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17/6/5

8話 寒い

Image by Olia Gozha

空港に着くとフライトが30分ぐらい遅れていた。

時間がない!

急げ!と思うのに入国審査が行列!

やばい!

こりゃ~朝ご飯はダメだな。身だしなみ整える暇もなく、すぐに荷物置いてホテル出発だな。

なんて考えていた。

しかし・・・嫌な予感がする。

・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・・荷物が・・・・来ない・・・・

もう・・・・ダメだ・・・・

現地ツアーにも間に合わない・・・・

楽しみにしていた現地でのツアーをキャンセルすることになった・・・

とりあえず空港のWi-Fiはつながっていたからメールだけはしておく。

そして、嫌な予感しかしないけれど・・・

希望をもって待った。

待ち続けた・・・・

でも、バッグが流れてこない。

空港の他のカウンターを探しても・・・もちろん・・・ない。

バッグが・・・・ない。

成田で預けた荷物がない・・・

はぁ~・・・・

困る・・・・

困る困る困る困る困る困る!!!

英語力ないよ!!!

これから滞在どーすんだよ!!!

だから言ったじゃないかよ!確認したじゃないかよ!こうなるのが怖かったんだよ!!!

と、どれだけ文句を言ったところで現実は変わらない。

ストレスをぶつける相手もいない。

荷物のサービスセンターみたいなところに並ぶ。

後ろに並んでいた北欧人っぽいおじさんに「どうしたの?」と声をかけられる。

『バッグがないんだよ~』

「私もだ。全くどうなってるんだ!」

静かに怒っているようだった。そーだよね!怒るよね!困るよね!腹立つよね!

怒っているのは自分だけじゃないと思って少し気持ちが楽になったサンジョーであった。

・・・しかし、英語力が上がるわけではなかった(汗)

案の定カウンターで何を言われているかよくわからない。なんとなくで通す。

荷物が見つかったらホテルに電話する。と、言われたと思う・・・

書類を書いて他の場所へ行けと言われる。

案内通り他の場所へ行って手続きみたいなものをする。

こちらでもやはり何を言われているかわからない。

相手もテキトーに案内していいわけではないので何度も同じ言葉を繰り返す。

なんとなくニュアンスを理解して、多分大丈夫だと思って『イエス』と『ノー』だけで会話は終了。警察みたいな人と話して、こりゃまた何言っているかわからないからなんとなくで終了。

空港の人から1泊分のアメニティをもらったけれど足しにならない。

というか手荷物が増えて邪魔だ。いや、ありがたいから持っていくけれどね。

空港からの送迎バス予約してあるところへいく。

なんかイメージと違う。

冷たい!!!

バスは往復分予約してある。

予約書を往復分のチケットと交換するように日本の旅行会社に言われていた。

しかしながら片道分だけ渡される。

え!帰り道の分もちょうだいよ!というと、予約書は自分で持っていろと言われた。

いいのか?これで・・・話と違うけれど・・・

現地の人がそういうのだから仕方ない。

帰りのバスも予約してある。何時にホテルに来るのか確認するように、これもまた日本の旅行会社に言われていた。

訊いてみても「知らねーよ」みたいな顔をされる。

・・・

最後に、バス乗り場はどこか聞くと、愛想のない顔でバス乗り場の場所を案内される。

別にこの人が悪いとは思わないけれど、心弱って言葉が通じにくい時にはキツイ。

空港の外に出てバスを待つ。

ビューーーーーーーー!

ものすごく風が強い。

防寒着は預けたバッグの中にあった。空港を出て寒かったら着ようと、バッグを開けたらすぐに取り出せるようにしてあったのに・・・あ~・・・なんかあの時間を思い出すと泣けてくる。


寒さと英語の通じなさのダブルパンチの嫌なものを抱えながらバスを待つ。

バスは30分に1本。

次のバスが出るまで20分ぐらいある。

この格好でサンジョーはバスを待つのか・・・

サンジョーの後ろに並ぶヨーロッパ系男女が不思議そうな目でサンジョーを見る。

(もしかしたら気のせいだったかもしれませんが・・・)

