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16/10/4

ドイツからキャリアについて考える

Image by Olia Gozha

ベルリンの人材市場

東京でIT業界(営業/ビズデブ)で11年程経験を積んでベルリンに家族で移住後現地のPR会社で(はや1年)はたらきつつこちらの人材市場とキャリアについて学ぶ機会がかなりあった。今回は体裁整えず備忘録として経験から得たことを書きたいと思う。

どこでも通用するキャリアとはなんだろう?

漠然とこれを身につけたくてベルリンに来た。普通日本人ならシンガポールやロンドンやNYだろうが、自分がある程度ドイツ語ができるのと、これからのポテンシャル、ユニークさ、家族の環境を考えると悪くない選択だとおもった。

ドイツでキャリアを積むには代表的な流れとして下記の3パターンがある(もちろん無数のパターンがあるが、多いのは、という意味で)

1.グローバル企業で移動:多いパターン。日本企業なら駐在員、外資系なら他のRegionへの移動。後者の場合は非営業系の可能性が高いといえるが、数としては超希少

2.現地企業へ就職:自分はこのパターン。

3.フリーランス、独立、起業:ベルリンの場合はフリーランスの人が多い。(そもそも失業率高く企業が少ないため)

自分の経験以外の一般論を話しても意味が無いので、2の現地企業へ就職してドイツでキャリアをつけていくパターンについて原点で言えることを書いてみる。

平均年収:東京の外資IT業界と比べるとベルリンの同業界平均給与レンジ(被雇用者)はびっくりする低さだ。これにはいくつか背景がある。

1.社会福祉が充実しているので、低い:医療、学校等が無料である場合がおおいので、収入が高くなくても生活の質はさほど落ちない。むしろ収入が高いと給料の半分くらいを税金で取られるので損という見方もできなくはない。肌感覚。

2.物価と連動して低い:ベルリンの生活費は安い、と言われている。最近は家賃も上がってきているので体感値として低いとあまり感じない。安いと感じるのは若者で一人暮らしでかつ治安が多少悪い地域でそれを楽しめる人(そういう人がおおい)であって、家族が安全に暮らせるレベルを考えると東京と大きくは変わらないという印象。データだけでなく肌感覚としてそう。

3.山が2つある:ここは僕が一番注目しているところ。こちらの人材市場は大きく”外国人向け””つかわれるひと”向けの安いレンジと、管理者向けの高いレンジがかなりはっきり別れているようだ。それは英語案件のおおいIndeed等大衆向けJOBサーチとちょっと上の方を対象にしたExperteerなどをくらべてもわかる。さらにポイントは、こちらの高給案件はドイツ語がネイティブレベルもしくはドイツ人の仕事というパターンが多いということだ。考えてみれば自然かもしれないが、一般的に英語ができればベルリンで働けるというのは、英語ができれば”安い仕事はある”のほうが正しいかもしれない。フランスやベネルクスに関しては良くわからないが、現地語がイギリス・アイルランドを除くヨーロッパで重要なのは肌感覚としてわかる。英語ができると高い仕事ができる日本と逆?な印象でこの感覚になれるのは時間がかかった。じゃあ英語ができなくてもいいのかというとそうではなく、英語ができるのが差別化にならない、が近いのかもしれない。

ネットワークの重要さ

結論からいうと、ベルリンでインターネット上にでている仕事(あるいは不動産)はすでに”出がらし”といえる。ドイツがそうなのかもしれないが恐ろしく個人的ネットワークが幅を利かす場所だと感じている。もちろん日本でもUSでもネットワークは一番確かな情報を得る手段で間違いないと思うが、ドイツは特に顕著。ネットに出てる情報はすでに遅い。ちなみに今のところの”肌感覚”だとメールより電話、ネットより紙がここでは信頼される。メールしても返事がないのはザラ。。これまた個人的意見をいうと”IT”環境については日本のほうが良い。ひどいわけではないが、ITサービスに関しては日米、のほうが良いのではないだろうか。これから来る人には直接会える人のコネクションを沢山つくることをおすすめしたい。自分自身もこっちにきてから人と直接会うネットワーキングを頻繁に行うようにしている。起業するならなおさら重要になると思われる。

日本のキャリアは参考まで

これまた当たり前かも知れないが、ドイツの場合はドイツでなんの実績があるか?が重視されるようだ。私は漠然と、日本でグローバル企業で働いていたのなら場所が変わってもそれは使えると思っていたが、一部正しく一部違う。もちろん日本やその他の地域で働いた経験はカウントはするものの、ドイツで教育うけている、あるいはドイツ語圏(スイス・オーストリア等)の人と共有できる文化的経験値があることがかなり重要だと感じる。その証拠にこっちの求人情報をみていると、DACH(ドイツ・スイスオーストリア)担当という文言がとてもおおい。ドイツで雇用されて働く上では結構重要ポイント。もちろん自分で起業したり、マーケットを世界としている企業(主に小規模の若い会社におおい)では異なる場合もある。そこそこネットワークを通してこちらの起業家と話たりすると、こういった会社はあるものの少数派である。

ちなみにグローバル企業(主にアメリカ系)の場合もポジションによるがビジネス関連はよりドイツ的な人をローカル担当者としてとる傾向が強い。

起業した場合は、わからない。イギリスやスペイン等には起業家ビザがあるがドイツには現状ない。しかし、EU外出身の外国人がビザを取りやすい欧州の国という意味でドイツは寛容。時期によって変わるが現状イギリス等に比べるとビザは取りやすい国のひとつだという認識。

現状の結論

現状ベルリンでキャリアをつくっていく上で意識していくポイントは下記

人と会うネットワーキングを増やす。

ドイツ語をビジネスで使う機会を増やす(英語のほうが便利だが、結構重要)

まだ模索している身だがこの一年でわかったことは、自分が想像していたイメージと全く違うローカルで泥臭いものがあったということ。そしてこの中に身を置いてみて自分が何を最終的に何を見出すかまだ全く検討がつかない。

今後、ドイツや欧州で働く事を検討されている方に参考にしていただければ幸いです。









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