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16/7/16

それでもこひはこひ~ひでお物語~

Image by Olia Gozha

秋はどこか人恋しい。前期が終わり、秋の休みの期間だった。 

とくに何もすることもなくてボーっとしている日も多かった。


そんな秋の夜長、講座もなくて、ずっとあっていないみきと無性に会いたくなった。

そして、彼女の家まで行くことにした。


彼女は九州からでてきてひとりぐらしをしていた。

下宿の場所はなんとなく聞いていた。

そのなんとなくをたよりに、自転車を走らせた。

そしてまもなく彼女の居場所をみつけた・・・・。


ドアの前でずっとためらっていた。


知り合いではあるけれど、男を部屋に入れてくれるのだろうか。

いきなりの訪問だし、絶対変だよなあって自問自答していた。



だから、そのドアのチャイムを鳴らすのにそのあと2日かかった。


そして、最初の日から3日後にチャイムをならした。




彼女は当然ながらびっくりしていた。


「ちょっと近くまできたから~」なんてありきたりな嘘をついてとりつくろうひでお。

彼女はいぶかったけど、部屋に入らせてくれた。



中に入ってどんな話をしただろう。あまり覚えていない。

彼女はベッドにすわり、ひでおはベッドに寄りかかり、とくに目を合わせることなく座っていた。


テレビでもみてたのかな。そんなたわいもない時間がすぎて・・・・・




ひでおはみきに「好きだ」と告げた。


かなり前置きが長かった気もする。

女の子に告白をするなんてことは初めてだった。

こんなに緊張したことはなかったし、こんなに思い切ったことも初めてだった。


そして、少し泣いた。


そのあとのことはあまりおぼえていない。

返事をきいた覚えはない。

彼女といい関係になったのかというと、なっていない。


結局その後数回、突然訪問したりとか、クリスマスにプレゼントを渡したりとか、

といってもいなかったからポストに入れといたりとか、

なんだか、 変なやつに近かったかもしれない。


煙たがられることはなかったけど、結局ひでお少年はどうしたかったのか、 

今でも疑問に思う。



その後、彼女はいつの間にか、大学の先輩と付き合っていて、卒業してすぐに結婚した。


あいかわらずなにかと中途半端なひでおだった。



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