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16/10/1

私の宝石物語〜ルビ子の涙〜

Image by Olia Gozha

夜、電話が鳴った。

昼間、行っていたネイルサロンからだった。



「もしかして、指輪忘れていきませんでしたか?」



一瞬で、顔が青ざめた。

思わず左手を見る。

薬指にあるはずのルビ子が・・・いない



翌朝、イチバンに受け取りに行った。

丁寧に袋に包まれていた。



「よかった・・・。」



それを出した時のルビ子の顔は

一生忘れないだろう。



本来の輝きが失われ、どんよりと曇っていた。

こんな顔、見たことがない。



それを見て

どんなにこの子が心細かったのかを悟った。



「ごめんね。一人にさせちゃってごめんね。」



私は何度も何度も謝った。

そしてぎゅってした。



指につけた瞬間

涙が出た。



さみしかったよー

心細かったよー


そんな感じ。



迷子になって

ここがどこだかわからなくて

不安で不安で仕方がない子どもが


ようやくママに出会えて


ホッとして

そしたら

張り詰めていた緊張が解けて


涙が出て


なんで置いてったの?

なんで私を一人にしたの?!


ってすっごく泣きじゃくってる感じ。


そう、

泣きじゃくってる時は

緊張が解けて

もう大丈夫って安心感からくる涙。



そんなのをルビ子から感じた。



ルビ子の寂しさ・悲しさが

心にググーッと湧き上がってきて・・・


なんだか涙が出ちゃったんだ。



ルビ子はやっぱり私の分身なんだ。



ルビ子だけじゃない。

私のところにきている子(宝石)たちは

みんな私の分身。


今、ルビ子は

私の左の中指におさまってる。


ようやく、機嫌をなおしてくれたみたい。

本来のピカピカなルビ子に戻ってる。



彼女はプリンセス。

その情熱的なエネルギーとは裏腹に

すごく繊細なんだってことがわかった。



通常、宝石は

その美しい色をさらに美しく輝かせるために加熱処理をされる。


稀に

本当に稀に。


全体で言えば数%ほどだけれども

加熱処理をしなくても

もともと素晴らしい輝きを放つ宝石がある。


ナチュラル、とよばれているものがそれにあたる。



私のルビ子は

まさにそのナチュラルルビー



赤、というよりも

赤に近い濃いピンク色。



その色がどんどん色濃く

内側から光を放っている様子が見える。


どうやら、完全復活だ。



今回、はじめて

まさかの置いてきぼりをしてしまったけれど


そのことがあったからこそ

宝石にも感情というものがあるんだってこと

意志があるんだってこと(石だけに?)

それを体感することができた。



今回、私はルビ子の意志とか感情、

その根底にある“愛“というものを感じさせてもらった。



ただ単にエネルギーだけじゃない。

感情があるんだってこと。

意志があるんだってこと。



その意志を持って

私のもとに来てくれたんだってこと。




不思議な体験だったけれど

そんなことがあったからこそ

もっともっと宝石が好きになった。

そして・・・愛おしい。



今日はルビ子贔屓DAY。

めいっぱいかわいがってあげよう。


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