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13/5/2

マルチ商法に関わってた時の事と今。

Image by Olia Gozha

最初はアムウェイでした。

声優目指してる時に誘われたんですが、未成年だった為登録には到りませんでした。

ただ、そこには夢を語り、すごく輝いて見える大人達がいました。


まあ・・・、三十路も過ぎればそれがどんなものだったのかは言うまでもないのですが、

夢も希望もそれなりに明るく持っていた19歳には、新鮮では済まされない世界でしたが、

未成年ということで取りこぼした夢のカケラだったのです。


それから3年を経て、音楽で上京していた私にまたしても声をかけてきた人が居た。

渋谷の青山通り 宮益坂にある怪しい会社です。

当時、超音波美顔器を扱っていました。

一台40万もする代物です。

いくら情弱全盛の時代とはいえ、大阪人の勘が「市場価値的におかしい!」と訴えていたのですが、「洗脳」に負けてしまいました。

当時でも数千円から1万円ちょっとで超音波美顔器くらいありましたから・・・。


そういう市場価値と照らし合わせても競争力的に明らかにだめだろう!って思えるのに

なぜハマるのか?


これがみんなの疑問じゃなかろうか。


そこが「洗脳」と呼ばれる所以なのです。


人生に花を咲かせよう

彼らの特徴は、無駄に明るく、夢ばかり語り、現実的な数字を語らない点にあります。

そして、昔から有る囲い込み商法と同じで、密室で、危機感を煽り、そこに救世主が現れて、

「アナタは救われます!ただし、これを信じるならば!」

という、カルト宗教そのものの手法で洗脳プログラムを実行してきます。

自己否定、自己批判の末に、受容と救いを備えた新しい概念を植えつける。

「脳を洗う」と書くとおり、まさに洗脳なのです。


危機感をあおり、希少性を持ち上げ、価値観の再考を促した後で

美辞麗句を並び立て、奇麗事と理想論で華々しく見せて、集団心理でサインしなければ負けという空気を演出する。

今を逃せば一生花開くことは無い人生であるかのように演出する。

アレは80%は虚飾で出来ているのです。


強固な意志さえあれば騙されない?

「いや、オレは騙されない!絶対に大丈夫だ!」といっている人ほどハマりやすい構図もここにあります。

それほど信念や意志が強固だからこそ、思想や価値観が反転した時は強烈な支持者に変貌するからですね。

さて、ここで誰もが見たこと、聞いたことがあるような言葉を出すとします。

「人は見たいものだけを見る」、「信じたいから信じる」

これは、そんなあからさまに怪しいのにダマされる仕組みでもあります。


人は希少性ってものに弱いですね?

期間限定とか、今だけとか、今を逃したらもう手に入りませんよ!とかいわれると、

とたんにそれが物凄く大切な何かに思えてしまう。

そういう心理を持っています。


だから、洗脳の入り口にはこうした希少性を上手く使ってきます。

「二度とこんなチャンスはありませんよ!」

いやいや、ゴロゴロしてました(笑)

