浪人してまでして入った二流大学。これで自由だ!
学校という存在が苦痛でしかなかった僕は、大学に入ることが自由の象徴だったのだ。
義務教育でない大学というのは、自分の意思が尊重される。
ここまで大学入学にこだわったのには理由がある。
猛烈に腸が弱い現代病である「過敏性腸症候群(IBS)」に中学生の頃から悩まされて、
言い方は汚いが、毎日ウンチとの格闘である。
腹痛と下痢の毎日であり、授業どころでなく、早く帰宅したいという思いしかない6年間。
浪人期間を合わせると7年間である。
まず、大学に入ったことで周りから、あれをしろ!これをしろ!と言われることが無くなった。
これは、当時の僕にとっては自由であり、いつでもトイレに行けるのだから。
そんな義務教育を過ごしてきた僕なわけで、仲良しの友達などいるはずもなく、
授業が終われば帰宅して安静にしているのみ。
友達と一緒に遊びに出かけたという経験が全くない。
これだけで想像してもらえるだろうが、男子学生とも交流がない、
つまり、女子学生など会話をする余裕もなく機会もなかった10代の青春時代。
そんな僕が20歳になり、気持ちが安定すると、人生において初めてだろうか、
大学で出会った男子学生とランチに行ったり、カラオケに行ったりするようになる。
僕の未経験がどんどん明らかなになっていく日々
さて、大学生活に慣れてくると、新入生歓迎会というイベントが行われるのだ。
新入生が大学の正門を出ると、自分の大学だけの部活勧誘でなく、
他の大学からもサークル勧誘に遭うのである。
もちろんであるが、僕は大学生活を始めたとは言えど、
義務教育で友達がいなかった人間である。
コミュニケーション能力が酷い僕なのだが、
幸いにも同じ授業で机が横になった男子学生と友達になり、
そこから友達の友達といった具合に人脈が広がっていった。
これが大学なのか!
しかしだ、仲良くなった男子学生との会話の中で、僕の経験不足が露呈されていく。
未経験が多過ぎて、友達の会話に入れずに聞くのみである。
一番困ったのが、女の子についてのトピックだ。 超絶な未経験
女子ネタは避けられそうにない。
19歳や20歳の青年達が集まれば、合コンや飲み会の話になるのは自然な流れだろう。
友達らは、中学や高校時代に女子友達がいたり、女子とお付き合いした経験もある奴もいた。
3秒以上、女子と会話をまともにしたのか?と問われるとYESとも答えられない僕がいる。
ついに来た!サークルの合コン
ある大学の学生達が開催するイベントサークルの合コンに参加することになった。
大学生活を満喫したい男子学生と女子学生が出会いを求めて集う合コン。
人間とのコミュニケーション能力に難がある僕も興味本位で参加したのである。
まぁ、僕が応募したというよりも友達から強引に誘われたと言った方が正しい。
ん~ これが、僕の人生で最高となる人格否定を経験する序章とは知る由もない。
男友達5名でイベントサークルが主催する合コンにGOすると、
そこには30名以上もの女子学生。
同じ大学でなく、全員が他大学か短大の子達です。
サークルのスタッフが男子と女子を均等に座らせていきます。
僕達の前に座ったのは、短大生4人組。
僕は彼女達の顔をちらっと見ただけで会話などすることなく、2時間は過ぎ去っていきました。
何もなかった初合コンですが、僕に対する人格否定は序章からワンステップしていたようです。
5人対5人でのホーム合コン開催決定!
この経験が最悪であり、後に、最高の人間へと僕を成長させた。
男子5人と女子5人の合コンは、僕の友人宅で開催された。
メンバーは、僕の仲良し5人組と、
こないだのイベントサークルの合コンで僕達の前に座った短大生4人組とその友人1名。
その夜、僕は僕らしかった。
目の前にいる同年代の女性にワクワク・ドキドキしならが、
仲良くしたい!友達になりたい!
