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16/10/5

三ヶ月で帰国したジャーロンへ捧ぐ①

Image by Olia Gozha

職なし、金なし、計画なしで移住しにくるフォロンティア精神タップリの人たち。


あるのは薄っぺらな、ちょっと会ったことのある日本人がいるというツテだけの人たち。


昔、ルームシェアをしていたコータという男からたまに紹介されるアメリカ人のことだ。


彼らはコンビニにフラッと来るように移住をしにくる。

「日本で暮らすぜ」と浮かんでは、定職にもつけず「帰るぜ」と消えるクラムボンのように儚い人たち。


例に漏れずジャーロンもそんなアメリカ人だった。


ジャーロンに初めて会ったのは6月27日の退社後だった。


「今、ジャーロンって外人と渋谷にいる」


コータという男の連絡はいつも要点に欠ける。


まず、ジャーロンって誰だ。

ジャーロンだから外人ってのはわかる。

あと、「いる」からなんだ。「こい」ってことなのか。

それとも「認知せよ」なのか。「認知せよ」の場合はどうしたらいいんだ。


そんな、無粋なことは思わず僕は、


「わかった、どこ」と返信した。


我ながら話のわかる粋な男である。


マフィアのボスに「目が気に食わねえな。でも、話のわかるやつは好きだ。なんでウイスキーがこんなにも愛されているかわかるか?」なんて言われて、可愛がられる。そんな男が僕である。


コータからすぐに、


「HUB」とLINEが来た。


ちなみにHUBは僕が知っているだけで渋谷に3店舗ある。

そして彼と僕は渋谷のHUBは一回も一緒にいったことがない。


昔、頭が必要以上に大きい方のコナンが電話から聞こえる周囲の雑音から髪が必要以上に尖った方のランの居場所を推測していた。


彼から僕の頭脳への信頼は思った以上に厚いのかもしれない。


そんな、ことを思いながら僕は、


「わかった、どこ」と返信した。

※続く

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