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17/10/7

最愛のビッチな妻が死んだ 第27章

Image by Olia Gozha

交際41日目 3月29日

 夜中、仕事から帰って来た僕とあげはは前々から気になっていた近くの餃子専門店に行った。

 味はまあまあだったが、チャーハンなどのごはんモノが一切なく、料理食べる時にはライスが必要不可欠な米派の僕たちには不満が残った。

「ふう」

「ごめんで済んだら警察要らない。これは格言?」

「脅し文句やな」

「餃子屋のドア怒って閉めてる?ww」

 僕が店から出てる画像が送られて来た。

「盗撮(T ^ T) 別に怒っとらんよ」

「店構え撮ろうとしたら出てきたんだもん。撮るでしょ」

 次はどこの店に行こうか話し合い、家路に着いた。

「いってらっしゃい」

「いってきます」

 この日は僕はとある場所で張り込みだった。張り中にも関わらず、あまりにも樹々が美しかったのであげはに写メを送った。

「いい並木道なんだよ」

「本当だね、キレイ。でも、やっぱ枝垂桜って少ないね」

「新宿御苑、行く?」

「今日?」

 僕たちはいつも、思いついたら即行動。善即斬だ。ただ、あいにく僕がこの日職場の送別会が入っていた。

「送別会の時間次第だろうから、予定みえたら教えてーー」

「了解。おウチにただいましてるよ(家)」

 あげはは僕の家に来て、家事を済ませておきたいと言った。

「ノーパン洗濯」

「画像はよ」

「おしっこしてる」

「好きだよ」

「今日はあげの方が好きって。テレビでやってる」

「テレビの言うことなんか全部ウソさ。明日以降は僕の方が好きって報道するぜ」

「新聞に」

「東スポだな」

「何となく体が硫黄くさい。

「僕も気付いてないけど、臭いのかな」

 昨日、温泉に入ったからだろうか、2人ともほのかに硫黄の香りがした。

「汗腺から出てくる感じ。ちょっと遅い朝ごはん。いただきます。"

 僕たちの日常はこんな感じ。いつも通り、ただひたすらにかけがえのない日々は過ぎてゆく。

「いつもありがと」

「僕の方こそ、出会って好きになってくれて、一緒にいてくれてありがと」

 いつだって、僕たちは、星や太陽や月、森羅万象は恋愛相手によって構築されている。

「6時半護国寺だね送別会」

「すいません、自慰してました」

 いつだって(略)

「そかー、仕事終わる時間次第ね」

「仕事は1時過ぎには終わる」

「もうすぐやん」

「自慰が?」

「自慰は二回戦に持ち越しかけて、我に返って洗濯物干してるらしいよ

「「初めて一人で布団を干してみる (足す)50ポイント。布団叩きが見付からない (マイナス)20ポイント」

「どこだっけかな」

「プレイバッグから鞭を出そうか悩み中」

「リビングにしかないはずだが」

「新宿待ち合わせで御苑行かない?」

「何時待ち合わせ?」

「あげに合わせるよ」

「二回目の洗濯回し始めちゃったんだよな」

「回しながら用意して、何時出れそ?」

「洗濯30分位で終わるかな。シャワー浴びて、干して、駅迄10分、電車で20分だからー14:30〜15:00。とりあえずシャワーする」

「3時に新宿、にしとこっか」

「うん」

「早めに着いて、新宿ブラブラしとく」

「サンドイッチとか作っとけばよかった」

「それはピクニックの時に」"

「"準備完了。洗濯待ち」

 僕はあげはの始まりを、あげはは洗濯の終わりを待っていた。

「ごめん。目薬とリップ洗ってしまった」

「中身無事なら大丈夫だ。入れっぱなしの僕の落ち度だし」

「いやー、液体と液体だよ? 粘膜に挿れるもんだし、不安だ。物干し完了。一服して出るよ」

 僕は昨日も今日も会ってるのに、あげはが待ち遠しかった。

「クロワッサンタイプのサンドイッチが似合う装いで軽やかに家を出るよ。新宿駅でいいんだよね?」

「今から会社出る。ドンキ前くらいでどう?」

「え、辿り着けるかな」

「新宿アルタ前広場は?」

「わかりそう」

「アルタ前広場で(*^◯^*)」

「西武新宿から歩く感じ? 合ってる?」

「合ってるあ、西武新宿駅で待ち合わせよう」

「電車、いつ振りだろ。間違って夏の装いを」

「バカンス感」

「う」

「う?」

「ハンズのポイント5倍が明日までだ。2万持ってたら貸してーー。どうせ買うなら5倍のうちに。あと今保有してるポイントが明日で切れる」

「金下ろせば貸せる」

「貸して貸してーー。仕事入る迄無期限で。しかし持てないから明日点検の前に車出そうかな」

「いいよ」

「これで、かわいいい皿が揃うな。しかし、置き場がないな。こんな話昨日したね」

 話はお皿から桜へと移る。

「文京区の六義園、枝垂桜がキレイなのね」

「今週いっぱいは桜パトロールに費やすか」

「夜桜調べてた。今日共輔呑み終わったら車で行こうかと。今六義園は満開なんだけど、ライトアップが21:00とかまでで。てか、電車久々過ぎてデパス」

「行こうか〜」

「ライトアップされてるとこは早く終わるから、今日じゃなくてもよいよ。着いたーー」

「はや。

まだバスに揺られてます…ゴメンよ」

「何口に行けば?」

「ンキ前かアルタ前、分かる方で」

「今、北口と正面。え、じゃあ職安通り方面かな。カンで進んでみる」

「歌舞伎町のドンキだよ」

「西武新宿だもん、初めて降りた」

「ラビの看板見える?」

「ない」

 僕たちは極端で極度の方向音痴だ。

「…何が見える?富士そばは?」

「大丈夫、くるまでのんびり探すから。らび見えた」

「ラビの向かい近くね、ドンキ」

「ここまでくれば大丈夫。だと思いたい」

 やっとあげははドンキに着いたようだった。

「中におりなさい。もう着くから」

「はーい。あ、知り合いのお好み焼き屋の近くだね。今度お祝い付き合って」

「いいよ。渋滞で遅れてゴメンよ〜」

「平気だよーー。ナンパもキャッチも居ない平和な時間だし」

「安心」

「ギャルが桜色の服着てるな。桜より私を見て♡」

「ドンキ向かいに着いた」

 僕たちは御苑でしだれ桜や季節を堪能した。

「楽しかった。気を付けて帰ってね( ̄▽ ̄)」

「用事できたから今夜は出掛ける。送別会楽しんでねーー」

 夕方、僕は送別会に、あげははおウチに帰って行った。

「洗濯物取り込みにいったん帰る。

 数分後、あげはからLINE。

「諸々の充電切れるから、また」

「わかった」

「ちょっと旅に出るね」

「なんで? どうしたの?」

「なんでもないしどうもしてない」

「心配するから、連絡だけはちょうだい」

 夜10時、僕はまだ飲んでいたが旅に出たはずのあげはからLINEがきた。

「きもちわるい」

「べげたみんのんでたたおれてた」

 僕は飲みをすぐに切り上げて、家に急いだ。

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