もしかしたら、彼女が欲しいとまでイメージしていたかもしれない。
同時に、僕は本当の自分を出していた。
「いつも何をして遊んでいるの?」
場の空気など分からず、何か発しなければいけないというプレッシャーから出た質問だった。
女子5人は爆笑し、男友達は、いきなり何を言い出すのだと困惑しながらも笑っていた。
その瞬間から僕は一言も話せなくなった。
その場から消えたいとさえ思った。
ホーム合コン後に、女子5人を近くの駅まで送る際に、
女子達がひそひそと話す会話が漏れてきた。
その時には聞きたくなかった内容だが、今となっては、ありがたい言葉だ。
クスクスと笑いながら、
「あの人、キモいね」
「あの人はないわ」
「あの人はダサすぎる」
「あの人は変だったね」
あの人が誰を意味しているのは一目瞭然である。
僕が変わるしかないと決意したのだ
今まで女性と会話をしたことがなかった僕は、
自分の存在が女性からどう映っているのかを知ることになった。
それは想像以上だった。
屈辱を受けたホーム合コンだけでなく、
その後に僕が参加した合コンでは、どれもこれも同じような経験をすることになった。
女性を怖く感じるし、信用もできないとまで考えるようになりかけていた。
しかし、僕は自分が周りの男友達とは違うのは実感していた。
僕にも変わる余地があるのだと気付いた。
大学に入り自由を手に入れた僕は、このままでは終われないと決意した。
そう決意した次の日に、僕はあるイベントサークルのスタッフメンバーになっていた。
始まった修行(セルフレッスン)の日々
イベントサークルとは、学生が集まり自らイベントを開催するサークルである。
その為には、様々な大学や短大から男子学生や女子学生を集める必要がある。
いわゆる勧誘です。
当時、僕が学生だった頃には携帯電話もスマートフォンもなかった。
勧誘する時に学生達から得られる情報は、実家の電話番号と実家の住所だけである。
勧誘をするにも、インターネットが普及していない時代であるので、全て対面だ。
僕はイベントサークルに入会してスタッフになったが、
先輩スタッフが何かを教えられるわけでもなく、
僕自身が勧誘をしてサークルイベントに参加してくれる学生達を集める必要がある。
メンバーを集めても毎回、毎回、学生達にイベントの告知をする必要もある。
先輩スタッフと共に勧誘や告知をして真似ようとするが、そう簡単にいかない。
全く見知らぬ学生にサークルのチラシを手元に10分以内に連絡先を聞き出す能力が求められる。
僕は、数十校もの大学や短大へ出向き、学校から帰宅する学生達を勧誘する作業にかかるが、
全く僕の声掛けに反応してくれない。
凄く嫌な顔もされる。
挫折つづきの数か月間は苦痛の連続だったが、、、
先輩スタッフは、いとも簡単にたくさんの学生を勧誘していく。
一方、僕は声をかけても立ち止まってもくれないので、
授業が休みの日に出かけては勧誘できた人数がゼロ人というは慣例になっていた。
「何してんだよ?! やる気あんのかよ!」
イベントサークルは、イベントに参加する学生を集めないことには成り立たない。
ゼロ人記録を更新してる僕は、同じスタッフの中では、ダメスタッフであり邪魔者になりつつあった。
このままでは、辞めされられる。
どうすれば良いのかを悩み苦しみ、自分の弱みと強みを分析する。
コミュ障であろうが、とにかく会話をしないことには始まらない。
まず、ありのままの自分を受け入れて、自分に出来ることを徹底的にこなした。
僕は、これまでの人生でコミュニケーションをしてこなかったのだから、
周り以上に経験を積む必要がると考え、
周りのスタッフが休みの日もたくさんの大学・短大に出かけては勧誘を繰り返した。
僕はイベントサークルのスタッフとしては向いてないが、
そんなことはどうでも良かった。
変わる決意をしたのだから。
ダサい!と言われていた経験から、ヘアースタイルからファッションスタイルまで全てを変えた。
少ししてから、僕の勧誘にも立ち止まって話を聞いてくれる女子学生も出てきた。
ヨッシャ―!!!
