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16/7/18

バナナが食卓から姿を消す?

Image by Olia Gozha

近頃、いつも行くスーパーの青果売場にあるバナナの売場で台湾バナナが姿を見かけない。あるのはフィリピン産かエクアドル産。小ぶりだが値段高めで「もちっと」した食感の台湾バナナはどこへ行ったのだろう。

よく言われる様に我々が子供だった半世紀前はバナナは高価な果物で風邪でも引かないと中々食べられなかった。

その頃出回っていたのは大抵この台湾バナナ。

日本に初めて輸入されたのも台湾からで、1903年に大阪商船(今の商船三井)の台湾定期航路の貨物船で7籠が神戸に到着。日本人向けの品種改良に努力したことにより高級果物としての不動の地位を占めたが、1960年代にはアメリカの資本が入ったエクアドル産のバナナが日本に流入。しかし、輸送距離が長いこともあり品質に劣ることから、「安物」とのレッテルが貼られ大きく伸びることは無かった。

1970年代半ば頃から日本の商社が積極的にフィリピンで大規模栽培に参入。

輸送距離が短いことから品質も安定して安価に供給されたことから台湾バナナよりトップの座を奪った。


元々台湾はバナナの栽培には厳しい土地で、殊に冬の寒さ故にバナナの生育に時間が掛る。

また毎年夏には台風銀座と呼ばれるほど台風の直撃が相次ぎバナナに壊滅的なダメージを与える。

台湾の工業化、サービス産業化の進展も生産コストの高騰、生産者の減少とマイナスに働いている。


ではフィリピン産のバナナが安泰かと言うとそういうわけでも無い様だ。

バナナは元々自然の中で種が出来ない株が出来たものを株分けで増やしている。種が無いのだから。

という事は、全てのバナナの木が同一の遺伝子情報とそれによる同質性を持っており、特定の病気について極めて弱いという事になる。

実際、ジャマイカで発見されてその後主流だった「グロス・ミッシェル」と言う品種は、パナマ病と言うカビの一種による病気でほぼ絶滅してしまった。

このカビに耐性がある品種として「キャベンディシュ」という品種が見つかり現在の主流となっています。

ところが1990年になって、この「キャベンディシュ」が台湾で「新パナマ病」に罹患した事が確認され、恐ろしい勢いで広がっている。

フィリピンのミンダナオ島では既にバナナの木の5本に1本が感染している。

新たな耐性種が発見されなければ今後5年で9割のバナナの木が壊滅するとの予測もある。

そうなるとバナナが我々が手軽に食べることのできる果物の地位を明け渡す事になってしまう。

何とかバナナには頑張ってもらいたい。



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