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16/8/7

【第5話】初仕事

Image by Olia Gozha

前回までのあらすじ。僕はペンション「シオン」で住み始めた。隣から変な声が聞こえたので、様子を見に行ったら、ブリーフ一丁の中国人の留学生「ショウ」と遭遇した。



今日は、シオンで初仕事の日。朝礼をするために、僕とショウはシオンのスタッフルームに向かった。ショウとは昨日の夜会ったばかり。彼はなぜパンツ一丁だったかというと、どうやら部屋で筋トレをしていたらしい。

変な声は筋トレをしているときの吐息で、ブリーフ一丁だったのは暑いから服を脱いでトレーニングしていたそうだ。

シオンのカウンター裏にあるスタッフルームはかなり広い。ここでお客様の電話対応や、予約確認などをチェックする。

館長の片桐さんを真ん中にして、囲むようにスタッフが並ぶ。スタッフは20~30人くらいでかなり多い。キッチン、清掃など、様々なスタッフがいる。聞いた通り10代のスタッフもいた。若い人だけでなく、オジサンやオバサンもいる。ショウを初めとした、中国人留学生、インド人やフランス人などの海外留学生もたくさんいるようだ。

片桐さんが一通り業務の説明を終えると、僕に自己紹介をするように言ってきた。

片桐さん「今日から、みんなと一緒に働くケイタロー君だ。優しくしてあげてね。」

「みなさん、始めまして!東京でSEをしていた前田と言います。年齢は25歳で新潟で働くのは初めてでワクワクしています。みなさんよろしくお願いします。」

みんな拍手をしてくれた。初めての仕事でこの先どうなるか、本当にわからない。だが胸が躍った。

今日は一日、清掃スタッフとして働くように桐原さんに言われたので、清掃スタッフが集まる2Fの掃除用具がある倉庫に向かった。

今日はショウも一緒だ。倉庫ではリーダーの増田君が、指揮をとる。彼は大学生で、ここでのスタッフ歴は2か月。有名大学の学生で頭が良い。年齢は年下だがここでは先輩だ。


増田君「「前田さん、ベッドメイキングをお願いします。」」

「ベッドメイクだね!OK!!(ベッドメイク?お安い御用だね...)」

増田君「お願いします!」



やる前は甘く見ていたが、シオンは1フロアに20部屋ある大ペンション。半分くらいまでやると夏だし、汗もかき始めた。意外と大変だ。

そういえば、ずっと体を動かしていなかったから気持ちが良い。

東京にいたときよりずっと健康的な気だ。

途中でベッドのシーツがなくなったので、倉庫に取りに戻る。

ドアを開けた。増田君はいなかったが、ショウが誰かと喋っている。

一体誰だろう?そこに立っていたのは...なんと、そこにはあのユリのような美女が立っていた!

いきなりの遭遇で呆気に取られていると、彼女が僕に話しかけてきた。

「(廊下ですれ違った彼女だ!!なぜ彼女がここに!?)」

謎の美女「「これが替えのシーツです。」」

「あ...ありがとう。」

謎の美女「「増田さんが、あなたと一緒にベットメイクをするように言ってました。一緒にベットメイクしに行きましょう。ケイさん!」」

ショウ「ケイさん、なんで顔赤いデスカ?」


彼女をもう僕の名前を知っていた。彼女は僕に笑顔で微笑む。

彼女の笑顔はなんて可愛いんだ...

完全に頭が混乱していた。僕に話したそうなショウを横目に、僕はベッドメイクが必要な部屋に謎の美女と一緒に向かうことになったのだった。

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Image by Jukka Aalho

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