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17/1/7

受験学(5)

Image by Olia Gozha

受験学(5)


  第四章

 

  私は、中学生時代から不思議に思うことがある。

「どうして、どこかの誰かが作ったカリキュラムに従順にしたがうのだろう」

  中学三年生の夏休み前に、私は学年主任に電話して課題を提出しないでいいか確認した。学校が指示するテキストが自分の役に立つと思えなかったからだ。

  その前に、自主的にクラブ活動を引退した。さすがに、担任に注意されたが無視した。

  後に、アメリカのローガン中学校で教師をしているときに自分が間違っていないことを確信した。アメリカには、クラブ活動などという制度が存在しない。午後二時半になると生徒も教師も全員学校から去り、消灯なのだ。

 スポーツをやりたい子は、専門のスクールがありプロが教える。日本のように、素人の教師が指導して一流のアスリートが生まれるはずがない。


 受験も同様で、「数学は2000題ほど解けばマスターできる」という経験則がある。だいたい問題集を7冊だ。すると、形だけマネして

「2000題解いたのに、志望校に合格できなかった。責任とれ!」

 という愚か者が現れる。

 人の指示にしたがうだけのロボットなど、難関高校も難関大学も要らない。ほしいのは、自分の脳みそで考える生徒だ。私の塾も同じこと。

賞状

 私は、ながく少林寺拳法をやってきて

「格闘技と受験勉強は似ている」

 と感じている。拳法では、蹴りや突きや投げ技を教える。しかし、その全ての技術  は、

「どうしても、コイツをぶちのめす!」

 という闘志が大前提なのだ。受験も同じことで、

「先生はクラブを止めろと言うのですか?」

 という質問をする生徒は相手にしない。

 国立大学の医学部に合格するという目標を本気で達成したい四日市高校の生徒がいるとする。過去のデータは、「50番くらいまでにいないと合格はムリ」と分かっている。しかし、自分はいつも100番前後にいる。

 この状況が分かっていたら、50人抜きのために何でもするはず。趣味の時間を削り、昼休みの時間も友達とおしゃべりはやめて勉強にあてる。そうして、削りにけずって最終的にクラブに行き着いたら、泣いてでも削る。

 何かを手に入れたいなら、何かを捨てるのは当たり前で、その覚悟がないのなら最初から受験競争などに参加資格がないのだ。医者なんて、諦めろ。なんにも諦めないで50番以内にいる子もいるだろう。

「キミにその才能があるのか?」


http://storys.jp/story/18218

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