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13/5/13

息子はもうすぐ四歳になる。

Image by Olia Gozha

息子はもうすぐ四歳になる。息子の歳を考えるとき、私はいつも兄を思い出す。息子が生まれる十ヶ月前に、兄は自殺した。



その出来事の一週間ほど前に兄から電話があった。兄は私に会いたいと言ったが、私は仕事が忙しいと断った。本当は仕事が忙しかったわけではない。詳しく書くと小説にでもなりそうな出来事が私の家族には色々とあり、つまりは、私は家族が嫌いだった。


その電話から一週間ほどして母から電話で訃報を聞いた。その頃、私は母と二人で暮らしていて、兄は父と二人で暮らしていた。


葬儀はもう終わっていた。


母は父に一緒に会いに行こうと言った。


8月の下旬で外はひどく蒸し暑かった。電車に乗っている間、母とはなにも話さなかった。


駅に着くと、父が待っていた。


私が予想していた父ではなかった。乱暴で、酒癖が悪い父の姿は無かった。


痩せ、片足を引きずり、似合わない帽子を被っていた。


それから、父の家に行き、兄がなくなった場所を教えてもらった。


兄はウォークマンで音楽を聴きながら、亡くなった。


ショパンのノクターンが最後に聞いた曲らしかった。


母は泣き崩れていたが、私は不思議と涙がでなかった。


それから、近くの食堂で3人で食事をした。



あれから、今年で5年経つのか。


文章に書こうと思うくらいの年月が経ったということか。



兄が亡くなってすぐに嫁が妊娠した。


私は信心深かったりはしないが、この子は兄の生まれ変わりなのかもしれないと思った。だがそれは嫁には言わなかった。


「兄貴、俺のところに生まれてこいよ。」と思いながら、お腹をさすった。


暴力や、両親の喧嘩や、期待、そういったものから、一番遠いところで育てようと思った。


そして、出産の日に私はカメラを持って立ち会った。


嫁の手をしっかり握り、声をかけた。


しばらくして、先生が息子を取り上げた。


私はカメラで取ることも忘れ、感動していた。


やさしく、強く、一人で生き抜ける力を育てていこう。


たくさんの笑顔に囲まれ、好きなことをやらせよう。



もうすぐ四歳になる息子は、みなに愛され、おしゃべりで、絵本が好きで、将来はラーメン屋さんになるそうだ。


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