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16/3/10

バックオフィスサービス「Gozal(ゴザル)」が生まれるに至る思考

Image by Olia Gozha

 高谷は、神戸大学を卒業してすぐに東京へ上京した。そのとき入居先として選んだ場所が、起業したい人が集まる「起業家シェアハウス」だった。そこには起業しているor起業したい人など20代前半の男10人が同居しており、日々起業に関するディスカッションや、プロダクトアイデアを話合ったりしていた。

 そのとき痛烈に感じたのが、若い起業家たちは情熱やプログラミングスキルはあっても「法務・労務・税務・知財」などバックオフィス業務に関する知識が全くないということだ。さらに彼らはその知識がないことについて「漠然とした不安」を感じていることも分かった。

 2015年1月21日に公表された日本政策金融公庫総合研究所の調査レポート「起業と起業意識に関する調査」によると、起業の阻害要因の第3位に「財務・税務・法務に関する知識が不足している」がランクインしている。半年間そのシェアハウスで10人の起業家・起業家候補と寝食を共にし、監査法人に所属する専門家としてたくさん相談を受けた結果、日本の起業環境には大きな課題があることが分かった。


 それは、「法務・労務・税務・知財」などの課題・不安に対するシンプルな解決手段が用意されていないということだ。まず専門家とのつながりを持っている起業家は多くない。つながりがあっても、専門家を比較する方法を知らず、また知っている専門家もせいぜい1人か2人くらいである。いきなり知らない会計事務所や法律事務所に相談にいくなどもハードルが高い。

 さらに税理士を顧問に迎えると月額3万円程度の固定費が発生し、対応できるのは税務の課題だけ。労務や法務も対応しようとすると弁護士や社労士も顧問契約が必要だが、もしそのように専門家との顧問契約数を増やすと月額10万円以上の固定費が発生し、個別の案件毎に10万〜20万円程度のコストが発生することになる。創業間もない起業家にとって、年間数百万円の負担は敬遠したくなる。

 また専門家への期待のギャップが存在している。つまり起業家側は「法務・税務」のことを知らないからこそ、専門家に丸投げしたいのだが、知識がないからこそ専門家が提供する「法務・税務」サービスのことを理解しずらい。よって、目に見える成果物の少ない税理士や弁護士のサービスに対して、年間100万円以上支払うことに懐疑的になってしまう起業家も少なくない。

 起業家は法務や労務、税務、知財などのバックオフィス業務に自分で対応しようと考える事もあるが、時間が掛かりすぎるため、時給計算で考えると、専門家に依頼する以上のコストが当然に掛かってしまう。結局調べきれなかったり、不安を抱えたままの対応を気にしながら本業を行うことになってしまう。


 では、起業家はいかにしてバックオフィス業務の課題を解決すべきなのかと問われた際に、シンプルな答えは用意されていない。知り合いの数人の専門家の中から何となく顧問を選択し、予算の範囲内で専門家を活用しながら、できる範囲で自分で対応していく事になる。


 もっと絶対的なソリューションがあるべきだと思い、中小企業がバックオフィス業務で悩む時間をゼロにしたいという想いを胸に「Gozal」を構想していく。より挑戦しやすく、誰もが掲げた夢やテーマに全力で挑める世界を作りたい。



サービス構想から実現までのながれ

 上述した課題を解決したい。どうすれば中小企業が悩まず、不安を抱えず、バックオフィス業務を運営することができるのか。理想を実現するためには3つのことが必要だと考えました。


①企業と専門家のコミュニケーション活性化

②定型業務の全自動化

③専門家の業務効率化


 まず、多様な専門家と低コストで、気軽なコミュニケーションを実行できる場所があるべきだと思いました。中小企業が法務や労務で悩んだ際には、悩んでいることを投稿するだけで、全国の専門家から「解決策」や「提案」が届く仕組みがあるべきだと思いました。これにより、専門家を探す手間と、相談事を1人1人の専門家に会って説明する手間を削減できます。

 また多数の専門家から受け取る提案を、比較することができるので、自分に合った専門家と仕事を進める事ができます。不安なことがあれば、どんどんWEB上に悩みを投稿し、1日以内に専門家からアドバイスやサポートの申し出を受け取る事ができる場所。それを目指し、Gozalは士業特化型のクラウドソーシングサービスとしてスタートしました。


 さらに一定のバックオフィスタスクは中小企業が内部で解決できる仕組みがあるべきだと思いました。外部に説明したりする手間をなくし、勝手にタスクをロボットが完結してくれた方が企業側にメリットがあります。会社設立の手続き、従業員の雇用時の手続き、本店移転の手続きなどはクラウド上で自動化させることは不可能ではありません。Gozalは自動化できる課題の種類を増やすべく開発を進めており、「会社設立」「利用規約の作成」などの手続きを現時点で自動化しています。今後は労務手続きや税金などの納付をGozal上で完結できるように各監督省庁との連携を進めていきます。


 そして、専門家の業務を効率化させるツールを提供する必要があると考えています。クライアントを数多く抱える質の高い会計事務所や弁護士事務所では、多くの場合、業務に負われ続けています。そのため、質の高いサービスを提供することが簡単ではなくなっています。Gozalでは、顧問先のクライアント企業を効率的に管理することができるサービスを現在開発中で、税理士さんや弁護士さんが、もっと付加価値の高いサービスの提供に集中できる環境づくりをサポートしていきます。


 これら3つの価値を提供していく事で、中小企業がバックオフィス業務の悩みから解放され、本当にやりたかった夢の実現に向けて挑戦していける世界を作っていきたいです。


 専門家の方にとっても、Gozalによって顧客とのコミュニケーションを活性化することで、より多くの人を支援する機会を提供します。


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