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16/2/13

血が繋がっていない”お父さん”への感謝とそこから学んだこと、そして伝えたいこと

Image by Olia Gozha




僕が生まれる前、僕の血の繋がってる父親は母親に非常に過激なDVをしていた。


その結果、両親は離婚することになったのだが、なんと僕が生まれてすぐに、僕の父親は僕を誘拐してしまったのだ。


母は警察や弁護士に助けを求め、なんとか僕を父親から取り返した母は、父親は僕に会えないという条件を突きつけられることになった。


僕は父親の顔も知らなければ、名前も何もかもを知らない。


母はシングルマザーとなった。しかもバツ2だ。兄がいたが父親が違う。おばあちゃんは37歳の時におじいちゃんを事故で亡くし、おじいちゃんはいなかった。そのような環境に僕は生まれ育ったのだ。


しかし、心の中では父親がいないということによるぬぐいきれない孤独感を感じざるをえなかった。

たまに父親の悪口を言っている人ですら羨ましいと思うのである。



そんな中、僕が小学校4年生の時、僕の母親が末期の子宮ガンになった。


母が入院することになり、僕の世話をしてくれるのはおばあちゃんだけになった。


そのような環境が原因で、「悲しい」「寂しい」といった感情を表に出さず、わざとひょうきんに振舞ったり、無表情を意識するようになっていった。


そのとき、母親の1人目の元夫にあたる人が僕の父親代わりとして僕の面倒をみることになった。


彼は当時52歳の自営業者だった。


僕の経済面、生活面の両方をサポートしてくれた。学校が休みの日は釣りに連れて行ってくれ、夕飯はほぼ毎日食事に連れて行ってくれ、毎日メールもしていた。


はじめは警戒していたが、血の繋がっていない僕のことを可愛がってくれ、徐々にまるで本当の父親のようにおじさんのことを思うようになっていった。


その人の前では、普段は表に出していなかった感情も出せたし、たくさん笑った、僕のことを本当の息子のように扱ってくれ、寂しさも紛れ、毎日がとても楽しくなった。


そして、母の癌は大手術と長い闘病生活を経て、リンパ浮腫という後遺症を抱えることになったものの、容体は落ち着いて行った。


その人は、いまは自殺をしてしまってこの世にいないが(詳しくはhttp://storys.jp/story/21021?to=story&referral=profile&context=author_other)、本当に感謝していることが天国のおじさんに伝わっていればいいなと思わずにはいられない。



この経験を通して、血のつながり以上に、思いのつながりが非常に大事なのだということを実感した。


児童虐待やネグレクトの問題が表面化してきている現代社会において、血の繋がっている親が自分の子供を虐待するニュースを見るたびに心が傷む。


そんな現代だからこそ、血のつながり以上に”子どもを思う気持ち”を大事にした親子のつながりを再考してみる必要があるのではないだろうか。


血の繋がっている子どもじゃなかったのに、本当の息子のように愛情を持って接してくれてありがとう。短い間だったけど”父親”を感じられました。


この気持ちが天国にいるおじさんに届いていればいいなと思います。

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