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16/7/27

エストニアどうでしょう⑩ エストニア国内はサウナだらけ。川に飛び込むエクストリームサウナ体験も!

Image by Olia Gozha

前回はエストニアのサウナについて書いたが、今回もエストニアの地方にある様々な場所で僕が体験したサウナについて書きたい。


タルトゥの川に飛び込むサウナ

エストニア第二の都市タルトゥにカウチサーフィン(地元の人にタダで泊めてもらうアプリ/ウエブサービス)に行った時のことだ。近くに有料だが面白いサウナがあると聞いたので、早速ホストと一緒にその場所に行くことにした。着いたのはタルトゥを縦断するエマヨギ川(Emajõgi)。エストニア語で「母なる川」という意味だ。エマヨギ川の川岸にそのサウナはあった。


川べりにあるサウナ 兼 なぞの施設



早速オーナーに挨拶をする。

サウナオーナー「ようこそ!」


見た目40代ぐらいのヒッピー風の風貌をした男性だ。早速服を脱ぎ、タオル一枚でサウナ室に向かう。サウナ室はもう熱々だ。もうすでに90℃ぐらいあるのではないだろうか。まずは15分ほど座って身体を暖める。身体が暖まったら、席の下から一段目にうつ伏せになって寝転がるように指示される。


湯気による熱気がすごい

サウナオーナー「それじゃ、横になってくれるかな?」


そこからオーナーの本領発揮だ。

まず葉のたくさんついた白樺の枝を持ち、その枝を熱湯に入れる。熱湯のついたままの白樺の葉を僕の身体の背部全体、頭から背中から足までマッサージをする。身体の中は熱いし背中も熱湯なので熱い。これは中世の罪人に対する拷問かなんかかな?心臓が高鳴る。ここまで熱い中でマッサージされたら、血行もさぞよくなっているだろう。彼の念入りなマッサージをされ、僕の体内はこれまでに体験したことが無いほど熱がこもってきていた。

サウナオーナー「もうかなり熱くなってる?それじゃあサウナを出よう!」

彼は僕をサウナ室から出し、サウナハウスからも出るように言った。

「ちょっと待って!裸なんですけど!?」

サウナオーナー「誰も見てないよ!いいから早く行って!」

お金を払ってサービスを受ける側はこっちなのだが、なにやらスパルタ感を発する彼。言われるがままに裸で外へ出る僕。

目の前には川が。ちなみにこの時期(10月)のエストニアの平均気温は7℃であり、僕が居た大阪の真冬の気温である。水温が冷たいのは言わずもがな。



タルトゥを縦断する川。エマヨギ川

彼はこの桟橋から水温おそらく5℃以下の川に飛び込めという。

「心臓止まったらどうすっっだ。」

それでも彼はサウナを出てからが鬼軍曹と化している。ここはこの体育会系のスパルタな雰囲気に乗っかっていくしかない。他に選択肢は無い。裸だし。

「じゃあ飛び込みますよ!」


サウナオーナー「飛び込むときは、口を閉じて息を止めろよ。」

「は!?」

サウナオーナー「飛び込んだ時に鼓膜が破れても良いんだったらね。」


「鼓膜が破れる?」



この期に及んでおそろしいことを言い出す彼。どこまで僕を追い詰めれば気が済むのか?

「せいやっ!」

僕は勢いよく桟橋から飛んだ。


ーーもし心臓が止まっても、リュックの中に海外保険の証明書があるからなんとかなるだろう。それにもしここで寒さに耐え切れず突然死したとしても、そういう運命だったのではないかと割り切るしかないだろう。「我ユーラシアノ端エストニアノ大地、母ナル川『エマヨギ』ニテ玉砕セリ。」それもある意味劇的な・ダイナミックな死に方ではないか。それもカッコいいかもしれない。そんなことを考えて僕は飛んだ。

ザッパーン!

痛さと冷たさをミックスしたような感覚が身体中を駆け上ってくる。何なんですかコレは。とにかく気分が良いのか悪いのか良くわからない。

サウナオーナー「水に頭まで浸かって10秒数えろ」

「(マジで?)」

「1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・・」

「(だんだん感覚がなくなって来た。)」

「6・・7・・8・・9・・10!」

ザバーン!(水から上がる音)

僕は10を数えた瞬間すぐに桟橋に登った。

「何なんですかね。コレ何なんですかね!?」

サウナオーナー「声を出すな。鼓膜が破れるぞ!」

「(何なんですかね。コレ何なんですかね!?)」

言葉にならなかった。フィジカルな(身体的な)体験というのは往々にして言葉には置き換えられないものなのだ。強いて言葉にするとすれば、

●恐ろしく冷たい(水温5℃なので)

●寒くはない(体内は温まっているので)

●少し痛い(水が冷たいところに急に入ったので)

●ここはどこ?(平衡感覚の喪失・前後不覚)

