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16/4/2

平凡な会社員が、“脳出血で倒れて働き方を考え直した”話【第十二回】

Image by Olia Gozha

リハビリの先に見えてきたもの。

その日のリハビリは、まだ苦労していた作業療法の日だった。

先の患者さんの訓練が少し遅れており、リハビリの先生を待っている間、手持ち無沙汰の僕はリハビリ室の窓からわずかに見える外の空を眺めていた。



緊急入院してから約1ヶ月。あっという間に時間が過ぎていた。

ずっと室内にいたので、僕は季節感を無くしていた。課長からの携帯メールで今年は特別寒いことを知ってはいたが、窓が結露していたのをみて改めて外は寒い真冬になっていたことを感じていた。


ベットの上で寝たきりだった12月から考えると、今こうして自力で病室からリハビリ室まで移動してきて椅子に座り、リハビリをうけられる様になっているだけでもかなりの進歩だった。

「1ヶ月でここまできたんだ。きっと回復の望みはある!」

僕は、自分にそう言い聞かせて目の前の作業に集中することだけを考えていた。

リハビリを重ねていくと昨日できなくて悔しい思いをしたことも、今日は少しだけ出来るようになっていった。

健康な頃は気にもとめずに簡単にできていたことではあったが、苦労して訓練を重ねることで少しづつ出来るようになっていく。僕の中ではこれは本当に大きな進歩であったし、少しづつ健康な頃に近づいているという実感が得られることだけが、唯一の希望でもあった。



大体、地道な努力をすることが苦手な僕だったが、リハビリを終え部屋に戻ってからもお箸の練習だけは欠かさなかった。

思うようにお箸を扱えない悔しさと不便さももちろんあったのだが、お箸を自由に操れるようになった先に、何となくぼんやりとだが、社会復帰ができている自分の姿を見ていたような気がする。


春には何とか社会復帰してみせる。


僕の中で、そんな希望が少し芽生えてきた。

そして、先生から退院の時期が告げられたのも、この頃だった…。

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