アリゾナ大学は、ソノラ砂漠にあるツーソンの町に位置する。
考古学、天文学でも世界に名を馳せる大学だというのは後で知ったことである。北へ160キロのところには、州都フェニックスがあり、南へ100キロほどソノラ砂漠をつっきると、やがてメキシコ国境、ノガレスにぶつかる。
わたしの大学での第一日目は、ESL((English as a Second Language)クラス編成の試験であった。
大学のキャンパスはNorth 2nd Avenueのまっすぐ行ったつきあたりにありく、徒歩で7、8分だ。初日朝、シャワーを浴び、すぐそばにあるマーケットで前日買い入れたコーンフレークスにバナナの輪切りと牛乳を加えての朝食を終えた。8時過ぎ、「いよいよ始まるぞ!」とわたしは興奮で高まる胸をおさえ、キャンパスに向かった。
すると、「あ、あれぇ~、まさか・・・まさか・・・」日本人グループの中に見覚えのあると思われる顔が見えたのだ。
そんなはずがあるわけもない、と疑惑の面持ちで、念のためにとその日本人が固まっているグループに、そぞろ近づいてみた。
「ほ、ほ、ほ、ほんざわちゃん!!」
このときの驚きたるや、推して知るべし!大阪のオフィスで退職するまでの6年間、いっしょに仕事をしていた営業マンでみなから「ザワちゃん」(あの頃、ビアハウスにも登場している)と呼ばれていた同僚がいるではないか!
なんでやの?なんでざわちゃんがここにおるんよ?おどろき桃の木山椒の木です!
あまりの驚きに人目も構わずみぎて人差し指で彼を指し、「ザ、ザワちゃんー!」と日本語で叫んでしまったわたしでありました。
実は、わたしは12月のボーナスが出るや即座に退職し、大阪のアパートを引き払って渡米するまで、横浜のおば宅に居候して、羽田空港から飛び立って来たのであるが、ザワちゃんはと言えば、わたしのすぐ後に退職し、日を違えて渡米して来たのこと。
しかし、広いアメリカやのに、なんで、なんで同じ大学やのよ・・・それをさて置いても、一緒に会社で騒いだ間柄なのに、なんで一言も「ボクも同じとこに留学すんねんで~」と言わんかったのよ・・・
と、このように、大学第一日目からして、波乱万丈な我が大学生活は幕開けとなったのであります。
こんな偶然てあり?