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16/12/6

明日は今日の風が吹く。02

Image by Olia Gozha

今、あなたはどこでこれを読んでますか?

家のリビング?机?それともベッドの中でしょうか?

僕は過去をひとつひとつ思い出すように眼を閉じてベッドの上で記憶を遡っています。


そう、あれは東京に着いたばかりで行くあてもなく、知らないマンションの非常階段で寒い夜を過ごした。

3階くらいまでは階段利用する住人がいるかもしれないから、僕は8階の非常階段で寝る事にした。少しだけ見た夜景の中に、数々の家の灯り。

あのひとつひとつの灯りの中に、僕とは違う幸せな家庭がある。今家族でテレビを見ていたり、暖かい布団で寝ていたり。灯りの中に笑顔が見えた気がした。


誰か僕を拾ってくれないかな…


捨て猫の気持ちがわかった。


この捨て猫の気持ちが、この後の僕の人生を

輝かしく狂わせた。


拾われる術を身につけた。


当時から身長も高く見た目は18歳以上だった。

アルバイト情報誌の端から端まで目を通して

寮ありのバイトを探した。

公衆電話から

「まだ募集してますか?」

面接無し、履歴書不要、日払い、寮あり

「今日から入寮できますよ」と担当者。

施設や少年院以外なら、どこでもよかった。

食事があって布団がある場所なら。

部屋は2畳ほどで、ビールケースで作ったような簡易ベッドと、小さい映りの悪いテレビのみ。

部屋の鍵は南京錠で、扉の上と下は隙間がある。

全部で30室ほどある。ほとんどが高齢者で

若い奴は5名ほど。

いい人ばかりだったが、背中には半端なく、みんな同じような寂しさがたまらなく滲んでいた。


現場へはハイエースで3人で向かう。

朝から夕方まで流れ作業を延々と一日中。

パートのおばさん達は母親くらいの年齢

全く知らない街で生きていた。

ただ明日を生きるためだけ。


ベルトコンベア。

僕がもし手を止めると、明日食べるものがない。

やるしかなかった。

ただ明日を生きるためだけに。

誰も助けて貰える場所はなかった。


ただ、捨て猫の僕は

甘えるのが上手かった。


スタイルのいい割と綺麗なおばさんが、

手紙をくれた。


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Image by Jukka Aalho

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