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16/2/29

半同棲をしていたときの事

Image by Olia Gozha

「俺、ここに引っ越すことにした!」

 まだ彼氏でもなかったけど間もなく彼氏になる彼が選んできた部屋はわたしの住んでいるところから徒歩5分のところだった。

わたしは大学生になるため引っ越したばかりで、彼は社会人で実家暮らしだった。

親から自立して生活するということだった。

大学と彼の職場は近く、必然的にアパートも近くなった。

大学生活そうそう遅刻を繰り返すわたしを見かねた彼は

「一緒に朝ご飯を食べよう。」

と提案してくれた。

朝が苦手だったわたしは彼のためにいつもより早く起きるようになった。

そこから徐々彼の部屋に入り浸り始める。

ちょっと寝坊した朝は駅まで送ってもらって、時にはお弁当をこしらえてくれて。

わたしが朝ごはんを作ったり、彼が作ったり。

洗濯物を大急ぎで干したり。


 一緒に何かをするたびに

「お皿は、裏表裏流して泡ちゃんと流して」




「洗濯物はこうして畳んで…」

わたしよりも器用で丁寧な彼は、家事の指摘をたくさんしてきた。


面倒くさい、とはじめは思った。


でも、後々厳しくしてるのはわたしとの将来ことを真剣に考えてるからだからと告白され


言うことを素直に聞くようになった。


今思えば付き合いたてで盛り上がっていたのだけど。



期待に応えたくて雑なところが無いように気付いた事を丁寧にこなすように少しなった。


お母さん「まゆ、変わったねえいい意味でね!家事頑張ってるね。」

 たまに実家に帰って手伝いをすると母が関心してくれた。


嬉しくて彼に

わたし「お母さんに変わったって言ってもらえたよ!」

「よかった!これからもその調子でね。」

彼はとても喜んでたくさん褒めてくれた。幸せだった。



 そんなお母さんみたいに面倒見のいい彼とは急に一緒にいられなくなった。

何度も誓い合った約束が破られたから。理由はすごく単純だった。


 はじめての半同棲。幸せだった。大好きだった。キラキラしていた。

学生だけど、卒業したら一緒に生きていくことを信じてやまなかった。




 正直なところ、料理中『肉じゃが美味しくて好きだよ』って言ってくれた事を思い出したりして切なくなることがある。

お皿洗ってる時も、洗濯をしている時も。毎日強烈に、鮮明に、彼と過ごした日々をふと感じている。

 


 さて、いつかまた誰かに美味しいって言ってもらえるように今日は何を作ろうか。





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