top of page

13/5/17

大学生のPHS事情についての座談会の思い出

Image by Olia Gozha

1996年。横浜の大学に通っていた僕はクラスで唯一PHSを所持していた。
クラスメイトからは「さすが東京の人は違う」などと煽てられ、最終的には「ベル打つから貸して」と、僕のPHSはみんなにいいように使われていた。特に電話してないのに、それなりの請求が毎月きていたが、PHSを持っているという優越感はなかなかのものだった。

夏。友達から「PHSに関する座談会に参加しない?」と誘われた。グループインタビューというやつで、1時間くらいディスカッションするだけで謝礼が1万円ももらえた。大学生にとってはこの上もない割りの良いバイト。二つ返事で座談会に参加することを伝えた。


座談会当日。指定された場所に集まったのは、僕を含めて5人の大学生。3人がN社、僕ともう一人がD社だった。その他、司会の方と関係者風の方がいた。

ディスカッションが始まった。「どんな時に利用しているか」や「どれくらい利用しているのか」「周囲の所有率は」などについてざっくばらんにディスカッションが繰り広げられた。

司会の方が「この中にはA社を使ってる方はいないんですねぇ」と振ったものだから、大学生達は一斉に「だって歩いているだけで伝播が切れる」「そうそう、電波悪すぎ」「CMすげー流れてるけど、そのお金でアンテナ作ればいいのにwww」などと話しだした。1時間のディスカッションの中で一番盛り上がった場面だった。


「ではこれくらいでディスカッションを終わります。今日はありがとうございました。」と司会の方が言い、大学生一人一人に謝礼の入った封筒を渡した。


封筒の中に明細みたいのも入ってた。主催社の欄にはA社の名前が書いてあった。


大学生5人は「あっ」という表情をし、司会の方の横にいた関係者らしき人と目を合わせないように、そそくさと会場を後にしました。

もらったお金で、その日発売だったスピッツの『渚』のシングルを渋谷のタワレコで買った。

←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

高校進学を言葉がさっぱりわからない国でしてみたら思ってたよりも遥かに波乱万丈な3年間になった話【その0:プロローグ】

2009年末、当時中学3年生。受験シーズンも真っ只中に差し掛かったというとき、私は父の母国であるスペインに旅立つことを決意しました。理由は語...

paperboy&co.創業記 VOL.1: ペパボ創業からバイアウトまで

12年前、22歳の時に福岡の片田舎で、ペパボことpaperboy&co.を立ち上げた。その時は別に会社を大きくしたいとか全く考えてな...

社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(1)

※諸説、色々あると思いますが、1平社員の目から見たお話として御覧ください。(2014/8/20 宝島社より書籍化されました!ありがとうござい...

【バカヤン】もし元とび職の不良が世界の名門大学に入学したら・・・こうなった。カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーでの「ぼくのやったこと」

初めて警察に捕まったのは13歳の時だった。神奈川県川崎市の宮前警察署に連行され、やたら長い調書をとった。「朝起きたところから捕まるまでの過程...

ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

旅、前日なんでもない日常のなんでもないある日。寝る前、明日の朝に旅立つことを決めた。高校2年生の梅雨の季節。明日、突然いなくなる。親も先生も...

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

bottom of page