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16/8/28

【第7話】モテキ到来!?

Image by Olia Gozha

波乱の初仕事が終わった。僕は色々な意味でクタクタだった。

一人残業を頼まれて仕事をしていたショウと合流した。

彼も同様に疲れていた。食欲がなく、部屋に直行して寝たいとのことだった。ショウは、ベッドメイクの後にキッチンの方にもヘルプに行ってたらしい。


「お疲れさま!おやすみ」

ショウ「オヤスミナサイ。。。」

部屋の前であいさつしてお互いの部屋に入る。別れ際にショウは子供のような明るく笑顔を見せた。今日は筋トレはしなさそうだな。

部屋に入って、シャワーを浴びる。

初仕事だったが、心地がいい疲れだ。あの謎の美少女と一緒に働くことになるなんて全く想像していなかった。そもそも僕は彼女が従業員だと思わなかったし。でも一緒に仕事をして、ただの美少女というだけでなく、頑張り屋さんという一面も見れた。さらに彼女は輝きを増した。

シャワーから出て、髪の毛をタオルでふいて乾かす。

ブルッと机に置いた携帯が鳴った。画面を見るとLINEのメッセージが来ていた。増田君からだ。

『秘密にしてほしいのですが、あやかさんが気になります。』

僕はやれやれと首を横に振った。増田君、バレバレだったよ。僕は一人部屋で携帯の画面を見ながら苦笑した。彼は恋愛の駆け引きは下手そうだ。

コンコンとドアが鳴った。

おそろくショウだろう。僕に何か言いそびれたんだろうと思い、静かにドアをあけた。

「はい...」

カオ「こんばんは~!何してますか?」

「!!???」

息が止まるかと思った。そこにはショウではなくカオが立っていた。数秒間直立不動で立ち尽くす。

「やあ...何かな?」

カオ「あの~、今度時間があれば日本語教えて欲しいですけど?」

「日本語?別にいいけど...」

『やったー!ありがとうございます。』彼女のとびっきりな笑顔がはじけ飛ぶ。

「じゃあ今度、ここに日本語の教材持ってきますね!」

「うん(俺の部屋でやるの!?)」

彼女はそういうと僕に頭を下げて、廊下を早歩きで帰っていった。彼女はそれだけを伝えたかったようだ。僕は彼女の突然に呆然と立ち尽くしていた。

その姿は、先ほどまで年下の大学生の恋愛テクニックに苦笑していた者とは同一人物とは思えなかった。

ー翌日。刺激が強すぎて眠れなかった僕は思い瞼をこすり、仕事に出た。

今日もベッドメイクの続きをするらしい。増田君に頼まれて、綺麗なシーツを運ぶカートを取りにいく。カートはシーツとは違う部屋にある。同じ部屋に入れとけば楽なのに。そんなことを思い、カートがある部屋を開けた。

あやか「あっ!」

「えっ!?」

なんとその部屋であやかが下着で立っていた!なんとアクシデントで、彼女が着替えている部屋に間違えて入ってしまったようだ。

『叫ばれる!』

仲良くなったカオに嫌われてしまう。一瞬、僕は最悪の事態を想像した。

彼女は下着を隠すわけでもなく、上目使いで僕を見てこう言った。


あやか「ケイさんならいいよ。」

「!?」

僕ならいい?どう意味だろう?

真っ白になった僕の脳では理解できなったかが、急いでその部屋を無言で出た。

変な汗が、僕のシャツをビッシャと濡らす。

彼女は一体何を考えているのか。僕にはわからない。

僕はあることに気が付く。


まさか僕は女性にモテ始めているのか?

たしかに、長かった髪をバッサリ切って、無精ひげも剃った。熱くて少しやせた。

歯も毎日磨いているし、漫画も読んでないし、ネカフェも行ってないしって...ってそれは関係ないか。

確かに前よりは少しは男前になってるかもしれないけど(自分でいうのもなんだが)、でもいくら少し良くなったとはいえ、学生の頃は恋愛に無縁だった僕がいきなりモテるのは考えにくい。

これこそ、夏が引き起こす恋愛マジックなのか?誰か教えてくれ!

一人でブツブツと言葉を発しながら、その日の仕事を始める。

答えは当分でなさそうだ....。


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