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16/11/21

介護を現実のものとして考えていく 【その五・ソーシャルワーカー】

Image by Olia Gozha

ソーシャルワーカーが何たるかということはその四にて触れているので割愛させていただくが、そのソーシャルワーカーとの面談が行われることとなった。


この時は義母、私、娘である嫁の三人で話をすることになった。


ソーシャルワーカーは女性だった。


年の頃は私と変わらないかむしろ年下といった感じだ。


面談の進め方としては特養(特別養護老人ホーム)を探していくことが前提であり、もしくは老健(介護老人保健施設)を模索するという選択肢をとるというのが基本路線。


少なくとも家で介護をするという考え方はこの時点で誰の頭にもなかった。


まずは担当医とどのような話をしているのかということを確認された。


義母はそこまでしっかり記憶はしていないかもしれないと思い、私が逐一メモしていたことを前提に話していくこととなった。


ウィルソン病の疑いはほぼないこと。


薬の変更や減薬で入院当初に起こっていた症状が改善されつつあること。


ただし、基本的に病そのものが治ることはないであろうということ。


その話を聞いた上でソーシャルワーカーはいくつかの特養と老健の施設を紹介してくれた。


だが老健というのはあくまで家に戻ることを第一に考える「リハビリ病棟」のようなもの。


よって施設にいられる期間も原則論ではあるが2ヶ月と定められている。


2ヶ月を経過したところで審査のようなものが行われ、継続して施設に留まるケースもよくあるとは言われているが絶対に居られるという保証もない。


仮に留まっている人が多いとなればそれはすなわち空きが少ないということにも繋がる。


そうなると特養を考えていくのが自然な流れになる。


特養は一般的な表現で言うところの「老人ホーム」に当たる。


つまり予算という問題が出てくるのだ。


どんなに安い施設であっても、患者一人分の年金だけで賄うことは難しい。


後で聞いた話ではあるが、これは義母にとって大きなネックになっていたようだ。


多少の蓄えがあったところでゴールが見えない特養生活ともなれば尚更だ。1~2年の話で済むかどうかはわからないのだから…


しかしこの場ではそういった話は表に出さず、ソーシャルワーカーの提案にしたがっていくつかの施設を見学してみることに決めた。


ソーシャルワーカーも担当医同様に、介護をする立場の精神的疲労や肉体的疲労を気にかけてくれた。


そう。客観的な立場から見れば、患者を含め関わりを持つ全員が一番苦しまない方法を模索するのは当然なことだ。


ましてや多くの事例を見てきているわけだからアドバイスは適切なはずだ。提案に従うのがベストだろう。


ちなみにこの時点での義父の介護認定は要介護1だったが、現状の様子を考えると再度審査を受けたほうがよいということをケアマネージャーにも言われていたので、そちらの話も同時に進めていくこととなった。


いよいよ本格的に歯車が動き出した。そんな時期である。



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