そんなにしてまで私を引き抜きたかったんですか?ってくらいにゴロゴロと。

グループのNo1や、運営会社のNo2までが出張ってくるケースもありましたね・・・。

凡人の私の何処にそんな価値があったんだか、いまだに不明ですが。

心理の落とし穴に着け込んできます

さて、そこへ持っていくためにも色々仕掛けがされています。

まず、相手が正常な判断をする前に宣言させる。

つまり、「会場へ行く」と「約束」させる。

人は一貫性のある言動をするような心理の働きが有るらしいので、

言わせたことは、実行させやすくなるのです。


希少性で釣り、宣言させ、会場へ来させたら、

今度はABCの法則です。

良く知った知人と、その知人が信頼する第三者によって話しをされた時、

人は、第三者による評価の方を、より高く信用する傾向にあるそうです。


プレゼンテーションで洗脳儀式を仕込み、

その後のクロージングで契約まで持っていく。

だから、絶対に騙されない為には、

「絶対に判子と身分証を持っていかないこと」と、

「絶対にその場で契約を完了しないこと」です。

相手は正常で冷静かつ客観的な判断をさせないための仕掛けをしてきています。

ですから、冷静かつ客観的な判断を、数字とデータを以って比較検討し、

結論を出せば、その日得た情報が真に価値あるものなのかどうか判断が出来るというものです。



この仕掛けには、

「ゲストを誘う時には、絶対に詳細を電話やその場では話さない事」という約束事があります。

事前に知ってしまえば対策されてしまいますからね・・・。


得たものもある

今でも私はあそこは悪徳マルチだと考えています。

表面上は合法組織であり、連鎖販売取引に合致した体裁を持っています。

しかし私は、コロコロ名前を変えるヤツを信用しません。

ころころ主張や信念、理念を変えるヤツも信用しません。

この会社はあのあとも3・4度名前を変えているようです。


あの時もそうでしたが、

名前を変えるときに、

このビジネスを続けるには新しい商材を買わないと続けられませんとかやっているはずです。

それは一種の詐欺じゃないのか?と。


明らかにおかしい価格設定、

商品を売るのが目的でなく、ビジネスを売るのが目的。

たびたび変わる会社。


どう考えても悪徳マルチ商法でしょう。

そもそもマルチ商法って何?

一応擁護するわけではありませんが、

マルチと悪徳マルチは別物ですし、ねずみ講とも違います。

マルチ商法とは、マルチレベル・マーケティングと呼ばれるビジネス形態の一種で、

日本の法律的には連鎖販売取引という法規制に則っていれば合法です。

それらを逸脱して被害者を出すのが悪徳マルチです。

大体は薬事法とかにも引っかかって芋づる式にって感じで刑事事件になります。


ねずみ講は、無限連鎖講と呼ばれるものでどれもこれもなくすべてが違法です。

マルチとの違いは、マルチは商品が介在する一応経済活動であり、

無限連鎖講は、商品が介在せず金銭のみが動き、現物商品が動かない活動になります。

豊田商事事件とかが有名です。


得られたもの

大いに疑問を抱いていた頃、別の会社にお声かけ頂きました。

ニュースキンジャパンです。

一応今もディストリビューターではおります。

何もしてない、何も買ってないですが。

登録IDすら忘れてますけどね(笑)


そのNSですが、薬事法に特に厳しくご指導頂きました。


私がマルチで得られたのって、

こうした知識だと思います。

前述の説明にしても、営業マンとか行動心理学とか社会心理学とかやってる人は知ってるのかもしれないです。

18年も前に、そんなものが社会やビジネスで使えるなんて考えてた人はどれくらいいたんでしょう?

私がそうした本を読んで、その仕組みを理解したのは2000年頃です。

それと同時に、本当に騙されない為に必要な事って何なのかもよくわかります。


直感を信じる事です。

それは怪しい、おかしいと感じた時に起きる心のざわつきとか、下腹の辺りに覚える違和感であるとか、背筋に走る怖気であるとかです。


それと同時に、相手が何かをさせようとしてくる時、

特に約束や何か言わせようとしてくるときには、

その意味や意図を意識して、自分の意識の中にクリップしておく事です。

そうすると、「ああ、あの時の言動は、これをさせるための布石だったのか」と気付く事があります。

自分の思考が操作されようとしている事を強く意識して、自我と価値観を揺るがせない事が重要です。


こんな事、どっぷりハマった上に疑問を持って、その疑問を追及しない限りは分らないことなんじゃないだろうかと私は思う。


当たり前のことって、

当たり前すぎて、改めて言われなければ意識の俎上に上ってこないのです。

気付かせないように仕掛けてきますので、普段から意識するようにしていれば

様々な誘惑を防げるはずです。

私がマルチ対策を語る理由

まあ、こんな考え方してるので、当然マルチでは大きな成功はしていません。

ただ、どうしてこんな事を伝えようとしているのかというと、

前述の悪徳の会社の時に、一応数百万の利益を出し、少しですが収入を得ました。

つまり、それだけの被害者を生み出してしまったという事でもあります。

その責任を今更取る事は出来ないでしょうけれど、

今猶活動を続けているあの会社や、似たような会社から、

少しでも救われる人がいるなら知ってもらいたいという思いが有るからです。


やっている当人たち、みんな疑問に思っているはずです。

これで儲かるのか?と。

間違ってるのではないか?と。


また、一度抜けてもまた違う所にハマるのはなぜか?

その根本的な心のガードを埋めれていないからなのです。


だって、金持ちになりたいから友達を売るのでしょう?

なら、金持ちにならない限り、第二第三のマルチにハマるのは目に見えている。

そこで、欲を捨てなさいっていわれて、今度はカルトにハマるケースもある。


私の場合は、この疑念が強すぎて、営業職も出来なくなりました。

「この商品は本当に良いものだからオススメするのです」

という思いを持てなければ出来ないでしょう?

