top of page

17/2/1

彼女が登山好きなので、彼女の為に登山ルートを下見してたら、遭難して死にそうになった。次の日、彼女が元彼と復活してた。

Image by Olia Gozha



 偶然の出会い?必然の出会い? 馴れ初め


  女友達はいるが、恋人という存在は長らくいなかったある年の初夏。

当時、私はもう恋愛など出来ないだろうという諦めの気持ちと同時にもしからしたらまだ白馬の王子ならぬ、白馬の王女が出てくるのではないかという微かな希望を持っていたのです。


 私は35歳、白馬の王女は34歳。

これは偶然でなく必然だと自分では考えていたのです。

なぜなら、彼女とは初対面ではなかったからです。


実は、30歳前後の頃にその彼女と初めて会っているのです。

初対面の時に、「カワイイなぁ~、理想だなぁ~」なんて思っていました。

そこで、連絡先だけは聞いたのです。


何度連絡しましたかね、会う為の口実を作っては誘ってたのですが、

5回以上は断られましたかね、それ以上は連絡をしなかったんです。


後になって、彼氏がいると聞いたので、

これ以上はしつこいから止めようと思って連絡をしなくなって5年が過ぎていたのです。



 ついにチャンス到来です!


 彼女とは共通の知り合いがいたので、たまに鉢合わせをすることはありましたが、

会話をすることはなかったです。

それが、初対面から5年目に一通のメッセージが届きます。



彼女「ご無沙汰です。お元気ですか? いつもお誘いありがとうございます」



メッセージのやり取りをしてると、彼女の方から一度会いませんかと誘われたんです。

思ったんです。あっ、これは何かの勧誘だなと、きっとネットワークビジネスに違いないなと。

だとしてもいいやと私は思ったんです。


彼女には彼氏もいるだろうし、ここでネットワークビジネスにでも勧誘されれば、

私も中途半端な思い上がりもしなくて済むし、次に進めるだろうと考えたわけです。



 あれよ、あれよと言う間にお付き合い


 登山の話がまだ出てこないです。

その話をする前には、私が10年以上も恋人がいなかったという事情を知っておく必要があるのです。

それを知った上で、なぜ?私がそんな無茶なことをしたのかを納得してもらえるはずです。



 彼女に誘われて、お食事をしても一向に、ネットワークビジネスの話題が出てこないのです。

ん~これも作戦なのかなと考えると、早く結論を出したいと思ってしまい、

ストレートに直接尋ねてみたんです。ネットワークビジネスの誘いなのかどうかを。


それが違ったんです。


それからは、普通に3回ぐらい食事を一緒にして、

一か八かで告白してみよう!ってことになったんです。



私 「お付き合いしてくれませんか?」

彼女「はい、お願いします」

はい、来ました! 10年ぶりの新恋人



 10年ぶりに出来た恋人と仲良くなりたい症候群



 10年ぶりに出来た恋人ですからね、毎日が楽しいわけです。

彼女が好きなことは一緒に何でもやってみたいと思うんです。

テニスを中学時代からやっていたので、テニスクラブに通ってた彼女。


私はテニス未経験者です。

どうしても彼女と一緒にテニスをして楽しみたい!という願望が強かったんです。

テニスクラブに行く時間はなかったので、

テニス雑誌やネット動画でテニスレッスンを観ては独学で毎晩練習です。

ちょっとは上手くなって彼女をビックリさせたかったんです。

こういう私の気質が後の登山遭難事件に繋がるわけです。



 登山も好きだった彼女


なんとですね、彼女は山ガールだったんです。

登山が好きな女性です。


私は、これまた来ました!元山岳部です。

登山のエキスパートです。

ここは彼氏としてカッコ良いところを見せたいと思うのが普通です。



この時点で彼女と付き合って2ケ月目ぐらいです。

付き合いだしたのが5月末ですから、7月末になります。



彼女もね、私と一緒に登山に行きたいと言ってくれるわけです。

それに応えたい私は、彼女と登山計画を立てたのです。

8月のお盆休み後半に彼女の予定が空くので、その時にしようとなったわけです。



 どこでもOKだよ!お任せください


 一緒にね、大好きな彼女と登山に行けるなんて最高です。

彼女が行きたい山はどこでも連れて行ってあげたいと思ってたので、

彼女と一緒に行けそうな山をピックアップしていたら、

1つの山脈ルートを事前に登っておくのがベストだと考えたのです。



1つの山脈ですから、山の数にすると、20もの数になります。

一日に2つ以上の山は登らないと、彼女の為に事前リサーチが出来なくなります。

そこで、私のお盆休みは、彼女と会う前日まで全て登山の予定で埋まったのです。



 あまりにも登り過ぎて体力消耗&遭難?!