アジア人がほとんど荷物も持たずに寒そうにしているのだから気になったのだろうか。

普通アジア人は長い滞在のためにスーツケースを持っているからね。

この時のサンジョーの服装は・・・

ワイシャツの上にセーター。下はジーパン。

5月の日本はセーターなんて暑いけれど、朝は少し冷える。

空港や飛行機の中は寒いかもしれないからセーターを着ていこう。

そう思ってセーターは着ていた。

その選択肢がなんて素晴らしかったんだと思う。

荷物は・・・

ショルダーバッグとノートパソコン・・・と、さっきもらったアメニティ。

ショルダーバッグの中には・・・ガイドブック、手帳、PSVITA、パスポート、ヨーロッパ用のプラグ、充電器、タオル。

ノートパソコンは手で持つのは邪魔だったけれど、飛行機や乗り継ぎの時間暇だろうからと持っていた。普段から日記のようなものをパソコンに書いているから、旅の過程をちょいちょい書いて行こうと。(まさか書いて公開することになるとは思っていなかった)

ビューーーーーーー!

寒い。体が寒い。心が寒い・・・

楽しいはずの旅行が・・・憧れの地が・・・

なんでこんなことに・・・

帰りたい・・・・とか言いたくない。

アイスランドに罪はない。

憧れの地なんだ。ずっと来たかったところなんだ・・・

ううう・・・・

好きな人の悪口を言いたくない心理というか(笑)

実際にアイスランドで何か悪いことが起こったわけでもなかったから、アイスランドを悪くは思いたくなかったです。でも、嫌な気持ちなのは本当で、言っていることがあまりわからなかったことが悲しくて、身体的にも精神的にも寒さを感じていた。

本当にホテルにはつくのだろうか?

この旅は何が起こるかわからない。ホテルにチェックインできなかったらどうしよう?

バス乗り場間違えていたらどうしよう?

バスを待ちながらそんなことを考えていた。

ドライバーが来たときに確認してみると、大丈夫だと言ってくれた。

何故かアイスランドに来て初めて味方ができたように感じた。

航空会社への悪態を頭でつきながら、本当に着くのか心配もする。

そんな時間を1時間ぐらい過ごしてホテルに着いた。

バスを降りるときにドライバーさんに「荷物は?(トランクを開けるよ?)」

と聞かれて、ないと即答する。

フフフ・・・俺にはそんなもんねーよ。

サンジョーはこのとき、いわゆる「遠い目」をしていたであろう。

ホテルに入ってチェックインの手続きをする。

現地のツアー会社から電話があったことを伝えられた。

電話代はかからないからこの番号に電話をかけるように、と言われた。

日本人女性だから日本語でいいと思うよ。と言われた。

ホテルの人はいい感じの人だった。

バスドライバーに続いて味方が増えたように感じた。

良かった・・・ホテルまで冷たかったらどうしようかと思ったよ・・・

少し安心した気持ちで部屋に入り、まずは電話をかける。

・・・・って英語じゃねーか!!!

日本語話せるスタッフいないってよ!!英語だけだってよ!!

とりあえずキャンセル料は返金なしということで話は終了する。

ま。仕方ないよね~もともとそういう契約だしね。

と思う。

ため息つきながらメールを見てみると、現地ツアーキャンセルのメールの返信が来ていた。

フライト欠航のために減額などを交渉してくれるらしい。

なんて優しい・・・

電話では返金なしでOKしたけれど、返ってくればとのメールを送る。

パソコンがあるってありがたい。

スマホで書くのは時間がかかるからね。

ノートパソコンとセーター、あとスマホとパソコン両方を充電できる充電器は普段は手荷物で持たないものだけれど、何故か持っていた。持っておいて本当に良かった。ありがとう。昔の俺!

ありがたいものもあるけれど、気分は暗いまま。

寒い。めっちゃくちゃ風吹いてる。

隙間風っぽいのが入ってきてる気がする!

エアコンねーよ!!

まじかよ!!

アイスランド人すげーな!

こんな薄い布団でどうやって寝るんだよ!

部屋には毛布もなく、薄い掛け布団があるのみ。

俺は着替えがないんだよ!

どーしてくれんだよ!

寒い。悲しい。。。あ~もうだめだ。

友達にメールして愚痴聞いてもらった。ありがとう。

でも、今日はもうだめだ。寝てしまおう・・・

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