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16/8/1

フィンランドどうでしょう⑤ ヘルシンキで散髪したらヘルシンキ人に間違われた話(エストニアどうでしょう⑮)

Image by Olia Gozha

フィンランドで散髪。北欧カットとは?

日本を出てから数ヶ月、僕は髪を切っていなかった。というのもエストニアの床屋さんや美容室は少しセンスが前時代的だったり、あまり技術が高くないかもという話を先駆者様のサイトで読んでいたからだ。髪質の違いもあるかもしれないが。



でもここはフィンランドだ。おしゃれのセンスに関しては絶対に大丈夫なはずだ。そう考えた僕は美容室を探し始めた。すぐに美容室はみつかった。お客さんはおばさん一人しかいなかった。切っているのは中年の女性だ。

「すいません。旅行者なんですけど、予約もしてないんですけど、切ってもらえますか?」

美容師の女性「全然オーケーよ!」

さすが多民族共生国家、外国人が来ても全くもってフレンドリーである。

散髪はほとんど待たずに始まった。

美容師の女性「髪型はどうする?」

「3ヶ月ぐらい切ってないんでその分切って下さい。あとすいてください。あと「美しい」感じでお願いします」

美容師の女性「もちろん!わかったわよ!」

「美しく」と言ったのは別に僕がナルシストだからではない。僕のアイコンを見ればナルシズムを発揮してもあまりメリットが無いタイプだということはわかると思う。そうではなくて僕は髪型が悲惨なことになって取り返しがつかなくなるのを避けたかったのだ。そこで「美しい」という形容詞を恥ずかしがらずに使うことにした。何事も「単刀直入」に言うのが大事だ。常にダイレクトアタックだ。


ジョキジョキジョキ・・・・

美容師さんは髪を切り始めた

美容師さん「いい髪ね・・・美しいわ・・・」

フィンランドの美容師さんにとって黒髪は美しいのだろうか。お世辞でだとしてもありがたい。そういえば赤毛のアンが黒髪に染めようとしたエピソードがあった気がする。

僕は散髪中は常に目を閉じている。目に髪が入るのが怖いからだ。だから途中経過が見えにくい。最も途中経過を見ても最終的な髪型の参考にはほとんどならないが。

美容師さん「目を開けて見てくれる?」


途中、美容師さんは何度か僕に目で見て長さを確認してほしいと言って来た。正直分からないがそれなりにかっこ良くなるように答えた。

ただ散髪中に途中経過を見るのは中々恐ろしいことなのだ。日本に居た時から思っているが、散髪途中というのは髪を一部固定していたり、部分的に切っていたりするので、鏡で見るとどうしても岡っ引き感が出てしまう。それは世界のどこに行こうとも一緒なのだ。

もちろんフィンランドでも同じだ。岡っ引きのような姿の自分を見せられて「この部分をどうするか?」などと言われても素人の僕には完成型が思い浮かばない。この岡っ引き状態からイケてる状態にしてくれると美容師を信頼した上で予想で応えるしか無いのが常である。だから結局無難な回答になる。ああ言う時のために「普通」とか「おまかせ」と注文した時の切り方を業界で揃えれば良いのに。ISO(国際標準化機構)とかを使って世界的に標準化してもらいたい。

途中の中途半端な姿を見せられるのは進化途中のカエルを見せられているような気持ちだ。尾と手足の両方がついていて勝手が悪い。変態途中のさなぎのような感じだ。飛び立つのか固まってるのかどっちかにしてほしいと思ってしまう。ちなみに岡っ引き状態のまま、外出すると変態となる。基本、客は散髪中は希望を持ち続けながら耐えるしか無いのが現状だ。

そんなことを考えていると、美容師さんが僕に言った。

美容師さん「さあ、できたわよ!」

僕はおそるおそる目を開けた。

「おお!これは!」

「ものすごくいい!」

「ありがとう!」

結果はものすごく良かった。

なんというか日本と変わらない切り方で切られているし、髪型も日本よりほんの少しシャープだ。たしかに北欧だとこんなシャープな髪型のアジア人をみることが多い。これはとてもおしゃれだ。最高です。ヘルシンキ最高!

「ヘルシンキ最高です!」


値段は25ユーロだったと思う。日本でも4000円ちかい美容室もあるので、物価の高いフィンランドと考えれば、これは安い。

「安い!なぜこんなに安いの!?」

美容師さん「知らないわ!」

そりゃそうだ。よく考えると突然「あなたのサービス料はなぜ安いのですか」なんてぶしつけな質問だった。お金の話はセンシティブに行こう。いくらダイレクトなコミュニケーションといっても脳内がダダ漏れ過ぎていた。少し栓を締めていこう。


とにもかくにもヘルシンキで髪を切ったのは大大大正解だった。


早くも散髪の効果。ヘルシンキの地元の人と間違われる

この後、ヘルシンキの街を歩くと、観光客から地元の人と間違われて質問をされた。

髪を切ったせいかフィンランド在住者の地元の人だと思われている!

なんかしらないけど僕は「やった」と思った。


その観光客の方は聖職者のようなオーラを放つ優しそうな真面目そうな男性だった。身なりもきちんとしている。

先ほど街を歩く時に声をかけられたと書いたが、正確には公衆トイレから出た直後に声をかけられたのだった。

ヨーロッパでは有料のトイレも多いが、このトイレは無料だった。

真面目そうな男性「ちょっとすいません?」

「はい?なんでしょうか?」

真面目そうな男性「このトイレは有料ですか?」

「いいえ。無料ですよ。」

真面目そうな男性「本当に無料?」

「本当に無料ですよ。僕お金入れてないし!」

真面目そうな男性「本当に?本当に無料なのかなあ・・・」

「無料ですよ!扉にFree of chargeって書いてあるじゃないですか!」

真面目そうな男性「でも・・・」

「いや「でも・・・」って・・・書いてあるじゃないですか。」

真面目そうな男性「でもなあ・・・」

「無料なんですよ!Free! Free!」

真面目そうな男性「でもぉ・・・・」

「うーん。(何を心配しているんだこの人は)」

「わかりました!僕がもう一度入るから見ていて下さいね!」


僕は再び公衆トイレの中に入り、何もせず数十秒待ち、再びドアを開けて外へ出た。


「ほら!大丈夫だったでしょ!無料だったでしょ!逮捕されませんよ僕!¯\_(ツ)_/¯ 無料です無料!」

「ホラ!もう一度ここ見て!無料ですよ!無料!Free of charge!!(大声)」

「No Money!(親指を立てる)」

おじさんはやっと理解したのかおそるおそるトイレに入っていった。

それにしても一体何を心配していたのか・・・・

いずれにしてもヘルシンキの人と思われたようで、僕としてはちょっぴり光栄だった。


一風変わったストレンジャーのおじさんに話しかけられたことで、その後僕は束の間のヘルシンキ人として街を楽しげに散策することが出来たのだった。


【注目】エストニアのブログ書いてるよ! http://selohan.com/

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