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17/1/27

コピーを取らなかったことを十数年も後悔している

Image by Olia Gozha

 小学生のとき、ある出版社に小説を投稿したことがある。

 当時読んでいた児童書の半分パクリのような、それはそれは稚拙なものだった。

 でも、結構楽しかったのだ。

 手書きで、めいいっぱい丁寧な文字で原稿用紙を埋めて、手を真っ黒にした。

 赤い文字で大きく表書きを書いた。

 郵便局員さんの対応は、ごく親切だった。あんなに大きい封筒を使ったのははじめてだった。

 当然、小学生の幼稚な作文は出版社でゴミ箱行きになったのだと思う。それに不服は無いし、自分なりには満足していた。あの胸の高鳴りを、よく覚えている。

 でも、どんなお話を書いたのかもう思い出せない。

 それって、とても寂しい。


 あんなに頑張って書いた、原稿用紙五十枚は、残しておけば今、笑って読み返せたのに。もう灰になってどこかの島の埋め立てにでも使われているんだと思う。

 あの主人公には、二度と会えない。


これを私はとても後悔していて、それ以来、ちょっとしたメモでも捨てられず、部屋がいわゆる「ミックスペーパー」で埋め尽くされている。テキストアプリの中身すら、削除出来ない。作品が、あんまりにもいとしい。


「だから彼氏ができないんだよ」

 妹にこの前言われた。

 わたしもそう思う。

 いや、でもね、あの時のヒーローはとってもカッコ良かったんだ。だから会えないと寂しいんだよ。

 だからいい年ぶっこいて、まだ書き物をやめられないんだ。


 あのときコピーをとっておけば、呪われずに済んだのに。


 


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