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16/7/17

【第10話】離れて暮らしていた父の介護のこと、死んだときのこと、そしてお金のこと。

Image by Olia Gozha

またもや会社を途中抜け

数日後、病院から電話。

看護士さん「先生から病状説明などのお話がありますので、○日の午後4時に病院にいらしていただけますか?」

「(また平日か…)わかりました、お伺いします。」

また、仕事を抜けなければいけない。

気まずい思いを少し抱えながら上司に報告すると

上司「わかったー。アポイントとか入れてたら、そこはズラすなり、事前に対応しておいてねー」

あっけなくOKが出た。


少し話がずれるが、私はこの上司に何度も助けてもらった。

とにかく「家族」に係ることでの欠勤、早退、遅刻は、

本当に一回もNGが出たり、怒られること、嫌がられることはなかった。

この件だけでなく、業務等も含め、私が経験した職場の中で

彼は「一番の上司」だったし、今もそう思う。


本題に戻ろう。

上司の許可ももらったので、私は病院に行くついでに

もうひとつ、大きな仕事を片付けようと決めた。


家賃の支払、解約準備

恐らく2月から、父は家賃の支払をしていない。

なぜ「恐らく」なのかといえば、銀行から振込や引き落としをしている形跡がなく

別の方法で支払っているか、まだ探しきれてない口座があるはずだ。


会社に戻らなければいけない私の時間は限られている。

あの汚部屋から探し出す余裕はない。

ただ、「なんでもとっておく」父のおかげで、管理会社は分かっていた。

駅前のエ○ブルだ。


病院へ行って、帰りに駅前のエ○ブルで、家賃の状況と支払を確認して

未払いがあれば、そこで支払ってしまおう。

「これで一歩前進!病院を17時には出るとして、バスで駅まで10分。エ○イブルの場所は分かってるし、18時には電車乗って会社に戻ろう。」

段取りもバッチリだ。

外は大雨だったけれど、少しでも前進できる予感に

それほど憂鬱にならずに、父の病院へ向かっていた。


今、その時の私に伝えられるなら言いたい。

「あなた、帰り道はこの雨と同じくらい泣きたくなるよ。」

もちろん伝わるはずもなく、

私は、この「雨」に打ちのめされることになる。


つづく


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