といったところだと思う。


その後僕は、屋根裏の部屋で仰向けになって休憩した。


屋根裏 ヒッピー的なポスターや書物が大量にある。

屋根裏で休憩していると、身体の内部から冷たくなった表面に熱がじわじわと染み出して来ているのが判った。「たしかに僕は今までの人生に無い体験をした」と感じた。そういう意味でも良かったかもしれない。彼はこのサウナを「ジェットコースター・サウナ」と呼んでいた。サウナに入るだけでジェットコースターのような爽快な体験が出来る。よく考えたらそれはとても価値のあることなのかもしれない。

そう、サウナとは健康のためだけに入るものではない。とても爽快でエクストリームなものなのだ。



どんな小さな町にもサウナはある。

これまたカウチサーフィンでエストニアのマルヤマー(Märjamaa)という町に行った時の話だ。人口3000人に満たない小さな町。この小さなにもサウナはある。


こじんまりした町マルヤマー。観光地というわけでもなく、とても小さな普通の田舎町だ。


このマルヤマーという町にもサウナがある。一見公民館に見える普通の建物が実はサウナなのだ。


ストリートビューから。見た目はごく普通の建物だ。


しかし、このストリートの名前がすごい。このサウナのある通りの名前自体が"Sauna"なのだ。


なんと通りの名前からして "(サウナ)Sauna"昔住んでいた人もこの通りにあるサウナに入っていたのだろう。

ストリートの名前に "サウナ" とつける程だ。小さな町だけどきっと良いサウナがあるに違いない。

早速建物に入ってみた。中も公民館というか、まったくもって現代の普通のコンクリートの建物だ。ここがサウナだという。数ユーロ払って、服を脱いで室内に入る。サウナは男女別だ。着替え部屋とサウナ室と間にもう一つ部屋があり、そこでシャワーを浴びたり休憩したりできるようだ。僕は早速サウナ室に向かう。


中には近所の人と思しき人達が先に座っている。僕もお邪魔しよう。

「失礼します・・・」

普通のサウナだ。温度は高めだがとても普通のサウナである。僕はゆったりと座って汗を流していた。同行のカウチサーフィンのホストがお湯をサウナの焼けた石にかけ始めた。温度も湿度も上がっていく。でもまあ耐えられる温度だ。

でも温度計を見ておどろいた。

「130度!?」

温度計は130度を指していた。そんなことがあるのだろうか。化学には詳しくないのだけど、130度の水蒸気の中にいて人間は大丈夫なのであろうか?

大丈夫なのである。理由は分からないが大丈夫であった。


その後、ホストの彼はサウナの石にクワスをかけた。広がるパンの臭い。クワスはパンから出来た発酵飲料だ。公共の場所でも石に飲み物をかけたりしてをしてOKなのだ。結構フリーダムである。というか基本的に日本以外の国は割りと様々なことに対してフリーダムである。


僕たちはサウナから出てシャワールームに向かった。

シャワールームには、シャワールーム内の隅でホストの彼が手招きしている。

そこにはなぜか天井に吊るされたバケツがあった。


シャワールームの天井に設置されたバケツ パット見で10リットルぐらいある。

バケツの中には勢い良く水が注がれている。そして金具の仕組みで縦に回転するようになっている。

もうお分かりだろう。サウナ後にこのバケツ一杯に入った冷水を頭から一気にかぶるのだ。


「またかよ・・・(笑)」


公共のサウナでも頭から大量の冷水をぶっかける装置が設置されている。この国の人達は心臓麻痺とか考えないのだろうか?日本の銭湯の水風呂によく書いてある注意書きとは間逆である。日本では足から徐々に入れなどと注意書きが記載されていることもああるが。エストニアでは「頭からかぶれ」が通常である。ちなみにエストニアのサウナと併設されている冷水ぶっかけマシーンや水風呂にはもちろん日本にあるような注意書きは存在しない。

サウナと冷水で心臓麻痺で死ぬという前提が彼らからするとありえないのだ。

エストニア人「サウナ入った後に頭から冷水ぶっかけるのは普通だろ?」

と言わんばかりである。

たまにビールをたっぷり飲んでサウナに入る人もいる。これも日本と真逆でびっくりする。しかし誰も咎めることはない。ここではそれが普通なのだそうだ。


この他にもタリンのスポーツセンターにもいくつもサウナ室があったりとサウナに事欠くことは無かった。


ただ、エストニアのサウナは混浴もOKだが、基本的に混浴に慣れている女性が少ないらしく、一つしかサウナ室がない場合は、女性は恥ずかしがって入ってこなかった。これがまだ純朴なエストニア女性らしいところだ。となりのフィンランドは混浴だと聞くし、僕がエストニアを旅立った後に向かったドイツでもサウナは混浴だった。


ドイツの女性は混浴のサウナの中でも普通に裸になるので、そういうところがとても堂々としたドイツの女性らしいなと思う。僕はそんなドイツの女性を見て「とても頼りがいがありそうだ」と感心してしまっていた。


そしてやっぱりエストニアの女性は本当におっとりしている。本当にムーミンのフローレンス(ノンノン)みたいだと思う。そして僕は、そんな堂々としたドイツ女性も奥ゆかしいエストニア女性もどっちもとても良いと個人的に思う。



【注目】エストニアのブログ書いてるよ! http://selohan.com/

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