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16/5/8

私たちはどんなふうにも生きられる。無計画に世界を旅した私のはちゃめちゃ冒険記。バンコク編#4

Image by Olia Gozha

【バンコク2日目(2)】行き先不明のバスに乗せられて、売られるかと思った話


メークロン駅に向かう電車に乗るため、駅を探そうとGoogle map片手にふらふら。猛烈に暑かったので、水を買おうと小さな売店へ。歯が1本しかないおじちゃんが出てきて何やらタイ語で話しかけてきた。


何を言っているのかさっぱりわからないので、とりあえず「ウォータープリーズ」と言ってみるが、通じているのかいないのか、タイ語でしゃべり続けて一人で納得している様子。そこに太めのおばちゃんが登場し、


おばちゃん「なんだい、この子?(と言っていたと思う)」

おじちゃん「この子は◯◯◯なんだよ(なんと言ったか不明)」

おばちゃん「は〜〜〜〜〜ん」



なんか知らんけど納得されてる!おじい、なんて言ってわたしのこと紹介(?)したんだ!?それはそうと、お水をください。


わたし「あの〜お水を…」

おばちゃん「はあ?!」

わたし「…(こっ、こわい!)」

おばちゃん「4バーツだよっ!」


なんか知らんけどめっちゃ怖いぞこのおばちゃん。お水をもらい、駅に向かおうとすると、おじちゃんが「向こうだよ」とジェスチャーで示している。このおじちゃんはわたしに駅の方向を教えてくれているんだな。ありがとう!行ってくるよ!


おじちゃんの示す方向へ歩いて行くと、後ろからすごい声で「Yoooooooooooooooou!!!」と呼び止められた。振り返ると、おじちゃんがふらつきながら自転車をこいでこっちへやって来る。



おじちゃん「You!そっちじゃないよ。俺に着いてきな!」


わたしの前に立ち、先導してくれるおじちゃん。


着いて行くと、男たちがぞろぞろ集まる場所に連れて行かれた。しかも駅に連れて行ってくれるのかと思いきや、そこは線路はあるものの、あきらかに今は使われていない廃線。おじちゃんは男たちの輪に加わり親しげに話している。何を言っているのかはわからないけれど、「連れてきてくれてサンキュー」「お安い御用だぜ」みたいな会話をしている気がする!!!!




ギャーーーー売られる!







一人の男が近づいてきて、「チケットこっち。着いてきて」と言い、小さな小屋の前へ行く。わけがわからず10バーツを渡すとチケットをくれた。一応正規のチケットっぽいけど、これは一体なんのチケットなのだ…。


「あの車だよ」とチケットをくれた男が指し示したのは、トラックを改造して荷台に屋根がついた 車。わたしの頭の中に、「ドナドナ〜♪」が流れた。どこに連れて行かれるのだろう…。







わたしは必死に頭を回転させた。行き先がわからない車に乗っている。これはとてつもなく危険な状況だ。これから起こりうることはなんだ?



1, 売られる(最悪)


2, 訳のわからない地へ連れて行かれてほっぽり出される(これは大いにありえる)


3, メークロン駅に着く(そう願いたい)



「1」の可能性は低いと判断した。なぜなら、わたしをあの場に連れて行ったおじちゃんが悪い人には見えなかったし、チケットを売ってくれた男性の笑顔に嘘はないように思えたし、チケットは正規のもののようだし、車に乗る際にチケットをチェックしてくれた人は警備員っぽ格好をしていたし!なにより2人のタイ人っぽい青年が同乗しているのだから!売られる危険性は少ないだろう。


「2」が有力だけど、これもなんとかできると判断した。なぜならバンコクのタクシーは驚くほど安いし、バスもいたるところを走っているし、なにかしら帰る手段はある。最悪、ヒッチハイクすればいい。



腹をくくってしばらく揺られていると、どうやらメークロン駅に向かう線路沿いを走っていることがわかった。どうやらこのバスは、メークロン市場へ向かっているらしい。


わたしの予想では、メークロン駅への電車がすでに出発してしまってからわたしが現れたので、歯のないおじちゃんが代替案としてバスを紹介してくれたのだろう。いかにも観光客っぽいわたしを見て、こいつはメークロンに行きたいんだろうなと(何も言わずとも)わかってくれたのだと思う。


車に揺られること1時間半ほどして、メークロン駅にたどり着いた。売られなくてよかった。残念ながら電車が来て市場を折りたたむところは見られなかったけれど、ハラハラドキドキのスリリングを味わえたのでとても満足。


▼メークロン市場。人が歩いているのが線路。





▼おばちゃん寝とるし…




帰りは「ロットトゥーと呼ばれるバンに乗ってバンコクまで帰ってきた。超快適。寝てれば着く。しかも70バーツ(約260円)。快適すぎて電車を乗り継いで行ったのがあほらしく思えたけれど、おもしろいことが起こったからいいや。



そういえば、途中に猿が現れて、助手席に乗っていた警備員っぽい人が「モンキー!」と言ってしばらく止まってくれた。





2日目にしてちょっとした危機を乗り越え、少しだけ強くなれた気がする。





旅は続く。

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