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第2章〜天狗になってどん底に落ちた〜

Image by Olia Gozha

    大学生になってすぐ僕は集団塾で英語の先生を始めた。  高校受験を控える中学生が生徒だ。   "2年と8ヶ月。"   これが、僕がその塾に勤めた期間。  大学3年の11月まで続けた。   11月。  そう、中学1年生の頃からずーっと面倒を見てきた彼らを  僕は受験直前に見捨ててあろうことか塾を辞めたのだ。     経緯はたくさんある。  家から学校まで3.5hかかるため学業と塾の両立ができなかった。 塾では生活費を十分に賄うこともできなかった。 恐ろしく激務薄給の世界だった。  そんなのも言い訳としては認められるのかもしれない。    しかし心の底の本当の理由は恐らく違う。  本当の理由は  僕が担当のクラスを一つにまとめ上げることが最後までできなかったからだ。
たったそれだけのこと。 
 しかし僕の同期たちは皆それぞれの担当のクラスを文句なしにまとめあげている。  
 それぞれのクラスに学力の差はあれど伸び率や教材の進捗具合を競い合っているほど生徒たちは皆やる気になっていた。   例えるならばあれはもはやオリンピック。 それぞれのクラスはそれぞれの国家とでも言わんばかりの熱量だ。   そう、僕のクラス以外は。   僕は、生徒たちを一つのクラスとしてまとめ上げることができなかったのだ。 一人一人に対してはこれ以上ない仕事をした自負がある。   しかし僕には統率力というものが圧倒的に欠落していた。    終礼時。 30分間
「ここのクラスの子達、最近すごいね!」
「上のクラスの子達じゃないのによくやってるな!」 誰かがクラスの話をする度に全身をナイフで一刺しずつ刺されているかのような まさに生き地獄の半時間だった。  僕に居場所なんてなかった。  あれほど自分の無力さ、無能さ、背徳感に押し潰されたことはこれまでかつて一度もない。    そして、経済的にも生活ができなくなってきていた11月。  
僕はまるで逃亡するかのようにその塾から姿を消した。   こんなに情けない男がいるだろうか。   情のかけらもない。 責任感もくそもない。  劣等感絶望感虚無感悲壮感 ありとあらゆる負のスパイラルに僕は初めて飲み込まれ 自分を責め続けた。   悔しいなんてものではない。 ペットが死んで以来の涙も流した。   彼らは国を作り上げた。 教室が領土国民が生徒主権が教師 国家の三原則までしっかり満たしている。   彼らにできるのであれば 僕にだけできないなんてことはないはずだ。 そのとき、僕は誓った。  死ぬまでに、必ず自分の国を作ること。  根性だけは幾度なく浴びせられた「お前には無理だよ」に徹底的に鍛え上げられてきた。  では、国家を統率するために必要な力とはなにか。  統率力とは何から成るものか。  僕は必死に考えた。  そして答えはいとも簡単に出た。   何よりもまず必要なものは 人に価値を提供する力。 未来を見せる力。 欲求を掻き立てる力。 大衆を扇動する力。   そう、営業力だ。   迷いはなかった。   僕は慣れた操作でTwitterを開きなるべく営業の叩き上げで生きてきた経営者をとにかく探した。    しかし、そんな大物の経営者がそもそもtwitterで簡単に見つかるはずがない。   見つかったとしてもこんな中途半端な人間に時間を割いてくれるとも思わない。  しかし僕はそれでもどうしても諦められなかった。  あの出欠多量で命を奪われた自尊心の亡霊が黙っていられるわけもない。  ツテもない。コネもない。だけど諦めなかった。死に物狂いで探した。                  見つけた。              ふと気が付いたらいつのまにか僕は事業主として、マーケッターとして 驚くほどに有意義な毎日を送っていた。    本当に人生何が起きるか分からない。  やろうと思えば何だってできる。   僕はこれから誰も追いつけないスピードでこの世界を駆け上がっていくから  楽しみにしていてほしい。  だけど、それをひけらかすように配信するつもりもない。  これから僕と付き合っていく人たちが見ていてくれればそれでいい。 
 何かを感じてくれた人は 一緒に世界を駆け上がれたら嬉しい。   チャンスは待ってくれないから、   僕は先に進み続ける。    〜コアラ戦士(S.O)〜line://ti/p/@fvt0649o

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