目の前には、カレー。
チャイを流し込み、胃袋は臨戦態勢。
固唾を飲んで見守る、オッさん達。
舞台は整った。
いざ、実食。
まずは恐る恐る右手をカレールーに差し込んでみる。
ふむ。
慣れてないと熱くて火傷すんじゃないかと思ったら、そこはやはり適温。
手ですくい取るには熱すぎず、食べるには冷たすぎず、いい塩梅。
少量を掬い取り、クレーンゲームよろしくご飯の山の麓に投下。
そのまま指でルーと米を馴染ませてみる。
カレーを手でこねくり回したのは、下の息子くらいの時までだったんじゃないかなー。
違和感があったのは最初だけで、後は懐かしいような新鮮さでなんか楽しかった。
ご飯とルーを半々くらいの割合で手に取り、頬張ってみた。
ぬおっ。ウマし。
現地人向けなのか、かなりなんかのスパイスが濃いめでクセはあるんだけど、美味い。
自分の指をスプーンがわりに使うことで、改めて食事とは五感で味わうものだと再認識した。
日本のと違い、サラリとした細長いコメは、カレーに浸すとホロリと崩れる。
程よい弾力のチキンと、トロトロに溶けてツルッとした野菜も手触りが楽しい。
口に運ぶ前に、指ですでに「味わって」いる感覚。
普段カレーを食べる時に使わない「触感」が、「食感」と融合して本能を刺激する。
友人2人も、隣でやべぇやべぇ言ってがっついていた。
ドヤ顔で見守るオッさん達の目が、優しい光でそれを包み込む。
指先にまとわりつくカレーと米を舐りつつ、次から次へと口に運ぶ。
そして、新しい感触に感動冷めやらぬまま、完食。
お値段聞いてまた感動。日本円で10円いってない。
この異次元のコストパフォーマンスときたらどうだ。
いやー満足満足。
少し多めの代金を、屋台のテーブルに置く。
主人も満足満足。
代金を払う時、自分の食い終わった皿がふと目に止まった。
ハエが一匹、止まっていた。
続く