 時間は無いのです。

事前に全ての登山ルートをリサーチする為に、

毎朝4時は起きて1時間から2時間かけて登山口まで向かいます。


そして、一日につき12時間以上は山の中にいたと思います。

最終的には、彼女が実家から戻って来て私と会う前日までの7日間連続ですから、

84時以上の登山。


 6日目までは順調だったんです。

最終日の7日目に気が緩んだんでしょうね、

最後の山からの下山途中にちょっと道に迷ったんです。


でも、下界まで15分から20分で着きそうでしたから、なんとか下に出れるだろうと。

これが間違いだったのです。



 確実に遭難です


 道なき道を下りて行くと、どんどん傾斜がきつくなっていきます。

このまま下りると危険だなと気付いた時にはすでに遅しです。


私の体力が消耗しており、最初に迷ったポイントまで戻れる体力が無かったのです。

すぐに下山できると考えていたので、残りの水も食べ物も全て消化済みです。


 谷を目指して行けば、下山できるというのは限度があります。

あまりに谷の角度がキツ過ぎて下山できないのです。

水の音がする方向に行けば良いというのも場合によりけりです。

私が効いた水の音は、1週間前に起こった土石流により出来た水の流れです。

今の私の体力では不安定な場所を歩くことは死を意味します。


 山中なので携帯の電波は繋がらないです。

すでに夕方でしたので、今夜は、動かずに次の日の朝を待つしかなかったです。


 

 遭難した次の朝


 お盆の時期でしたから、山中で凍死することはないです。

しかし、飲み水と食べ物が全くないので、体が動かないです。

朝日が出てから辺りが明るくなり、動こうとしたのですが、脱水症状を起こしていて、

とにかく水分補給をしないと熱中症で倒れて終わりです。


力を振り絞って、土石流の場所まで向かいます。

土と泥が混ざった水でしたが、生死がかかっているので、とにかく飲みます。

水分補給したことで少し体力が回復した感じです。


すぐにでも下山しないと、温度が高くなると体力が無くなるのが確実だったので、

ここも一か八かで土石流を辿って下山することにしたのです。

もちろん道などないですし、一歩踏み外すと終わりです。

それでもこの道しか残されてないのです。



 下山してからの日差しがキツイ


 なんとか下山できたものの、早く水分補給をしないと危ないと思ったのですが、

下山した場所は、田舎です。

数軒の家が見えたので、その中の一軒に寄って、「この辺に自動販売機はないですか?」と

尋ねたのです。

残念ながら、田舎過ぎて自動販売機はなく失望したのですが、

幸いにも歩いて10分の場所にバス停があるという情報だけは得られたのです。


バス停は屋根がついていたので、中で椅子に横になっていれば日差しを避けれるだろうと少し安心したのです。

ところが、体中が熱くて屋根の中にいても耐えられない状況です。

200%熱中症です。

このままバス停にいると死ぬと確信したので、もう一度、力を振り絞って路上に出て、

私はヒッチハイクを試みます。バスが来るのには、あと1時間以上待つ必要があったからです。


 

 助け舟が到来する


  完全にヤバイです。

たま~に車は通るのですが、どんなに頑張っても止まってくれないです。

それも当然です。私は土石流の後を下りてきたので泥まみれです。

そんな登山者を一般車が乗せてはくれないです。

しかも、私はバス停の前でヒッチハイクしてます。


 どんどん体温が上がっていき、立っていると今にも倒れそうです。

今から思えば携帯電話でタクシーなり、警察なり、救急車なりを呼べば良かったのですが、

当時は、そんな簡単なことを思いつく思考さえもなかったのです。


 もう後は、なるようにしかならないとグッタリと道端で座った瞬間です。

少し遠くから「どこまで行くのですか?」という声が聞こえてきたのです。

なんと、下山した時に声をかけた一軒家のご家族が私のことを心配してくれたのです。


ラッキーにも近くの駅までなら一緒に乗せてくれると言うのです。

これぞ、九死に一生です。

本当にヤバかったなと感じたのは、ご家族の車に乗ってすぐに会話が出来なくなったのです。

頭がボォーとしてろれつがまわらないのです。


  

