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17/2/15

You used to be my everything〜あなたは私のすべてだった〜episode 4

Image by Olia Gozha

物語には必ず最終回がある。

結論から言おう。

彼とは、付き合って3年弱で別れた。

そして、もうひとつ。

今だに解けていない疑問がある。

彼 ハ、 ゲ イ ダ ッ タ ノ カ モ シ レ ナ イ 。

どこかの国で、ゲイかどうかを判別するのに、

小指を見たらいいと聞いたことがある。

小指に指輪をしているかで決まるらしい。

彼と部屋の模様替えをした時、

小さなかごがひっくり返り、その中のシルバーのリングが床に転がった。

彼はそれを拾い、

なんの迷いもなく小指にはめて、私にウィンクをした。

気のせい、気のせい。

Benという友達がいた。

昔からの親友らしい。

彼ともよく3人で遊んだ。

そして、Danの飼っていた犬の名前も、

Benだった。

昔読んだ漫画に、モテない女子は好きな人の名前をペットにつけると書いてあったことがあった。

偶然、偶然。

そんな、半信半疑な気持ちも見え隠れしたが、

幸せなのには変わりない。

日に日に旅の終わりが歩み寄ってきた。

ゆっくりと、ゆっくりと。

そんな、ゲイかもしれないが一応私の当時の彼氏(急に他人行儀)は、

たくさんのことを教えてくれた。

彼の口癖は、

"everything has music"

(全てのものは音楽を奏でる)

私のTシャツに書かれていた音符の柄をまじまじと見つめ、音楽で表現したり、

車の音、風の音、人の喋り声をピアノで演奏してみたり、

コピー機のガーガーガーという音に合わせてロボットダンスをしたり。

全ての行動が新鮮すぎた。

私は、そんな彼の奏でる音楽をダンスで表現した。

そんな、右脳しか使わない日々ももうおしまい。

明日は、日本へ帰る日だ。

彼の部屋から見える景色、

耳に優しい音楽、

ほんの数週間で慣れ親しんだ町ともサヨナラだ。

"I'm already miss you"

(もう寂しいよ)

目の前にいるのに、寂しそうな彼。

きっと、同じ顔を私もしてたんだろう。

恋人は、自分のリフレクションだ。

次の日、

フライトがロンドンからのため、

列車まで彼が見送ってくれた。

そこにはBenもいた。

列車に乗り込み、彼とバイバイをした。

「またね」

って言ったけど、次はいつ会えるか分からない。

「まぁ、生きてれば会えるか。地球やし。」

そう自分に言い聞かせたが、寂しさと別れの辛さが先行して、列車に乗り込んだが、

涙があふれてきた。

しっかり彼の姿を目に焼き付けたいのに、

涙で前が見えねぇ!

見えにくかったが、もしかしたら私がやっと帰ったので、

DanはBenと思いっきりキスしてたのかもしれない。(笑)

それはそれでおもしろいからヨシ、としよう。

最後の方はネタになってしまったが、私はこの旅でずいぶん視野が広がった。

彼が最後にくれた本に書かれていた言葉は、

今でも私の心に根付いている。

"you can change what you see, if you change how you look"

(見方を変えれば、見るものも変わる)

見方を変えれば、彼はゲイだったのかもしれない。(しつこい)

見方を変えれば、試練は幸せに近づく近道だったのかもしれない。

見方を変えれば…

いや、どんな形であろうと私たちはすごく魅かれあっていた。

それは毎日感じていた。

帰国して、

また、

朝起きたら「おやすみ」

夜寝るときは「おはよう」

あべこべの世界を生きていく。

もう、怖くない。

共に過ごしたあの3週間を思い出せばどんな時も強くなれた。

家があの頃、最強にごちゃごちゃ問題を抱えてて、

誰にも相談できずにいた。

そんな時、

"I'm thinking about you always"

(いつも君を想ってるよ)

と、彼からいつも抜群のタイミングでメールが入り、

9時間の時差をもろともせず元気づけてくれた。

地球の裏側で、

自分を想ってくれてる人がいる。

そのことが何よりも私の支えだった。

ワケあって彼とは別れてしまったが、

あの3年間が、「付き合っていた」なんて言えるかなんてわからない。

でも、確実に誰かを心から想っていた。

それで充分じゃないか。

あれからもう15年。

地球の裏側で、どうか彼が幸せに生きていてくれますように。

もう会えないかもしれないけど、

"you used to be my everything"

あなたは私のすべてだった。

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