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16/5/26

猪子さんと銭湯に入った話

Image by Olia Gozha

猪子寿之さんとは、2006年頃からの知り合いだ。

最近はテレビ出演が相次ぎ、すっかり有名人の彼だが、元気そうで何よりです。

彼と出会った当時、私は、若輩者ながら広告会社のデジタルセクションの部長だった。上司から彼を紹介されたのだが、彼のわけのわからない言動にとてつもない可能性を感じたのである。すでに猪子氏は、アートの世界でも才能を開花させつつあったが、チームラボの本業はシステム開発。何か一緒に広告関連の仕事ができないかと、オフィスに訪問したのである。


チームラボは、当時流行っていたネットベンチャーを売りにした出資や大手企業との資本提携、上場によるイグジットなどを一切拒絶する会社で、

「寄付なら受け付けます!」とお金には興味がなさそうだった。


オフィスには、最高にイカしていた。まず受付には偽物のファミコンが置いてあって、マリオを操作して、会いたい人に連絡を取るシステムだった。また、壁にはCDジャケットが飾ってあったのだが、チーム員たちが各々作ったようで、名前札(道場札?)の役割を果たしていた。チームラボは、テック道場なのだ。

会議室には、机が全面ノートパッドになっている机が置いてあり、オフィスの至るところに、昼寝用の畳や瞑想用のテントなどが点在していた。

京大の数学の天才(活動家)などユニークな人材の紹介を頂きながらオフィス見学をして、仕事の話をし、その後オフィスのそばの居酒屋にて飲むことになった。

事前に、おもろ検索エンジン サグールとかの情報は知っていたので、私が「イチローの次に世界で有名になるのはINOKOだ!」と言ったら、「ヤバイっすね。」と言っていた。


彼は、西洋近代のパラダイムである、二元論や主体と客体の概念を、否定し、デジタルによって、日本が持っていたスーパーフラットの概念で今一度世界を捉え直し、それを持って世界に出て行き、日本を元気にするというビジョンを持っているような気がした。

気がしたというのは、彼の言動は取り留めもなく、また、本も書かないので、イエスキリストの弟子のように彼の神託をメモるか、自分なりに解釈するしかないので、仕方ないのだが。


グーグルのページランクのようなアルゴリズムではなく、もっと感性的なアルゴリズムで物事をとらえるために、水墨画をCGで3D化し動かしてみるなどのメディアアートを作る。

この辺の分析はすでに多くの方がしているであろうから、割愛しておきます。

で、彼が日本のおもてなしを輸出するために、台湾に会社を展開して、元族の方を社長にした時の話や、彼が昔乗っていたフュージョン(ホンダのビッグスクータ)の話など色々な話で、盛り上がっていたところ、これから銭湯に行きませんか?

という話になったのである。(この唐突感が、彼の醍醐味でもある)

当時、真面目なサラリーマンであった私はスーツにネクタイ、革靴だったのだが、銭湯は大好きなので、ご一緒することになった。

当時(2006年前後)、東大近辺は銭湯もまだ残っていたようで、場所は覚えていないが、いかにも銭湯という由緒正しい銭湯へ行った。

当然、着替え、タオル等一切持っていなかったが、番台さんに行ったら手ぬぐいは貸してくれた。

飲酒後の風呂なので、だいぶ回ってしまったが、由緒正しい風呂の定番、熱くて入れない湯船にトライした記憶は残っている。

会うの2回目で、いきなり銭湯とはハードコアだなーと思いつつ、今となっては、猪子さんと風呂に入ったというのは強烈な思いになっている。


そんなこんなで、その後、彼との交流は年に一回くらいはあり今日に至るわけだが、彼は会うたびに色々刺激をくれるので私は嬉しいのである。

頭良くて、お金持ちで、カッコいい人はいいなーといつも彼を見るたびに思うのでした。


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