 彼女と10日ぶりの再会


 私は、遭難し、山中で一夜を過ごし、熱中症になりながらも生きて自宅まで帰宅。

病院にも行かず、駅で降ろしてもらって、すぐにコンビニで2リットルのジュースをがぶ飲みです。

帰宅してからは、ずっと体中が熱く、とにかく睡眠です。


 次の日の晩に彼女と10日ぶりに会う約束をしていたので、彼女のマンションへ。

この2日後に、ついに彼女と一緒に登山できることになっていたので、

熱中症でしんどいとかどうでも良かったのです。

とにかく、彼女が行きたい山を一緒に登りたいの一心です。


 そんな私のことを何も知らない彼女。

なんだか様子が変だったのです。

疲れているのか、私の顔を見ようとしないですし、会話もしようとしないのです。

まぁ、疲れているのならと「明日に連絡するね」と言って、その日は2時間のみ滞在。



  早朝に1通のメールが届く


 朝の6時頃に彼女からメールが届きます。

ただ、私も疲れていたので、もう少ししてから読もうと考えてそのままにします。

明日の登山予定についてのメールが書いてあるのだろうと思いながら確認すると、

私の心を完全に真っ二つに折るような内容が送られて来ていたのです。



「ごめんなさい。あなたとは、男女の関係ではいられないです。別れて下さい」



メールを読んでから、すぐに彼女に電話して何かの間違いだろうと確認すると、

彼女は実家に戻っている間に、元彼氏と再会していて、

元彼氏とやり直したいと思ったというのです。

私は直接話を聞きたかったので、彼女のマンションへ向かったのです。



すると、そこには、これまで形相の違う彼女がマンションの前に立っていたのです。

何度もごめんなさいと謝りながら、別れて欲しいと泣きながら懇願するのです。


私は、茫然です。



  3日間、ベッドの上で高熱と共に過ごす


 彼女の話は、きっと、一瞬の気の迷いであって、

私の元へ戻ってくれるはずだと思っていたのですが、そんな望みは叶わなかったのです。

私は、別れを告げられた次の日から3日間、ぽっかり空いたココロの悲しみと共に

39度近い高熱にうなされながらベッドでただ独り過ごすのです。

気晴らしなど何も出来ず、誰かに話を聞いてもらうことも出来ずの3日間は精神的にキツイ。



ps その後、数ヶ月してから聞いた話ですが、彼女とその元彼と復活しただけでなく、

   婚約までしていたのです。

補足:Facebook コミュニティ

   「岡ちゃんの腹筋引き締め&ダイエットもね」 BY もちもち太郎

    https://www.facebook.com/Golden.Caju/

 





←前の物語
つづきの物語→

PODCAST

​あなたも物語を
話してみませんか?

Image by Jukka Aalho

高校進学を言葉がさっぱりわからない国でしてみたら思ってたよりも遥かに波乱万丈な3年間になった話【その0:プロローグ】

2009年末、当時中学3年生。受験シーズンも真っ只中に差し掛かったというとき、私は父の母国であるスペインに旅立つことを決意しました。理由は語...

paperboy&co.創業記 VOL.1: ペパボ創業からバイアウトまで

12年前、22歳の時に福岡の片田舎で、ペパボことpaperboy&co.を立ち上げた。その時は別に会社を大きくしたいとか全く考えてな...

社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(1)

※諸説、色々あると思いますが、1平社員の目から見たお話として御覧ください。(2014/8/20 宝島社より書籍化されました!ありがとうござい...

【バカヤン】もし元とび職の不良が世界の名門大学に入学したら・・・こうなった。カルフォルニア大学バークレー校、通称UCバークレーでの「ぼくのやったこと」

初めて警察に捕まったのは13歳の時だった。神奈川県川崎市の宮前警察署に連行され、やたら長い調書をとった。「朝起きたところから捕まるまでの過程...

ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。

旅、前日なんでもない日常のなんでもないある日。寝る前、明日の朝に旅立つことを決めた。高校2年生の梅雨の季節。明日、突然いなくなる。親も先生も...

急に旦那が死ぬことになった!その時の私の心情と行動のまとめ1(発生事実・前編)

暗い話ですいません。最初に謝っておきます。暗い話です。嫌な話です。ですが死は誰にでも訪れ、それはどのタイミングでやってくるのかわかりません。...

bottom of page