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16/2/6

星空みながら大学に通う<ある夜間大学生の平凡な話>その1.プロローグ

Image by Olia Gozha

ここは東京の飯田橋、夜6時。

教室の煌々とした照明が暗い廊下を照らしている。

「えー、シュレディンガーの方程式は…」先生の声が大きく響く。


そう、ここは知る人ぞ知る、帝国理科大学第2部化学科。

俗にいう夜間大学だ。

昼間、働いている者も働いていない者も、真面目な者もそうでない者も、大工と水兵さん(本物)も一緒に、夜な夜な大学に集まり講義を受ける。

私はこの大学の2年生。社会一般の目で考えれば「苦学生」と言えそうだ。

夜間大学の実態をここで暴いていきたい。



あれは数年前、高校時代。

「お金はないけど、理系大学に行きたい。しかし、国立を受けるために勉強する時間も塾代もありません。そして、卒業後は自分で働いて食わなければなりません。しかし別に暮らしている父が国民金融公庫で200万円を借りてくれてなんとかなります!」

というワガママな私の欲望?を叶えるべく、色々な大学を漁っていた時に、

「何々?日本で唯一の夜間大学の理学部?」

1枚のパンフレットが目についた。

「4年間でちょうど200万じゃん。」

「ここにしよ。東京だし友達も一緒だし家賃は高そうだけど時給も高いっしょ。」

と後先考えず、ほいほいと決めてしまった。


とりあえず、先生から推薦をもらい、上京。

試験科目は面接と小論文。どっちも得意だから余裕。

合格後もお金の工面など、色々と大変ではあったが、そこは割愛するとして、翌年4月、待望の大学生となったのであった。


さて、この大学生活の登場人物を紹介しよう。

山田…1年のときの友人。某私立大を退学して、帝国理科大の理学部化学科2部に入学。1年次で転部試験を受けて1部に転部。2部では学年トップだったけど、1部で留年しそうな状況らしい。今もちょくちょく話す仲。

りえちゃん…看護学校を受験するも色盲のため全て落ちたらしい。

さとこ…2留。自衛隊員と大学生活と二束のわらじを履いていたが、進学できず、体調も崩してしまい、自衛隊を退職。キックボクシングをやりながら、大学に通う。なお大学は3留を認めていないため後がない。

たろう…元ニート。理科は得意だったため入学。あまり学校に来ない。

しんすけ…子だくさん家庭に生まれた長男。学費は奨学金、生活費はバイトで稼ぐ。

安田さん…40歳で大手企業の正社員。化学に目覚めて入学。2時限目からしか出席できないけど真面目。

その他大勢。


それでは物語のはじまりはじまり。

※これからゆっくりと書いていきます。続きを楽しみにしていてください。

※※実話ですが、個人が特定できそうな内容(氏名や大学名)には若干着色を加えております。ご了承ください。

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