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16/5/13

パニック症候群とのお付き合い その1

Image by Olia Gozha

そりゃ大変って言うか、"どうしちゃったんだろう?" "いかんこりゃ死ぬ" 正に"パニック"。

それは帰りの通勤電車の中だった。突然、胸が苦しくなって呼吸が詰まる。

悪い冷や汗がじわっと額や首筋から湧き出す。

何とも言えない気持ち悪さ、例えるなら身体の中で何者かがグチャグチャ暴れているかの様な、堪えきれない不快感が充満してくる。心臓のドクドクという早い音が聞こえてくる様だ。

目を開けているのもシンドく、目をとじたまま電車のシートから身体がずり落ちそうになっていた。

気力は人一倍強いと思っていたので、「気」を入れたものの全く響かず。

段々と締め上げる様な頭痛と吐き気が襲ってきた。

(こりゃヤバイ。くも膜下出血か?)

珍しくお酒も全く飲んでいない。

たまたま組合活動で一緒だった同乗している先輩に、

「済みません。気持ち悪くて動けません。」とSOS。

先輩の肩を借りて何とか下車しベンチに座ったものの、身体の位置を保つことが出来ず、段々ずり下がっていく次第。

いよいよ「死んでしまう。」との恐怖感が頭中を占めるに至り先輩に、

「救急車を呼んでください。」とお願いすることに。

待つ時間は長い。その内に、救急車のサイレンが近づいてくる。

こちらは相変わらず陸に打ち上げられた魚の様に口をパクパクさせながら息だけを保っている。

ズッズッと重い物を置く音がして、それから上のほうから、

「大丈夫ですか? どうしたんですか?」と、救急隊員の声。

「頭が痛くて、気持ち悪くてしょうがありません。何とかしてください。」

「分かりました病院に搬送します。歩けますか?」

「無理です。身体に力が入りません。」

「それじゃあ改札まで背負って行くぞ。」同僚に声を掛けると、身体が宙に浮かび硬い背中の上に抱えられた。

階段もそのまま登り、改札の所でストレッチャーに移動。

ストレッチャーがこんなにも乗り心地の悪いものだとは初めて知った。

地面にの凹凸をゴツゴツとストレートに伝えて来る。

(これで脳出血だったらどうなるんだろう?)

本当に心配になった。

救急車。載せていただいてこんな事を言うのも何ですが、

「乗心地悪過ぎ。」

そうこうする内に近くの病院に到着。

夜勤の先生が再び「どうしましたか?」の質問。

「とにかく頭痛がして気持ちが悪くて死にそうです。何とかして下さい。」

「前に気分が悪くなった時に点滴をして貰ったら楽になりました。」

「頭が割れそうに痛いので念のためにCTかMRTを撮って頂けますか?」

と、病人のくせに要求ばかりしていた。


CTの画像が出来たと言うので駆けつけて来た両親と先生の元に向かう。

「うーん。綺麗な脳をしてますね。

脳出血も腫瘍も無いし、『脳』は大丈夫ですね。」

「それじゃあ原因は何でしょうか?」

「よく分かりませんが過労でしょうか。一晩、泊まって様子を見ましょう。」

点滴が効いてきたのか少しだけ気分がは良くなって来ていたが、まだ身体の中を異物が動き回っている様な違和感は続いていた。


明朝、まだ脱力感は残っていたが気分は随分と良くなっていて出された朝食も美味しく頂いた。

(これなら大丈夫。家に戻って午後からは会社に出れる。)

その時はその位軽い出来事だと考えていた。まさかそれから10年以上にも亘って日常生活にも支障を来す事態が続いて、そこから立ち直る?のにどれだけ苦労する事になるか全く予想だにしていなかった。




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