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16/7/15

第4話:マレーシアで見た全く新しいライフスタイルと想像を絶するほどの美しい世界

Image by Olia Gozha

自由なライフスタイルと想像を絶するほどの美しい世界

それまで、普通のレールを敷かれた生き方しか、私は知らなかった。

学校を卒業したら、普通に就職して、結婚して、子供を産んで、ずっと同じところに住んで、一生過ごす。そんな、ごくごく普通の生き方しか知らなかった。



大学を休学して、旅に出た時点で、もう普通の生き方のレールからは少し外れかけていたのかもしれない。

でも、帰国したら、普通に就職して、結婚して、子供を産んでという、みんなが当たり前にやっている生き方以外、自分には思いつかなかった。





日本の環境で、自分の周りには見つけることができなかったけど、世界を見て回れば、きっと何か自分が好きだと思える生き方や、仕事にしたいことが見つかるはずだという期待を持って世界放浪の旅に出た。




そして、今までの人生で全く見たことのないライフスタイルに、マレーシアで出会うことになった。



日本にいては、決して出会うことはなかっただろう。



この出会いが、常識の枠を超える生き方を考え始める、一番最初のターニングポイントになった。





マレーシアでとある小さな島で出会った、オーストラリア人のカップルが、私を連れて行った先は、なんと、ジャングルだった。





熱帯樹林の中に、彼らの家はあった。





トレーラーハウスのような、シンプルな箱のような家が2つ、その2つの家を繋ぐように、透明なプラスチックの屋根がついている。



一体、彼らは、こんなジャングルの中で、何をして生きているのだろう?



家の周りには、ダチョウの群れがいた。





「私達は、オーストラリアの会社から派遣されてここに来てるのよ。


ここで1年から数年の間、動物の世話をして、また別の国に行って動物の世話をして、


という感じで、いろんな国に数年ずつ滞在しながら、


自然の中でキャンプをするように生活しているの」





オーストラリアの会社から派遣されているとは言え、会社員というよりも、彼らはとても自由に自分でいろんなことを判断したり、決めたりしながら、自然と共に生きているように見えた。



「そんな生き方もあるんだ〜!」



自然が大好きな私にとっては、とてもワクワクする生き方の例を見せてもらえた。



夕方、「ピクニックに行こう!」



と、作ってもらった簡単なサンドイッチや、イスなどを持って車で出かけた。





さらに、深いジャングルの中へと突き進んでいく。



手付かずのような深いジャングルの中での、ピクニック。




かなり、ワイルドだ!!






「私は、自分の生き方を模索中なんです。それで旅してるんです。

どんな生き方をしていいか、わからなくて」



そう言って本を読むために、うつむいた私を見た彼女は、突然、大きな声で言った。





「京子!あなたの今の表情!とっても知的な表情をしていた。

すごく素敵。写真を撮るわね!

あなたは、きっと知的な仕事につくはずよ!

それに、きっと、結婚相手は、日本人じゃないわね。

日本人は向いてないと思う。

あなたは、もっと冒険的な自由な生き方をしていくはずよ!」





なぜか分からないけど、予言するように、彼女はそう言った。






私は、とても信じられない気持ちだった。


なぜなら、自分のことを”知的”だなんて、人生で1ミリも思ったことがなかったし、

周りからは、いつも「天然だよね〜」と言われ、”知的”なイメージとは程遠い扱いを受けていたからだ。



でも、20年後の私が、その時の私に言葉をかけることができるなら、



「京子、それは現実になるよ。今は信じられないかもしれないけどね」




インド哲学という小難しいものが好きになり、それを教える仕事をするようになったのだから。




それに、結婚相手は、本当に、日本人ではなかったのだから!







ちょうど夕日が沈む寸前だった。




何か私に見せたいものがあるらしく、しばらく森の中を歩いた。




うっそうと生い茂るジャングルの中を、草をかきわけながら、進んでいった。



先に進んでいた二人が止まった。どうやら着いたらしい。




顔を上げると、目の前に広がっていたのは、




多くの水牛たちが、水浴びをしている湖だった。




そして、ちょうど沈みかけていた夕日が、湖をまさに黄金色に変えていた。




それは、言葉を失うほどの風景だった。




ゆ〜っくり、ゆ〜っくりと歩みながら、水浴びをする水牛、



黄金色に輝く湖。



そこに、ちょうど遠くからコーランのメロディーが響いてきて




幻想的な雰囲気がいっそう高められた。





この世とは思えないような世界につつまれて




私達は夢のような時間を過ごした。




世界がこんなにも美しいなんて、知らなかった。





自分が計画した通りに旅をしていたら、決して出会うことがなかった景色。




心をオープンにして、出会いにゆだねていたからこそ、想像もしたことがないような美しい世界を見ることができた。







こんな二人のような素敵な生き方ができたら、どんなにいいだろう。



私の引き出しの中に、初めて「理想的な生き方」が1つ加えられた。




やっとこの日、このカップルのおかげで、



旅の一番の目的である、



「自分の好きなこと、好きな生き方を見つける」



ことができたのだった。





いろんな国を自由に旅して生きる。


森の中に住む。


自然と共生する。


時々、絶景とも言える自然の美を堪能しながら。




「見つからない、見つからない」と



悶々としたハートが



初恋の相手をようやく見つけて、



喜びに震えていた。




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