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16/8/8

「もうライターを続けられない」と思ったときが、新しいスタートだった

Image by Olia Gozha

ライターを続けられない。もうダメだ。




そう思ったことがある。




執筆作業がいやだったのではなく、クライアントからの支払いが遅れ、生活費に困るような状態になったとき。




クライアントが資金繰りに困っているとか、何らかの事情があることを誠心誠意説明してくれた、ということがあったなら、おそらく私も納得できたのだけれど、


「忘れてました」


「支払日を勘違いしてました」


「支払いが遅れると伝えたつもりでした」


などの返答が返ってきたとき、まるで自分の価値が切り下げられたような気分になった。




こちらは生活の糧を得るため、真剣に仕事をしているのに、クライアントにとっては簡単に忘れられ、勘違いされる存在なのだと、自分が惨めになった。




そんな時、いきつけの美容院の店長さんから


「Web集客ってどうやったらいいでしょう?」


と相談を受けた。


「僕らはパソコンとか得意じゃないから、あんまり難しいことをやると、疲れてしまって……」


初めは深刻な相談ではなく、髪を切る間の雑談という感じだった。




しかし、別業種を対象とした記事とはいえ、Web集客のノウハウについて長く執筆してきた私は、つい熱弁をふるってしまった。




私の下手な説明に、店長さんはじっくりと話に付き合ってくれ、帰りには、お礼のサシェまでいただいたのだ。




同じころ、長くお世話になっている工務店の棟梁から


「ホームページを作りたいんだけど、何から手を付ければいいのやら」


と相談を受けた。


Web集客を強力に進めたいというよりも、お客様から「連絡先とかがインターネットで確認できる方が安心」という要望があるとのことだった。




こんな私に相談をしてくれる人がいる、と思うと嬉しかった。




1人の相談に乗るとまた1人ご縁をいただき、いろいろな業種の経営者の方から、ホームページやブログ、SNSを使っての集客戦略のご相談を受けるようになった。


たった一人のために、分析レポートを作成し、現状打破の方法を考えることは、大勢の読者に向けて原稿を書くのとは勝手が違った。それでも分析レポートを書いているとワクワクと楽しくなった。




同時に、私は経営者なんだから、新しい仕事を自由に始めてもよいのだ、ということをWeb集客の仕事が思い出させてくれた。


ライターとしてダメでも、人生全部がダメになったわけじゃないんだ。

そう思うと、気が楽になった。

気が楽になると、不思議にライターとしての仕事も、再びスムーズに回るようになったのだ。


ライターの仕事は好きだ。

それ以外にも、自分にできる仕事を、作り出していきたいと思う。

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