路上勧誘の次は、電話勧誘である
学生を勧誘できても、次にも作業がある。
各学生の自宅へ電話をしてイベント告知だ。
これが、想像以上に大変だった。
なぜなら、携帯電話やスマートフォンなら個人に直接連絡できるが、
自宅への電話の為に、女子学生の場合、大抵は実家暮らしなのでご家族との会話が最初なのだ。
つまり、ご家族から信用と信頼を得られないと勧誘した学生に繋げてもらえない。
大学での授業が終わると、独り暮らしの風呂なし4畳の木造アパートに戻ると、
早速電話である。
毎晩、10軒以上は電話する。もちろん電話代は自腹である。
仮に学生と会話が出来ても最低20分から30分は会話する。
なぜなら、一度しか会ってない同士なので、僕も学生も互いのことをよく覚えてないからだ。
だから、勧誘した時には、連絡先を聞けた学生の特徴や会話内容をメモしていた。
全ての連絡先に繋がらない。
嘘の連絡先を書かれることも多く、100人勧誘できても、実際に繋がるのが半分の50人で、
その中でも本人と会話できるのが20人である。
その20人は本当に貴重な学生になるのだ。電話でのイベント告知で失敗すれば、
また100人もの路上勧誘が必要になるから。
電話勧誘は、僕のコミュ障を改善させてくれた
電話での会話は、会ってる時以上に大変である。目の前に相手がいないので、沈黙は厳禁なのだ。
企業の商品説明と異なり、イベントサークルの人間など相手がなかなか信用してくれないのだ。
そんな人間がイベント告知するので、イベント告知よりも信用してもらえるトーク術がポイントになる。
電話勧誘を始めた頃は、何を話してよいのかわからないので、
イベント告知のみだけしていた。
これだと、2分もあると終わってしまう。これで終われれば良いのだが、
相手から信用を得るのがポイントなので、何気ない日常会話が出来ないと信用を得られない。
そんなトーク術を持ってなかった僕は、2分のイベント告知だけで終わり、
数日後に参加意思を確認する電話をすると、「参加できません」と断られるばかりの結果。
これでは、ダメだ!
全く参加メンバーが集められない僕は、路上勧誘した時のメモを見直すと同時に、
電話をした時に会話した内容の中で相手の情報になることを全てメモとして残すようにする。
何人もの勧誘した学生と電話で会話していると、あることに気付くようになる。
↓↓↓↓↓
★人間とは自分のことを認めて欲しい生き物であること。
★人間とは自分のことを話したい生き物であること。
そして、「「聞く力」」と同時に、「「聞き出す力」」を意識して会話を進めてみた。
それから僕の会話力は楽になっていたのだ。
全部、自分で話す必要などなく、相手に会話させれば良いのである。
実際、人間は自分の話をしたい生き物なのだから。
この時点で、僕は電話では、何時間でも会話できるようになっていた。
最初は、イベント告知の1分しか出来なかった僕が、何も会話トピックがなくても、
相手に会話をさせる方法に変えてからは、知らぬ間に僕のコミュ障が改善されていくのである。
逆転現象が起こった。人生とはわからない。
3ケ月のセルフレッスンを行っていたわけだが、
それは、僕の中で期間を決めたわけでなく、僕が変化したのが3ケ月だったのだ。
この3ケ月の間、僕はどうにかイベントサークルにスタッフとして残れるようにと、
色々と試行錯誤してきた。
その中で僕は変化していたようだ。
(顔つきが変わった)
(服装が変わった)
(会話が変わった)
ある時、僕のアパートに電話がかかってきた。
「元気にしてる?」
一体、誰だろうかと思うと、3ケ月以上前に5人対5人で合コンをして、
キモイ・ダサい・変な人だと言われた女性メンバーの1人からだったのだ。
どうやら、僕の様子が変わったことを聞きつけたらしく、様子を伺う為に電話してきたらしい。
電話をしてきた女性は、僕が住むアパートから近くに住んでいたので、
電話を受けた日に久しぶりに会いましょうという話までに至ったのです。
実際に僕の様子を見た女性は、ビックリしていた。
その場には、合コンを一緒にした他の女性メンバーもいた。
以来、僕は彼女達と友達になった。
普通なら、僕のことを酷く言った女性を拒絶するかもしれない。
そんなことは、僕にとってはどうでも良くなっていた。
その時には、僕はイベントサークルのスタッフとして女性からモテる男性になっていた。
あれから20年経つだろうか、まだ僕とその合コン女性達とは友達である。
人生とはわからないものだ。
補足: Facebookコミュニティ
「岡ちゃんの腹筋引き締め&ダイエットもね」 BY もちもち太郎
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