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17/2/15

You used to be my everything〜あなたは私のすべてだった〜episode 2

Image by Olia Gozha

朝、目が覚めると、彼からの「おやすみ」メール。



私が夜寝る前は、「おはよう」メール。



同じ地球なのに、毎日あべこべの挨拶をしてそれぞれの世界を生きる。




あの頃の私にとって、



時差と距離がネックだったけど、




同時に、 時差と距離が彼をより愛しくさせた。 




英語も自分なりに精いっぱい頑張った。





2時間目の休憩中に早弁し、

(これは単にすぐにお腹が空いてただけやけど)



昼休みは長い休憩を使ってアメリカ人の先生と英会話をしたり机にかじりついて勉強した。




学校の後、すぐにバイトへ行き、





夜遅くまで働いた。




辛くて涙を流しながら働いたこともあったけど、



それ以上に目指すべき目標が、




日々私を強くさせた。





隣のクラスの男の子と付き合っていたりする友達が少しうらやましい時もあった。





そんな日々が続き、




半年が経過し




三月になった。 




ついにイギリスだ!





始めの一週間は、母と湖水地方へピーターラビットに会いに行ったり、




野山でピクニックをしたり、 ロンドンでオペラ座の怪人を観たりした。





イギリスに着いてからは夜毎日電話し、会えるのがもっと楽しみになった。






そしていよいよ、彼の住む街、Birminghamへ。




翌日は、母がイギリスを経つ。





急に、怖くなった。






本当は、すっごく悪い人だったらどうしよう。





嫌われたらどうしよう。





路頭に迷ったらどうしよう。





マグロ漁船に乗せられて奴隷にされたらどうしよう。

(思考回路ショート寸前)







彼に一目でも会って欲しくて


駅で母を見送る時、彼にも来てとお願いした。




答えは、





"why not?"

(もちろん!)




次の日になり、





駅の本屋さんで彼と待ち合わせた。





彼はすぐに私を見つけて、





目が合うと読んでいた本をパタンと閉じて





"Darling!"





と優しくほほ笑んでくれた。





半年ぶりの再会。





それまで心配していた母は、



Danを見るや否や、




「あの人なら安心だわ。




もう、私はここで大丈夫。



楽しんできなさい。」






そう残して日本へ帰って行った。




ありがとう、お母さん。





半年ぶりに会う彼は、




本当に優しかった。




彼の音大に連れて行ってくれたり、


テコンドーを習っている彼の教室に行ったり。



家にいくと、



彼専用のミュージックルームがあった。



曇ってばかりのイギリスでもたまに晴れると日の光がパッと降り注ぐ素敵な部屋だった。




そこで、タイタニックの曲をバイオリンで弾いてくれた。




音楽のセンスは皆無の私でも、





彼の腕前がかなり上級者であることは分かった。





その後、何故か谷村新司の「昴」も弾いてくれた。




渋いイギリス人だ。



その後、暖炉のある部屋でタイタニックの映画を観た。




映画が終わると、 再びミュージックルームへ連れて行かれ、



タイタニックを再び演奏。




「映画を見る前と見た後では、




音の聞こえ方が全然違うでしょ?」






無邪気にまたバイオリンをたくさん弾いてくれた。






幸せだった。





その後、家族が続々と帰ってきてみんなに私を紹介してくれた。




聞けば、兄姉も警察官で、



それでいてすごく気さくな一家だった。




お母さんは、いつも私のファッションを褒めてくれた。 




私は、一応、母との約束もあり




彼の家ではなく、




イタリア人の経営する小さなホテルで滞在していた。




彼は、私専用の携帯電話を用意してくれていて、



「起きたら電話してね。すぐに迎えに行くから。」






そして、




「おやすみ」と言葉を交わしてバイバイした。







「夜のおやすみ 」





そして明日は





「朝のおはよう」




イギリスにいる今、




彼と同じ時間を生きてる。






ただ、それだけで幸せだった。


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