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16/7/3

ボクには、友達がいない(必要?)(6)

Image by Olia Gozha

ボクには、友達がいない(必要?) (6)

  20年ほど前に、名古屋の大規模校で講師をしていたとき、Sくんというロクデナシがいた。何がロクデナシかというと、遅刻、落書き、私語、備品破壊といった悪いことはひととおり全て実行済みという感じの子だった。

 当然、成績は最下層であって、私は見ると腹が立つので、無視していた。注意して更正できる年齢ではないのだ。このまま、人生の敗残者、ブルーシートの家に一直線のケースだろうと思っていた。

 そんな彼が、ある日欠席した。私は、非常勤講師だったので、事情が分からず、他の生徒に理由を知っているか尋ねたら、最も信頼のおける子が

「死にました」

 と答えた。私は驚いて

「え、なんで?」

 と尋ねた。すると、妙な沈黙がクラスに流れた。私は、気にせずに授業を始めた。それで、他の講師に事情を尋ねたら、交通事故だった。どうも、彼はアルバイトの掛け持ちで夜中走り回っていたらしい。

 母親が病気らしかった。

 あれから、20年が過ぎた。子供に恵まれ、三人を大学に行かせるのは大変なことだと分かった。母が病気になった。その時期に、バブルが弾け、少子化になり、塾が危機に陥ったことがある。

 私は、Sくんと同じように365日休み無く働いた。そして、同じように交通事故にあった。気持ちに余裕がなかった。こういう窮地に陥った時、社会はどう反応するか。

 誰も助けてくれない。銀行は、危ない相手の融資をするわけがない。友達もみんないなくなる。病気になっても、お金がないと医者は診てくれない。要するに、「死ね」ということだ。

 この時に、Sくんのことが思い出された。Sくんは、本当に交通事故だったのだろうか。その気まずい雰囲気は何だったのだろう。病気と言っていた母親は、あの後、どうなったのだろう。

 ボクには、友達がいない。Sくんも、そうだったのだろう。

 今も、Sくんのような素行不良の生徒がいたら無視するか、他の塾生に迷惑だから「強制退塾」させる。

 地元の公立中学校は、「班」で助け合うように教える。しかし、それはママゴトであって、卒業したらお互いに見殺しだ。「組」など作って、教えあう指導をするものだから、すぐに他人に「教えて!」という癖がついて、学力アップにはマイナスにしかならない。

 受験は、1人でするものなのだ。すぐに頼る姿勢の子には、乗り越えられない。

 でもね、ローガンは違った。ここ日本は、ダメだけどローガンは違った。困った人には手を貸す人が、かならずいた。

 

高木教育センター

1、ホームページ  http://takagi-kyoiku.life.coocan.jp/english/index.html  

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4、動画        https://youtu.be/56NYE3OApo0  

 

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