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17/10/6

最愛のビッチな妻が死んだ 第26章

Image by Olia Gozha

交際39日目 3月27日

 今日は思いつきで、昼間から会社をサボって横浜デート。ド平日、高速も空いている。お揃いのサングラス、いい天気、あげはの機嫌もいい。

 シドチェーンを付けていた僕の服を脱がせ、裸でサングラスの僕の写真を撮るあげは。

 僕はそんな無邪気に振る舞うあげはをとても愛おしく思った。

「ヤクザの新年会でもらった重箱に、おむすび突っ込んで横浜——っ!」(あげはのSNSより)

「デジカメ持ってたのにな。バッグから出してすらないわ」

 僕たちは写メを撮る暇もなく、愛情確認と求愛活動に忙しかった。

みなとみらいを探索した僕たちは、芝生の上でお弁当を食べた。どこから見たってイカしてるぜ。クールなロックみたいに、汚れ知らず♪

 僕はその後、会社に戻り、仕事→地元での飲み会があったため、一旦あげはと別れた。

「中野で友達と夜御飯! と思ったけど千円しかなくて挫折。帰るーー」

「お金渡しとけばよかった」

「いらんいらん。ない時はないなりの生活できるスキルあるし。嗚呼、洗濯物! 頑張ろう」

「よろしく〜」

「ただいまーー(家)」

 仕事を終え、僕は地元の飲みに参加した。

「あげの話題に」

「え、あの話題の超良い子のあげ? 濡れやすくてイキやすいあげ」

 あげはから、湯船で歯磨きをしている画像。どうやら入浴中らしい。

「風呂?」

「風呂。がんがん風呂。ムチウチなww」

 今日もあげはは自分を、そして僕を見てる。

「鏡を見て戒めてる。あげが知ってる身体じゃない。このデブ誰っすか」

「太ってても痩せてても、あげははあげはだ。何も変わらないよ。今日は早く帰るね」」

「早く帰って来てもデブはデブ。共輔も念入りに肌ケアしないと。今日一日で日に焼けてる」

「焼けたかな」

「念入りに肌ケアしたい。ビタミン摂りたい」

「机の上にあるよ」

「後で貰うーー。間違って勃起薬だったら困る」

 僕は何気なく左手薬指につけているリングの写メを送った。

「わ、指輪素敵ですね。三度目の正直婚約指輪がないと泣いちゃうって。薬指がかわいそう!」

 あげはから左手の画像が送られてくる。

「ほっこり。よいことした気分だ。引き続き、いつもかわいいレターセットと切手持ち歩こう。昨日激しめに抱かれたに違いない。して幼夫よ、電車で帰る? 山の手遅延してるので注意」

 僕はまたあげは切れを起こしたので、早々に飲み会を終わらせる予定だったが、如何せん相手は久しぶりに会う20年来の友達。簡単には帰してくれない。日付が変わっても一向に宴は終わる気配すら見せなかった。

「終電逃す系な気が」

「お好きなだけ呑みなはれ」

「迎え…」

「行く行く。安心して呑みなされ。芸の肥やしと、教えられておりま

す。迎えるし送るし至れり尽くせりよ。その代わり激しめに抱かれる」

「ぼち西荻出る」

「西荻まで行く? 20分くらい」

「中野でよいよ〜」

「はいよ。もう出ていいの? ごめん、掃除が途中で、帰っても気持ちよくない」

「西荻に迎えこれる?」

「うん。出て欲しい時言ってーー」

「お願いします」

「え、だから今?」

「うん」

「はーいよ」

「ありがと」

「愛してる」

「愛してるよ。道わかる?」

「現在地送って」

 僕は現在地をLINEで送った。僕たちは前々から気になっていたゲバラロゴの看板を掲げたバーにいた。

「バーBITCHにおる」

「ビッチなの? 働かなくては」

「店の名前はビッチだよ。中身はわからん。店の場所わかる?」

「わからん」

「どしよ、迎え行く?」

「平気」

「地下よ。どこ?」

 迎えに来たあげはを友人たちに紹介した。

「私が噂の妻あげはです。ちなみに今、ノーパンノーブラです」

 みな、好奇と懐疑の目を向けることなく、笑っていた。

 あげはの運転で帰宅した僕たちはリクエスト通り、激しく、愛しいお互いを求め合った。

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