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16/10/31

「いい人と思われたいだけでしょ」

Image by Olia Gozha

以前、様々な成り行きであるグループのリーダーをつとめることになった。

何度かメンバー同士の会合をもち、打ち解けてきたころのこと。


「成り行きとはいえ、こういうグループのリーダーを引き受けるのは、いい人と思われたいのでは? ほかにもボランティアをしているようだけど、いい子って思われたい人なんじゃないの?」

という言葉を投げかけられた。

私にとって、リーダーという立場は人生全体でもほとんど未経験で、ボランティア活動もインターネットを使いながら手探りで続けるうちに、なんとなく活動が長くなったといういきさつがあった。

自分が「こういうグループを作りたい」とか「こういう活動をしたい」という明確な意思があったのではない。


そういう中での「いい人と思われたいんでしょ」というご指摘が、胸にぐさりと刺さったのが、意外だった。


「胸にぐさりと刺さる」ということは、

「言われたくないことを言われた」ときか、

逆に「その言葉を言われたくて、頑張ってきたの!」というときか、

どちらかだと思っている。

当然ながら、私は前者だった。




とはいえ、「いい人と思われたい」だけでは、そんなしんどい立場は続けられない。

何か「貢献したい」という思いはあったのだけど、疲労がたまるにつれて「こんなにやっているのに……」という不満がなかったとは言えない。

不満を抱いている私は、いい人間なんかじゃないのに」と不安にもなる。

そういう複雑な心境を抱えたままの活動は、苦しくなった。


やがて私自身が乳房の手術を受けることになり、それを機会に活動を休止せざるを得なくなる。

入院中に「考える時間はたっぷりあるから」と、放送大学の勉強(認知心理学など)を思う存分やりながら、「自分はどう思われたいのか?」を考えたものだ。


仕事の場では「ありのままの私を理解して」っていうのは、単なる甘えだ。ボランティアや、プライベートの場面では許されるかもしれないが。畑から取ってきたまま、洗ってもいない泥まみれの野菜を店頭に並べて「ありのままの野菜を買って」と言われると、抵抗がある人のほうが多いだろう。


「私はどんな野菜だと思ってほしいのか?」

「もしかしたら、野菜じゃなくて魚だとか、肉だとか思ってほしいのか?」

と考え続けた。



外科では、がんなどの治療を受ける人の病棟に入院していたということもあって、年齢が上の人と接する機会が多かった。独りで考えるだけでは、決して思いつかないような、人生の見方、物の考え方、そして様々な時間を過ごしてきた人たちの存在感や落ち着きというものを、学べたことは、自分自身のことを考えるのに大いに役立った。


私は、どう思われたいのか?

その1つの答えは、

貢献する人、役に立つ人だと思われたい

ということだ。


性格的に優しくて、話しやすい人というだけではなく、

「この人に仕事を依頼したら、何らかの成果を上げてくれる」

と信頼してもらえることが、私には大事だったのだと気づいたのだ。


「話していると楽しい気持ちになる」「気が休まる」というような、あいまいな成果でもよいけれど、「話してよかった」と思われたい。「話したが、何も残らなかった。時間の無駄だった」という気持ちだけが残るような、そんな存在にはなりたくない。


それが、病棟で多くの人に「安らぎ」「安心」「将来への希望」を与えてもらって、私自身が気づいたことだったと、今は思う。

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