれたのかなと…そう感じることが出来ました。

しかし…これで私の告白は終わりません。

万博公園へとドライブをしている最中…会話が途切れたのを見計らい、私は一世一代の大告白をしました。

まーたん「一つ提案なのだけれど…」

K坂「うん?」

まーたん「一緒に…住まない?」

K坂「自分も…それを言おうと思っていた…」

お互いに好きだと伝え、リアルな世界で連絡を取り合うようになって約1年…良い歳をした大人2人の時は漸く一緒に動き出したのでした。



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