人生にとどめ!
終わった。
本当に人生詰んじゃったよ。
長かったモラトリアムから目が覚めて、ようやく現実と向き合う時が来た。
でも、その「現実」はあまりにもシビアだ。
履歴書を買ってきて項目を埋めるたびにため息がでる。
自分の経歴をまざまざと見せつけられて、我ながら情けなくなる。
・高校中退
・大学中退(2回)
・40歳を過ぎても正社員として働いた経験なし
いったいこんな人間を誰が雇う?
俺なら絶対にこんな奴を雇ったりしないね。
ついでに友達の数、0(ゼロ)。
だってそりゃそうだろ。ずっとひきこもっていたんだからさ。
あまりにも長い間人と会話してなかったからさ、最近うまくしゃべれないんだよ。
ふふふ。
俺、マジでやばいよな。
頭の中で「練炭」とか「樹海」の文字がちらつく。
今の俺の状態はやはり、自殺しなきゃならないレベルなんだろうな。
なんてったって未来への希望なんてかけらもないし、執着するほどの過去だってないんだから。
でも無理だ。
もしも俺に自殺できるくらいの根性があれば、こんな状態になる前になんらかの手が打ってたはずだ。
世間では自殺を図る人間の事をまるで「負け犬」とか「人生から逃げた卑怯者」のように扱う風潮があるけど、俺はそうは思わない。
知ってたかい?自殺するってのはけっこう勇気がいるもんなんだぜ。実際にここまで追い込まれるまでは気がつかなかったけど、自分で自分の命を絶つなんてことは生半可な覚悟ではまずできっこない。
日本では毎年3万人以上の人が自殺しているらしいけど、彼らには脱帽するよ。
俺には無理だ。
じゃあどうする?
大声で叫びながら包丁でも振りまわすか?
レンタカーでも借りて歩行者の列に突っ込むか?
はははは。
できるかアホ。
ワイドショーに映ってる自分のまぬけ面が目に浮かぶわ。
「おい聞いたか?美鬼のやつ、あんな事しよったで」
かつての同級生たちがおおはしゃぎしている姿が目に浮かぶ。あいつらの笑い話のネタになってたまるか。
パッとしない人生だったけど、そんな終わり方はあんまりだろ。
そりゃあ俺はしょうもないクズかもしれないけどさ、そんなに悪いことしてきたか?
あーあ。
なんでこんなことになっちまったんだろうなあ。
いったいどこで人生を誤っちまったんだろうなあ。
俺だって生まれた時からずっとこんなんじゃなかったんだよ。
むしろ人並み以上だったような気がする。
ま、誰も信じちゃくれないだろうけどさ。
小学生時代
小学2年から6年までずっと学級委員をやった。
毎年1学期には圧倒的多数で学級委員長に選出される。
そこはもはや俺の定位置だった。
俺より勉強のできる奴は大勢いたし、俺より足の速い奴だってたくさんいた。
それなのに委員長に選ばれ続けたのは、俺にある種の「カリスマ性」みたいなものがあったからだと思う。
自分で言ってて恥ずかしくなるけどさ、ほんとに俺にはほかの子供たちとは違うなにかがあったんだよ。
学校の先生だって俺には一目置いていた。
班分けをするときなんかはきまっていじめられっ子や友達のいない子を俺の班に組み込んできた。
あの頃の俺はいつも中心にいて、大勢の人間に囲まれていた。
友達を作るのに苦労なんてしたことがなかった。
今ではとても考えられないことだ。
ああ、あの頃がなつかしい。


