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13/5/6

SPINNING(R)(スピニング):師匠との再会

Image by Olia Gozha

いよいよキースと再会。


優しい目。そして懐かしい握手の感覚。キースのボルボでカーピントリアという、LAから海岸沿いを北上した小さな町までドライブ。ここにキースの家があるらしい。


LAから比べると海が見える、とてもステキな田舎町。


キースの家は日本と同じ靴を脱いで上がる。男の子と女の子、そしてステキな奥さん。今日からはここで寝起きするのだな。クリスの所は基本的に一人だったけど、ここは家族に合わせて行く必要がありそうだ。


ちょっと、と言って出かけていたキースが帰ってきて、じゃあSPINNING(R)(スピニング)に行こうぜ、と一緒にお出かけ。倉庫のような建物の駐車場に止める。入り口は遊園地か駅の入り口のようなガチャンと回る三本の棒が付いたレバーを回すヤツ。後で気づいたが、スーパーマーケットはほとんどこれが入り口にあった。


ジム、というよりは体育館。広いスペースにマシーンやバスケットコート、壁にはクライミングウォール。そして奥のスペースにSPINNING(R)(スピニング)バイクが並んでいる。久しぶりのキースのレッスンに心が弾む。やっぱりこれ。僕が追い求めてきたモノは間違っていない。そんな確信を、僕に与えてくれながら60分のレッスンが終了した。


お客さんは、参加費をそこに置いて行く。キースはそれを回収していた。ちょっとわからなかったが、どうやらそのまま持って帰っていたようだ。こんな所にも、館兄が九州に帰ってからの様々なチャレンジのヒントを与えて貰っていた。


「メキシカン食べれるか?」

「わかんないけど、食べてみる」


ドライブスルーのような所に行って、キースにお任せで注文。タコスだ。


「辛いな〜〜〜」

「1番辛くないのにしたんだけど」

「あまり辛いの得意じゃない」

「そっか、ピザにすれば良かったな」

「たぶん、ピザは大丈夫だと思う」

「そういえばピザはデリバリーしてくれるんだぞ。凄いだろ」

「うん、でも日本は寿司のデリバリーが有るんだよ」

「え!それはうらやましいなあ」


カーピントリアの入り口、って言ってわかるかな。集落がポつんとあるところだから、入り口があるんだ。そこに、移動販売車が来る。キースの息子はそういうのに興味がいっぱいの頃。まだ、チャイルドシートに座っている年齢だからね。


そんな彼をなだめながら、一度帰宅。


「じゃ、出かけるよ」


バイクジャージを詰め込んだバッグを持ってキースのボルボに乗り込む。


「ちょっと今日は遠くへ行くよ」

「うん」

「今日の晩飯も仕入れなきゃね」

「へ〜〜〜」

「ダチョウを食べよう」

「お〜〜〜」


と言うわけで、ダチョウ牧場に到着。結構でかい。こりゃホントに乗っかって走れるなあ。なんて思ってると、キースがでかい荷物をボルボに積み込んでいた。


「クニ、いくよ!」

「うん」


結構田舎のあまり綺麗ではないスポーツクラブ。ここにもバイクスタジオがある。そして、バイクはちゃんとスピナーだから、キースが来ればSPINNING(R)(スピニング)を行う事ができる。


多くの人が勘違いしているけど、SPINNING(R)(スピニング)は一般名詞ではなくて、アールが付いているとおり、特定のプログラムの固有名詞だ。SPINNING(R)(スピニング)インストラクターの認定を受けた人が、スピニングバイク(スピナー)を使用して、SPINNING(R)(スピニング)プログラムのルールに則って行う場合、そのクラスをSPINNING(R)(スピニング)と呼ぶことが出来る。


なんと言うんだろうね。キースのSPINNING(R)(スピニング)は心がワクワクする。それが好きだったから、日本でも一生懸命そうしようとしていたんだけど、僕の力では伝えきれなかった。でも、やりたいことは間違ってはいないんだ。きっと、まだ僕に出来ていないだけなんだ。


「クニ、出来たよ」


台所でごそごそしていたキースが、お皿にどかんと乗せたスペアリブを持ってきた。うわ〜〜〜、スペアリブってあばら骨長いまま焼くのか!と言うわけで、豪快に両手で持ってスペアリブを頂きました。


理由はよくわからないんだけど、カーピントリアのキースの家を離れてもっと北上したところにあるキースの両親の家に移動する事になった。再び荷物をパッキングしてキースのボルボに乗り込む。


居候の日々なので言われるままに動くのだ。


ソルバンという地名の近くのちょっと高級そうな住宅地に入っていく。入り口にはタイヤをパンクさせて車を止める装置が付いているような場所だ。


平屋の大きめの家に入っていく。駐車場に何台もの車。キースについて家に入っていくと、なんだか人が沢山いる。よくわからないのでとりあえずどんどん挨拶。


最終的にはみんなお客さんで、この家にはキースのご両親二人だけ住んでいることがわかった。そしていつものように、


「このうちにあるモノはみんなおまえのモノだから自由に使いナ」


と言われ、部屋をあてがわれる。パソコンが一台、そしてベッド。NECモバイルギアをLANにつないでみるとネットに繋がった。いやはや、何も文句は無い。


「両親は太ってるだろ?」

「うん、確かに」

「ああなるのがイヤで、フランス人の奥さんをもらったんだ」

「なるほど」

「なんとか上手く行ってるみたいだけどね」

「そうだね」


スタジオへ向かうボルボの中でキースとそんな会話を交わす。今日もSPINNING(R)(スピニング)の深い世界に連れて行かれる。毎日メモを取り、思い返し、そしてありがたいことにマスターであるキースに直接質問する。何かができる様になったわけじゃ無い。でも、SPINNING(R)(スピニング)の根幹の部分を僕は、今この瞬間全身で体感しているんだとわかる。


吸収し、自分のモノにしたい。


なれないベッドの上で、心が悶える。


今回の旅にもMTBを持って行った。実際にはそんなに走る機会は無かったのだが、今日はキースがライドに行こうと誘ってくれた。MTB生誕の地アメリカでの初ライドだ。


キースの友達が迎えに来てくれ、キースと僕のバイクを後ろに積み込む。


駐車場からライドがスタート。防火帯と言われる山火事が広がらないために切り開かれた道を走る。森林限界を超えているわけでは無いだろうが、高い樹木がほとんど無いので、ずっと向こうまで見渡せる。


ワクワクしていたが、景色があまり変わらないのはつまらない。しかも路面はずっと防火帯のままだ。そして、何度目かの休憩の時、


「じゃあ、ここから戻ろう」


と、来た道を戻り始めた。なるほど,これもMTBライド。面白いなあ、と思った。あまり楽しくは無かったけどね。でも、こういう入り口があるからいろんな人が気軽にMTBライドを楽しめるんだろうな。アメリカのベースを見たような気持ちになった。


そして、キースと別れLAに戻ることになった。


キースはインディアンの矢のレプリカを買ってきて、


「二人の友情の証だ」


と、2つに折り、片方を僕にくれた。今でもそれは僕の家にある。


LAに戻るとクリスが見つけてきてくれた所に居候となる。2日そこに滞在するとクリスが発案したサンフランシスコからLAまでロードレーサーで500マイル走るイベントに参加するため、サンフランシスコへと飛んだ。


この話は,また別の機会に。


「クニ、君は僕の最高の生徒だよ」


帰りの機内で,キースのその言葉が何度も繰り返し頭によみがえった。これが日本で通用するのか。不安と期待。そして、帰国後初めてのレッスンが明日に迫った。


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