思っても居ない商品を進めるなんて、もっと出来ないでしょう?

それは、詐欺と違うのですか?と。

営業もそうじゃないの?


自分が本当に思えないなら、営業なんて出来ない。

私が不器用でバカ正直すぎるんでしょうけど・・・。


マルチは裏が見えるようになれば笑える話し

マルチの会社が若い子を狙い撃ちしていた理由がもう一つあります。

「バブル期までのサラリーマンの花形である営業マンになりたくない、無理。」

という当時の若者に「営業なんてしなくても成功できるよ」は、

社会を知ってればありえない話しのはずなのですが、

非常に魅力的に思えたものなのです。


でも、冷静に考えれば絶対にありえないでしょう?

うどん屋にしてもそうですけど、「営業中」でなかったら、何で稼ぐんですか?(笑)

彼らは「代理店を目指す」と嘯く。

確かにその通りのシステムなんでしょう。

でも、商品を販売しないでお金だけ動かすと、それはねずみ講になってしまう。

商品は売らなければならない。

売るという事は、営業はしなければならない。

営業しないでいいなんて、大嘘もいいところ。

友達を誘ってくるだけでいいなんて体のいい言われ方もするでしょうけど、

風俗のお姉ちゃんだってそうでしょうけど、

同伴出勤も営業の一つなわけです。

こういう当たり前の事を当たり前のように気付かせない言葉選びを、

それはもう緻密に練りこんでいます、どこの会社も。


関わってしまい、代理店資格に片足突っ込む所まで来てしまえば、

こういう仕掛けには笑えてしまいます。

そうなると、引き抜きしようなんて仕掛けてこられた時にはもう騙されないわけです。

だってその商品「売れない」でしょう?

商品売れないなら早晩潰れるか詐欺かのどっちかでしょう?って。


アムウェイも、ニュースキンも大手で有名ですが、

ハーバーライフも、ニュウェイズもアニューウェルもインデックスもシナジーもまだ元気に続いてるんじゃないですかね?

これらが新しいビジネスとか言ってたのは20年も前の話しですわ。


売れないと、活動すること自体が目的化する

マルチの怖いところは、

それで稼げないと、投資回収が出来なくなるのでやめるに辞めれなくなる点。

辞めれないので更に投資がかさむわけです。

友達も売って、縁を切られて、それでも続けた以上、引っ込みも付かない。

前に進むしかなくさせられてしまう。

「君は選ばれた人材だからこの話しが理解できたのだよ、彼ら凡愚には理解出来ない話しだったのさ」と持ち上げられる。

成功すれば、「素晴らしい!」と絶賛される。


そんな心地よい空間があれば、

売れない中でも、見捨てられたくないから必死になる。

やがて見捨てられない為に活動をすること自体が目的になってきて、

精神的にこのコミュニティに依存してしまう。

人は所詮、人との繋がりの中にあってでしか生きていけない。

完全に一人で大地に立っていられる人など、稀少なのです。


今はというと

結局マルチ商法自体は継続していません。

ただ洗脳の所以か、それとも個人的趣味かわかりませんが

ディストリビューターはきらずに放置しています。

最近は買ってもいませんので、IDもわかりませんが、数年前までは使っていました。


マルチの会社で得られたのは、リーダーや起業家精神みたいなもんでしょうか。

なんのことはない、昔の普通の会社だって、新人教育は洗脳同然だったわけで、

今だって、セルフ洗脳できなければ会社や社会に適合出来ないわけです。

自分がやりたい!と真に思える何かがあるなら起業するなりして

リーダーにならないといけないんだと最近再び思えるようになりました。


どういう形態にせよ、

会社規模のグループを作り、それを運営していたリーダー達からは学ぶ事も多かったです。

そうした人々は、バイタリティに溢れ、がっつり稼いでいたからこそ、

彼らにしか言えない事や、彼らにしか到達出来なかった精神世界があったのだと私は思う。

そうして成功者というのは、有る程度にたような精神構造を持った人々になっていくんだろうなと。


形だけマネしてもメッキは簡単にはがれてしまいますので、

自分を磨きましょうって事でしょうね。


あとは、こういう心理トリックを、どのように使うかですね。

良心に則って使われるなら、別に良いんじゃないかと思います。

私は、恋愛で活用して結婚まで持って行きましたので、

恋愛相談で応用編として書いたりしています。


なんだか、いつも取りとめもなく、まとまりも悪くてすみません。

読んでくれてありがとう。

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